citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

『現代詩手帖』2017年10月号「川口晴美と、詩と遊ぶ」にて詩で遊びました!

2017-09-29 17:10:01 | 主な仕事の記録
9月28日発売の『現代詩手帖』2017年10月号にて、川口晴美さんによるアンソロジー企画「川口晴美と、詩と遊ぶ」の最終回に、参加させていただきました。
このアンソロジーは、ある設定において詩を書くことへの挑戦なのですが、最終回の設定は【女性が死滅した後の社会(「女性」と接した記憶のある世代はもうほとんどいない。凍結卵子と人工子宮によって子供はまだ生まれ続けているが、XXは死産となってしまいXYしか育たない)で暮らしている】人として、作品を書いたのでした。
架空のとはいえ、もしかすれば無きにしも非ずな世界の住人になりきるのは、意外と難しかったです。色々な可能性を考えては消してを繰り返し、掲載作品の形に落ち着きました。

詩以外に短歌と俳句作品が同じ設定で書かれて、ページによっては作品同士が同居する形にもなり、レイアウトにも力が入っています。
このレイアウトは、詩誌「草々」や他の個人誌でお世話になっている稀人舎さんが担当されました。
私は詩作品「まだいける」で参加しています。
私と同じページには、俳人の石原ユキオさんの俳句作品「四代目中村地球三郎第一句集『宙乗(スペースフライト)』より」が掲載されています。
どことなく、石原さんの俳句作品と私の詩作品は、浮遊感という点で共鳴しあっている気がします。
ぜひ、お手に取ってご覧いただけましたら幸いです。


詩誌「草々vol.3」が完成しました

2017-09-22 18:27:05 | 主な仕事の記録
季刊全4回の詩誌「草々」の3号、「草々vol.3」が出来上がりました。
9月23日(土)より順次、下記のお店などで配布していただいております。
無料の詩誌なので、気になった方はぜひお手に取ってみてください。

・配布していただくお店など……9月23日から「草々vol.3」が配布されます。
ジュンク堂書店池袋本店様
本屋B&B様 
詩とダンスのミュージアム様  ※開館時間:11:00~17:00/休館日:月曜・火曜・水曜
art space bar BUENA様
葉ね文庫様

※詩誌はお預けしてある分のみの配布になります。
品切れの場合も新しく印刷は行わないため、お早めにお店でゲットしてください!



・詩誌「草々vol.3」
かつて雑誌「現代詩手帖」へ詩を投稿していた、1988年生まれの仲間4人が20代最後の1年間を、手紙のやり取りと詩で記録する、無料配布の詩誌です。
季刊誌として、全4回の発行を予定し、このたび3号が完成しました。

・詩誌の形状
大きさ:165mm×118mm
手紙のように封筒へ、手紙と詩作品が封入してあり、マスキングテープで封をしています。
冊子の形ではなく、封をしてあるので立ち読みはできませんが、
手紙を開ける楽しみを感じていただけましたら嬉しいです。

・同人
暁方ミセイ
疋田龍乃介
吉田友佳
そらしといろ

・デザインと編集
稀人舎

詩集『記憶する生×九千の日と夜』吉田広行・著(七月堂)の栞文を書きました

2017-09-06 14:53:24 | 主な仕事の記録
このたび、吉田広行さんの新詩集『記憶する生×九千の日と夜』(七月堂)の栞文を担当させていただきました。
この詩集は、「記憶する生」が断章形式の詩、「九千の日と夜」がある時代の詩と映画にまつわるエッセイという、二部構成になっています。
「記憶する生」の詩作品は、廃墟の都市やアンドロイドを想像したくなる、SF的な言葉が並んでいます。
眩しすぎる光にあふれてしまった世界の静寂に浸る詩、或いは死が、断章の断片に記憶されていました。
とくに好きな部分を一つ挙げておきます。

 三
もう老いることはない
あらかじめ失われた老年の日々よ
永遠に二十歳に満たない緑の歳月よ

ぼくらは眠る、眠りつづける
生まれてから一度も目ざめたことのないぼくたち
ずっと未熟のまま
ぼくらは蚕のような生のcapsuleで活きる

一度も生きたことのないぼくたち
仮想の地平はどこまでも青い

(『記憶する生×九千の日と夜』「記憶する生」より)

「九千の日と夜」のエッセイは、80年代のバブルと崩壊したあとの90年代、そして2000年代と、約10年ずつに区切り、その時代ごとに映画や詩を紹介しつつ、時代背景を見つめるエッセイが綴られています。
栞文を担当した私自身は1988年生まれなので、80年代の記憶はほとんどないのですが、吉田さんのエッセイに脈打つ、何かが崩壊する予感に、共感することができました。
崩壊の予感や、崩壊そのものは、実は詩のパートでも繰り返し予言されているものです。
その予感を散文形式で表現したのが、このエッセイだと思われます。

詩とエッセイをあわせて、全73ページの読みやすいボリュームの1冊です。
秋の読書のお供にぜひ、ご覧いただけましたら幸いです。