河瀬ビジネスサロン ライフワークを育てよう!

コーディネイター河瀬謙一@SOHO CITY みたかからの発信。
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実行へのヒント-790

2023年04月09日 | Weblog


ゆっくりと、じっくりと

私の幼少時代は、日本人が急にあわただしくなった時代だった。
人生を組織に捧げれば、予想以上の対価が得られる時代(つまり高度経済成長の時代)で、どっぷりと競争社会に突入した。
時代はさらに進み、アナログからデジタルに変わりさらに加速度を増し、IT(ICT)が普及してからは一層の競争社会になり今日を迎えている。

より速く、より高く、より強くはオリンピックのメッセージだが、日本のビジネス・パーソンは実に素直にこの時代に適応して生きているように見える。

そんな中、日本は時間をかけて失われた30年を乗り切った、と言い切るのは米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授のウリケ・シェーデさんである。

この30年を日本はゆっくりと変化して乗り切った。
社会の不安定さを最小に抑えるためである。
スピード優先のアメリカは華々しい成果(GAFAM)を出したが社会は不安定化した。
二国の違いは「能力」ではなく「選択」の違いだ、という。

教授は日本の製造業に注目し、日本の大企業は規模では中国にかなわないと悟り、

1.組織を自ら分解してニッチ市場に取り組んだ
2.そのための新しい技術獲得への努力を行った
3.結果、新たな世界のサプライチェーンに独自の強さを発揮して、既に重要な位置を占めいる

の3点をもってその変身ぶりを語る。

好奇心が強い日本人は、これからも変化が早く刺激的なシリコンバレーを見るだろうし、それは記事にも書きやすい。
しかし日本はシリコンバレーにはならないし、なれないし、なる必要もない。

大事なことは比較して卑下するより、他者にない自分自身の良さを再発見し、学びを加えること。
新しい市場に挑戦すること。
この二点だ。

つまり成果を出すことが目的なら、そのアプローチは単線であるとは限らない。
スピード感はないが、自分なりの方法だってある。
早く、早くの習慣から、ゆっくり、じっくりへの転換にも意味がある。

西洋の薬と、漢方薬の違いと言ってもいい。
オーブンではなく炭火での煙モクモクの焼き鳥は美味い。

そして自分独自の実行と経験から学ぶ。
足りない分は逆勉すればよい。

人生にはいろいろなことが起こるから、時間は人として成長する機会を与えてくれる。
ショートカットの成果主義にそれはない。
成熟ワインは時間の賜物ではないか。

急がず、休まず。
Without haste, but without rest.

これはゲーテの言葉だが、彼は晩年毎日ボトル二本のワインをペロリと飲んでいたそうである。
私は一本で充分だ(笑)。


【参考書籍】
・再興 THE KAISHA 日本のビジネス・リインベンション
 ウリケ・シェーデ (著), 渡部典子 (翻訳)

コメント
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