乙一作品『GOTH リストカット事件』を読み終わりました。
ミステリーとホラーが合わさったような怖さがあり、とっても面白かったです。
話は「暗黒系」「リストカット事件」「犬」「記憶」「土」「声」の6章で構成されています。
「暗黒系」では少女達が次々に猟奇的殺人の被害者になります。その殺され方は、おおよそ人間の形をとどめておらず、死体は芸術的ともいえる壊され方をしています。
この事件に興味を持つのは高校二年生の主人公:“僕”と“森野夜”です。
二人の共通点は異常な事件が好きで、それに関する報道を見たり、情報を集めるという点です。
ある日、夜が一冊の茶色い手帳を行きつけの喫茶店で拾い、僕にその内容を読ませます。書いてあった内容は、猟奇的殺人の犯人が綴った犯行日記です。
それにはまだ報道されていない死体について事細かく記されていました。
そこで、二人はまだ見つかっていない事件現場へ向かい、見てしまったのです。
無残な死体を。
ですが、元々こういう状況を好む二人ですから、叫ぶことも通報することもなく、夜にいたっては死体が持っていた鞄や帽子などを拾い、あくる日に身に着けているのです。
死体が生きていた時と似た姿をした、夜。
勿論、犯人が見逃すわけがありません。彼女はその犯人に監禁されてしまいます。
かろうじて僕にメールを一通送り、僕は手帳の持ち主を探し当て、つまり犯人を見つけるのです。しかし、僕は犯人を警察へ突き出したりはせず、手帳の行方と殺人の動機についてを犯人と語り、夜の居場所を聞いた後は最終的に逃がしてしまいます。
不可解な主人公の僕と、夜。
「記憶」では夜の過去を物語っています。
彼女には双子の妹:夕がいました。しかし、首吊り自殺の真似事をしている時に、本当に首が絞まってしまい、死んでしまいました。小学二年生の時でした。
夜がその事実を語り、僕は興味を持ち、夕の死んだ場所である夜の実家へ向かいます。
幼い頃から双子の姉妹は死について考えており、死体ごっこなどは日常茶飯事、絵を描いても多少のばらつきはあるものの、自殺体の様子を描いていました。
見た目がそっくりな為、遊んでいる時などは二人を靴の色で判別していました。
事故の日、夜は夕と一緒にその自殺ごっこをしていて、夕の準備が整い、夜が家から人を呼んできます。ですが、夜はすでに夕が死んでいる事に気付いていたのです。
大人たちも揃えて置かれた白い靴を見て、夕が首を吊っていると認識します。
これが夜の人生が大きく変わる出来事となってしまい……
「暗黒系」では手帳を軸に事件が暴かれていきます。犯人が何処で落とし、何故拾わなかったのか、或いは見つけられなかったのかを僕が想像の中で辻褄を合わせていくのですが、よくこんな風に考えつくなぁと感心してしまいました。やはり、僕も只者ではないという事です。
二人の共通点はあれど、行動が全く異なってくるのも面白いです。
僕はひたすら事件の核心に近付いていき、夜はその事件にやたら巻き込まれていくからです。こういうキャラの設定も流石、乙一作品だなと思います。
「記憶」は切ないと言うか、なんて夜は可哀想な子だろう思ってしまいました。
事故で死んでしまった、夕。双子の妹である、夕。
この世に残っているのは、夜。双子の姉である、夜。
夜は不眠症になってしまい、治すには首を何かで絞めなければならない、と言い出します。その原因がこの事件・事故なのです。
どのお話も、人を殺すこと、死の様子が描かれており、主人公の僕は死こそが現実だと言います。他の物事はいくらでも脚色が出来る、しかし、死はたった一つだと。
あくまでも小説の世界の話ですので、これが現実ではありません。現実世界では毎日のように殺人事件が起こっています。誰も望んでいません。でも、殺人犯には殺人をする衝動があるのも事実です。
小説の中でこそありえる世界観、乙一作品の魅力だと思います。。。
