citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

憂鬱なターコイズ

2006-08-31 23:03:03 | つくりばなし
ターコイズカラーの少々派手なヘルメットを頭に押し付けられた。
兄のバイクは無機質なシルバーの塊だ。マシンは熱くなるのに、乗っている間は全く熱を感じない。とは言っても、まだ数える程度しか乗ったことがない。
僕はリュックを背負いなおして、兄の背中にしがみついた。

まったく、来年は中等部の生徒だろ。いつまでも甘えるな。
昨日は新学期の準備をしていたんだ。だから、
だからじゃない。言い訳なんてするな。毎年毎年、うんざりだ。

毎年恒例の言い争いをして、バイクは走り出す。
兄は現在、大学の3年生だ。バイクの運転免許は高等部に進学したときに取った。
その時僕は初等部の1年生で、その年からずっと、夏休み明けの第二学期初日だけはこうしてバイクで学校へ送ってもらっている。今年で6年目だ。
理由は単純。二学期初日の朝までは、僕の体内時計が夏休みのままだからだ。
起きた時点で、徒歩とバスでのいつもの登校スタイルでは始業時間に間に合わない。
とにかく、顔を洗い歯を磨いて制服を着つつ、兄に懇願するのだ。
初等部の6年間、毎年この日だけは兄のバイクで登校している。

耳元で風が叫んでいる。いつもの街並みはすぐに後方へ流れて、混雑している道路の間を器用にすり抜けながら学校へと近づいて行く。
疾走するシルバーの塊は、周りから見たら水銀のように見えるかもしれない。

おい、後ろで寝るなよ。
起きてるよ。大丈夫。
お前な、本当に来年からは出来ないんだぞ、分かってるか?
分かってるよ、分かってるから。

そう。兄の通う大学では4年生になると、この街よりもっと都会にあるキャンパスに通うのだ。来年からは、兄はその都会で学生寮に入るらしい。
だから、本当に今年で最後なのだ。
来年からは、ちゃんと目覚まし時計で起きなければならない。

兄の背中にしがみつく。
向かい風がシルバーの塊にぶつかり、マシンの振動が眠っていた身体を目覚めさせる。

こんな風に僕の体内で夏が去り秋へ移っていくのも、本当に今年で最後なのだ。
上り坂の途中、校舎が見えてくる。
何故か、水色の屋根が空に溶けていた。




極地へ

2006-08-30 23:04:46 | 日記
国立科学博物館で開催されている『ふしぎ大陸南極展2006』へ友達と行ってきました。最終日は9/3(日)です。行って見たい方はお早めに!!

南極を手探りに探検していた時代から、現在の地球環境までが展示されており、テンポよく見れました。
南極に住む動物や樺太犬のタロ・ジロのはく製、観測基地の施設・仕事の内容、天然のカーテン・オーロラ、何万年も前の空気を含んだ氷等、見ているだけで涼しくなりましたが、低温体験コーナーで南極の寒さを体験でき、面白かったです。
色々触ってきました。南極の氷、ペンギンの翼、クジラのひげ、数種の隕石・・・
どことなく、長野作品の世界に入ったような感じもありました。

興味のあることを知るというのは楽しいです、本当に。
といっても、南極展のポスターのアデリーペンギンに惹かれて行ったようなものでしたが、実際、普段は意識しない南極を様々な角度から見れて、行って良かったなぁと思いました。
次回は国立西洋美術館にて9/12(火)から12/10(日)まで開催される
『ベルギー王立美術館展~ブリューゲルからデルヴォーまで~』
に行ってみようかと。。。

赤の風景

2006-08-29 19:32:17 | つくりばなし
立ち枯れした向日葵と、真っ赤な夕焼けのコントラスト。
真綿を伸ばしたように雲がたなびき、沈む陽がじわりと染みていた。
若い蕾をつけたコスモスの群れは、細い葉が赤い風にそよいでいた。
砂利道には夕べ降った雨の名残、水溜りすら忘れられた氷イチゴみたいだ。

