citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

重ね重ね

2006-11-16 21:49:35 | 日記
スラスラと読めて頭に沁みこむ文章が好きで、憧れています。
まさにスラスラと読み終わりました、『浮世でランチ』山崎ナオコーラ(著)
ちょうど今、悶々とした気持ちを抱えている時にこの作者と出会えて、不思議な感じがします。という事で、感想を。

会社を辞めて東南アジアへ旅に出る主人公:丸山君枝は25歳、独身です。
彼女の現在と過去を行ったり来たりしながら物語は進みます。
所々で神の存在についての問いがあり、神様みたいなモノへの崇拝の意識、触れるものと触れないものの違い、神様に見られている自分と周りの人々…等をどのように自分が感じているのか、その気持ちを彼女は上手く他の人に伝えられないことに悩んでいました。そんな折、辞めた会社で仕事をともにしていた三上さんと旅の途中、メールと葉書でやり取りをします。
彼女が旅をするタイやマレーシア、最終目的地のミャンマーの風景の描写も読み手を引き込み、自然とその視線は彼女と同じ位置にあるように感じました。
旅をする中で彼女は色々なものを見ます。美しい自然風景、そこに生きる貧しい人々、はにかんだ笑顔を見せる女の子、愛想のいいおじさん。
見て、感じて、彼女は自分の悩みに対して、ある考え方を探し出しました。それは是非読んで確かめてください。

何よりも、彼女の悩みがそのまま私自身の悩みなので、共感できました。
また、彼女の中学時代の友達の中にいる鈴木君も私に似ています。
言葉が見つからない、まとまらない。言いたい事は沢山ある、なのにどうして相手に伝わらないのか。一生懸命話せば話すほど、伝わらなかったりします。
今現在、私はこの小説を読んで色々な衝撃を受けて、スゴイ!!としか言いようのない感覚です。君枝の考えている事や考え方を君枝の一人称で書いてあって、そのもどかしさや疑問の気持ちが伝わってきて、すごいなと。
好きな作品です。買ってもいいなぁと思うほどです。

自分の物事に対する考え方を少し見直せるような1冊です。。。