ミステリーとホラーが合わさったような怖さがあり、とっても面白かったです。
話は「暗黒系」「リストカット事件」「犬」「記憶」「土」「声」の6章で構成されています。
「暗黒系」では少女達が次々に猟奇的殺人の被害者になります。その殺され方は、おおよそ人間の形をとどめておらず、死体は芸術的ともいえる壊され方をしています。
この事件に興味を持つのは高校二年生の主人公:“僕”と“森野夜”です。
二人の共通点は異常な事件が好きで、それに関する報道を見たり、情報を集めるという点です。
ある日、夜が一冊の茶色い手帳を行きつけの喫茶店で拾い、僕にその内容を読ませます。書いてあった内容は、猟奇的殺人の犯人が綴った犯行日記です。
それにはまだ報道されていない死体について事細かく記されていました。
そこで、二人はまだ見つかっていない事件現場へ向かい、見てしまったのです。
無残な死体を。
ですが、元々こういう状況を好む二人ですから、叫ぶことも通報することもなく、夜にいたっては死体が持っていた鞄や帽子などを拾い、あくる日に身に着けているのです。
死体が生きていた時と似た姿をした、夜。
勿論、犯人が見逃すわけがありません。彼女はその犯人に監禁されてしまいます。
かろうじて僕にメールを一通送り、僕は手帳の持ち主を探し当て、つまり犯人を見つけるのです。しかし、僕は犯人を警察へ突き出したりはせず、手帳の行方と殺人の動機についてを犯人と語り、夜の居場所を聞いた後は最終的に逃がしてしまいます。
不可解な主人公の僕と、夜。
「記憶」では夜の過去を物語っています。
彼女には双子の妹:夕がいました。しかし、首吊り自殺の真似事をしている時に、本当に首が絞まってしまい、死んでしまいました。小学二年生の時でした。
夜がその事実を語り、僕は興味を持ち、夕の死んだ場所である夜の実家へ向かいます。
幼い頃から双子の姉妹は死について考えており、死体ごっこなどは日常茶飯事、絵を描いても多少のばらつきはあるものの、自殺体の様子を描いていました。
見た目がそっくりな為、遊んでいる時などは二人を靴の色で判別していました。
事故の日、夜は夕と一緒にその自殺ごっこをしていて、夕の準備が整い、夜が家から人を呼んできます。ですが、夜はすでに夕が死んでいる事に気付いていたのです。
大人たちも揃えて置かれた白い靴を見て、夕が首を吊っていると認識します。
これが夜の人生が大きく変わる出来事となってしまい……
「暗黒系」では手帳を軸に事件が暴かれていきます。犯人が何処で落とし、何故拾わなかったのか、或いは見つけられなかったのかを僕が想像の中で辻褄を合わせていくのですが、よくこんな風に考えつくなぁと感心してしまいました。やはり、僕も只者ではないという事です。
二人の共通点はあれど、行動が全く異なってくるのも面白いです。
僕はひたすら事件の核心に近付いていき、夜はその事件にやたら巻き込まれていくからです。こういうキャラの設定も流石、乙一作品だなと思います。
「記憶」は切ないと言うか、なんて夜は可哀想な子だろう思ってしまいました。
事故で死んでしまった、夕。双子の妹である、夕。
この世に残っているのは、夜。双子の姉である、夜。
夜は不眠症になってしまい、治すには首を何かで絞めなければならない、と言い出します。その原因がこの事件・事故なのです。
どのお話も、人を殺すこと、死の様子が描かれており、主人公の僕は死こそが現実だと言います。他の物事はいくらでも脚色が出来る、しかし、死はたった一つだと。
あくまでも小説の世界の話ですので、これが現実ではありません。現実世界では毎日のように殺人事件が起こっています。誰も望んでいません。でも、殺人犯には殺人をする衝動があるのも事実です。
小説の中でこそありえる世界観、乙一作品の魅力だと思います。。。