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一字違いの人生

2018-08-12 16:07:02 | 日記・エッセイ・コラム

 先日、なるほど!、と思わせる言葉が新聞紙上に載っていた。                                 哲学者の鷲田清一さんが毎日ほんの一口程度の言葉を紹介する記事だが、                         確か8月上旬だったと思う。

 「わずか「タ」と「チ」の違いで何十年も年をとる」というタイトルで解剖学者の                         三木成夫さんの言葉を紹介、解説を鷲田さんがしていた記事だった。

 『「よちよち」から「よたよた」へ。たった一音の響きの変化が数十年の時の                             経過を表すと、解剖学者は言う。人はやがて「よろよろ」になり、いつか「よぼ                             よぼ」「よれよれ」になりもしよう。人や物の姿や様子を音に転写するオノマト                           ペ(擬態語・擬音語)は、ほんの一音ずらすだけで意味の大きな地滑りを引き                              おこす。まさに《音で描かれた絵》である。『内臓とこころ』から。』。

 読者はどう受け取っただろうか。我が人生そのものではないかと、ぎくっと                         させられたが、一字違いで人の年輪を変えてしまうすごさがあるものだと                        気づかされた。

 「よちよち」から「よたよた」へ。そして堂々と歩む熟年期。希望を抱かせる                        表現である。やっと人生の峠にさしかかった熟年たちはこれから、どんな                                人生が待っているのだろうか。

 人はやがて自然に帰っていく。もしかして「よぼよぼ」になり、そして                           「よれよれ」になっていくのかもしれない。たった一字違いで人生のニュア                          ンスがこうも変れば、ぎょっとする。

 ふと我に返って、自分の人生も遠くまで来たものだ、と感じる。「よたよた」                            でも「よれよれ」でも精一杯生きてきたなあ、と思えるような歩みを続けたい                      ものと思った。人生とは曲がりくねった道を進んでいくものだがから、いいじゃ                           ないかといい聞かせて、やっぱり「しっかり」歩みたいと思う。

やさしいタイガー



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