昨夜、FMラジオから流れるドラマを聴いていました。少年は生まれたときから目が見えず、様々な差別を受けながら、次第に戦争にのめりこむ時代に何か役に立ちたいと努力します。しかし、現実は厳しく、生かしてくれるような環境にありませんでした。
一方2歳年上の従兄が、予科練に入校したこともあって、一層苛立ちを持ちます。かねてからピアノに天性を持っていましたが、その力は戦争に何も役に立たないと嘲笑われます。少年は耳のよさから「聴音兵」になれることを知り、遠くに飛ぶ敵の爆音を聴いて危険を伝える役割を担おうとするのです。
しかし、風雲急を告げる日本は、もはやふるさとを焼き尽くされ、少年の町にも無数の焼夷弾が雨あられのように落とされ、多くの市民が犠牲になります。軍国少年は、戦争の残酷さを身をもって知っていくのです。そして敗戦。
その場に立ったら、人は真剣に戦う精神状態になるのかもしれません。完全な独裁国家の中で、自分を主張することなど、許されない社会であり、国への忠誠心も盛り上がっていくのでしょう。見事な洗脳です。
66年経った今、この悲惨な現実を後世に伝えるべきだ、と「語り部」が勇気を持って語り残しつつあります。これとても、決して容易なことではありません。鬼となった自分、被害者であると同時に、加害者であることを自覚して語ることは、辛いことだと想像します。
それでも語り継いでいって欲しいと願うのです。日本は決して戦争を望まないことを世界にアピールするためにも、。
やさしいタイガー