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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

歌誌「六甲」3月号

2021-03-04 09:48:13 | 文芸
歌誌「六甲」の3月号巻頭の歌です。

←クリック。

素人がいうのも変ですが、牧野秀子さんの歌は正調というのでしょうか。
すっきりとした姿が立ち上がっているような。
それに比して、田岡弘子さんのは軽妙。かすかにユーモアも漂わせていて。
どちらも「六甲」の屋台骨を支えておられる歌人なのですね。

ほかにもたくさんの歌が載っていて楽しめます。

仲井清澄さんの 「水戸黄門に必ず出てくる悪代官似ている顔の政治家もいて」 
これには苦笑させられます。たしかにいますねえ。

西川愛子さんは入院生活を歌っておられて同情します。
 「何時の日か退院出来る日を待ちてやっと歌詠む前向きており」
「気のめいる日のあればすぐ六甲読みて和みぬ病院の明け暮れ」
など。

感心したのは鈴木裕子さんの 「黒電話のダイヤル回す感覚を人差し指がまだ覚えている」
ホントだ!この歌読むと、わたしの指にも感覚が蘇る。よく思いつくものですね。
もう一首鈴木さんの歌。 「何にでもなれると思ったあの頃に擦り切れるほど聞いたレコード」 共感します。

小西久代さん 「私の浮気相手は紅はるか鳴門金時しばし許して」 サツマイモなんですね。こんなユーモア好きです。
小西さん、もう一首。 「一年に一度の逢瀬重箱よあなたに逢うためつくるお節料理」

この歌誌に長年文学随想を書いて来られた鈴木漠さんが今号で終了とのこと。
この人の学識には100分の一も追いつきませんが、いい勉強をさせていただきました。
あとを受けて次号からは永田圭介さんが書かれるようです。それも楽しみです。

『完本・コーヒーカップの耳』
コメント
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