喫茶店での出会い

　ある日の午後、初めての喫茶店に一人で入ってみました。店内は暗く誰も店の方がいないように思ったので、「ごめんください」と挨拶をしてしまいました。中からゆったりとしながらもどこか親しみやすい女性のオーナーが笑顔で出てこられたので、まずコーヒーの注文をしました。客は約１時間半ほどの間に誰も来なかったから、僕一人。

　店内を見渡してやや抽象的表現の油絵が何枚か飾ってあるので、趣味のひとつでもと思って、こちらも水彩画だが、少しばかり下手な横好きで描いているといった世間話をカウンター越しに話しているうちに、どちらかとも名刺を交換してびっくり。なんと北海道でも名だたる美術組織で、入選するのも難関ならましてや会員と書いたのを眺め、よくよく相手の方のお話を伺ってから自分のことを言い出すべきだと大いに恥じ入ってしまいました。

　でもオーナーと話しているうちに話がどんどん広がり、何か生み出せそうなとても前向きな姿勢に元気をもらいました。ずっと前から出会っているような気がして、一杯のコーヒーで足りず、もう一杯サービスしてくださいました。素晴らしい心休まる楽しいひと時でした。たまにはこんな時間をお取りになるのもいかがですか。

　やさしいタイガー