夕焼けの向こうから、少年が歩いてくる。
虫取り網を握り、虫かごを揺らして満足そうな様子だ。
突然、少年が倒れた。砂利に滑ったらしい。

その拍子に、スッと空を切る赤蜻蛉。

少年は立ち上がった。土埃をはらい、泣くのをこらえている。
投げ出された虫取り網と、壊れた虫かごのコントラスト。
空っぽの両方を拾い、また歩き出す。
左足を引きずっていた。膝は熟れた柘榴色だった。

少年とすれ違った。
痛みをこらえているのか、取り逃がした赤蜻蛉を悔やんでいるのかは分からない。
くぐもった嗚咽が聞こえた。麦藁帽子が寂しく揺れている。

夕焼け、蜻蛉、熱い血潮。
染まる赤は生きている色だ。
温かく、時に痛み、感覚を与えてくれる生きている色だ。

遠くで踏切が鳴る。夕陽が沈む音に聞こえた。




イメージ

2006-08-29 19:27:02 | 日記
ブログを書くことを意識すると、前よりも毎日の出来事をよく思い出すようになりました。その出来事を文章にする作業もまた、楽しく感じます。
もともと文章を考える事は好きです。でも、まとめることがうまく出来ず、作文や感想文は苦手です。そのかわり、自分の作った文章を感覚で繋げていくことはいつまでも考えていられます。
ブログを作ったのも、どうせなら日記や読書記録だけではない、つくりばなしを書いてみようと思ったからです。
日常の風景から幻の世界まで、様々なつくりばなしを書きたいと思っています。

今日は、計画性について考えされられる一日でした。
私は何だかんだ言って計画を立てるより、思い立ったが吉日と思い、突発的な行動の方が多いです。
けれど、世の中思い立って吉日ばかりな訳もなく、計画性が求められるほうが遥かに多いのです、当たり前ですが。
計画を立てられる人間になりたいです。予定は未定でもいいので。
道を通らなければ何処へ辿り着くこともありません。
歩むべき道を歩むことの難しさ。まずは地図を確認することから。

なんだかなぁ

2006-08-28 19:20:10 | 日記
今日は、午前中はテンポよく物事が進んだんです。
午後、帰宅途中から色々とついてませんでした。
電車の遅延、工事中のためまわり道、杏仁豆腐かと思ったら杏仁豆腐風味のフルーツヨーグルト・・・。
特にまわり道についてはなんだか妙に癪に障りまして。
人生経験が浅すぎるので、仕事に関して語ることはできませんが、普段の生活においても、それが自分の役割であって仕事だったら、できること・やるべきことをやればいいと思います。
不満や文句を言うのは役目を完璧に終えてからだ、と改めて感じました。
明日からは朝夕違う道を通って行こうと・・・はい。

なつがゆく

2006-08-27 21:58:45 | つくりばなし
なみなみとグラスいっぱいに、冷えたミネラルウォーターを注いだ。
つま先から頭の芯まで、キンと冷えていく。
がらんとしたリビングを夜風が回遊する。まだ昼間の熱を含んでいた。
ゆれるのは気まぐれに作った貝殻のモビールだけ。
くるりくらり、白や薄紅の貝が夜風と遊ぶ。
あの日は思いついたまま海に行ったのだ。
きらきら輝く海や水平線を無性に見たくなるときがある。
はる、なつ、あき、ふゆ。季節問わずにそんな衝動に駆られる。
すっかり温んだミネラルウォーターを、ゆっくり飲み干す。
ぐっすり眠られるよう、願いながら体内へ浸透させた。
そう、明日から新学期が始まる。今日はよく寝ておかなければならない。
こうして今年も、夏が行く。

とりあえず

2006-08-27 21:54:55 | 日記
今日は朝からブログを作り始め、四苦八苦しながら形だけは作れました。
とりあえず、このブログのカテゴリを制覇してから寝ます。
夏も本当に終わりですね。というのも、日テレの24時間TVを観終わると、夏休みも同時に終わってしまうような感じがします、個人的に。
夜になると虫の声がします、田舎なもので。
虫の名前までは特定できませんが、秋の気配たっぷりです。