citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

ファミリア

2007-11-26 00:40:34 | 日記
今日は中学時代の友達とお世話になった先生に会ってきました。
前回に会ったのも、丁度1年くらい前になります。それぞれに生き延びていて、思い出に浸りつつ、カラオケで発散しつつ、面白かったです。
今度はもう一人、連絡が取れたら誘ってみようかと…今もなお繋がっていられる貴重な縁を、出来るだけ絶やさぬよう、年賀状に願いを込めて。

と、お昼ごろに再び図書館へ行ってきました。
また読めるかどうか分からないのに6冊も欲張って借りてきてしまいました。
この前借りた中山可穂作品と、三浦しをん作品を読んで、熱が戻ってきてしまい大変です。
忘れぬうちに、前回借りて読んだ分の感想を、ちろちろと書き綴っておきます。



『ジゴロ』中山可穂(著)は、タイトルからしてインパクトがあります。
ジゴロ…それは交際してる女性にたかって生活する男性を指すフランス語です。
この作品でのジゴロは、カイという名前の流しのギター弾きを指します。
何篇か集まった短編集の中で、彼女は大恋愛の末に結ばれたメグという女性がありながら、人妻や女子高生と短い一夜を過ごしています。
カイ曰く“一人の女を愛するために百人の女と寝ることもある”そうです。
この短編の中では『恋路すすむ』と『上海動物園にて』が印象に残りました。

『恋路すすむ』…芸名:恋路すすむという女性のギター弾きは、幼い頃から自分の性別の不一致を感じており、苦悩の中で情熱的なタンゴやフラメンコ調の音楽と巡り合ってから、新しい自分としての運命が始まりました。
芸能界から女性関係から紆余曲折を経て、新宿に自分のバーを出店してから穏やかな時を過ごしていたところに現れたのが、カイでした。
その時、カイの行きずりの女:真紀に出会い、すすむと真紀はお付き合いを始めるわけですが…
やっと得られた幸福の恋は、ありふれた悲しい結末を導き、でも、ある意味では標本箱に収めたような、普遍の美を保つ究極の“恋路”の形を描かれています。

『上海動物園にて』…キャリアウーマンでカイの大本命の恋人:メグが、珍しく上海への出張にカイを連れて行き、その先々でありがちなすれ違いに陥ります。
元々メグは仕事大好き人間で、カイを構ってあげようと思いながらも、昼の会食に夜までの仕事と結局、カイを一人ぼっちにしてしまうのです。
最終的に仕事を取るか、カイを取るか、そんな選択肢を選ばざるを得ない状況になり、こちらはハッピーエンドを迎えます。
このワーカホリック一歩手前のメグを愛するために、カイはあらゆる女性と一夜の契りを交わす…メグに心底惚れているからこその、愛の保ち方なのでしょう。
メグが大好きだからメグを思いやっての、浮気というか何と言うか。深いですね。

愛は常識では測れず、恋というのもあらゆる形状になって、人と人を繋げ、結びつけているのだ、と語っているように感じました。
敬愛の心が、恋の思慕に変化しているのか、していないのか。私はいつもこの境界線で悩んでいます。。。