goo blog サービス終了のお知らせ 

喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『点滴ポール 生き抜くという旗印』

2016-06-30 16:07:19 | 本・雑誌
図書館からお借りして来た本。

『点滴ポール 生き抜くという旗印』(岩崎航)

著者は、進行性筋ジストロフィー患者。

一度は自殺を考えたことのある人。
奥付けから。←クリック
五行詩に出会って、生きる力を得る。
徒や疎かには読めない詩集です。
深い思いを五行に凝縮しているために、湿り気が少ない。カラッとしていると言ってもいい。甘さもない。頭のいい人なのだろう。

詩は、主に自分への語りかけ。
自分への励まし、確認、宣言、言い聞かせ、希望、自己凝視など。
少しだけ紹介しよう。

励ましとして。

  絶望の歌は
  そのうちつきるが
  希望の歌は
  尽きることがないはず
  そう信じて 進む


確認として(これは多い)。

  引越して西日が
  よく差すようになった
  ベッドサイドの窓
  何処へ行こうと  
  陽は 注がれる


宣言として。

  安楽死という
  スマートな
  断筆より
  泥臭くとも
  今日を生き抜く


言い聞かせとして。

  ふと、こころが沈む
  ときもあるけれど
  胸の奥の  
  火を打つ石は
  失うまい


希望として。

  本当に
  心の底から
  願っていることに
  向き合えば
  いのち 輝く


自己凝視として  
 
  失禁したあとの
  言葉無き優しさ
  屈辱と
  申し訳なさとを
  そっと包む


このような深刻なものばかりではない。
ユーモアもまた漂う。なんとなくホッとする。

  鼻の管を留める
  ばんそうこうを
  顔に留まった
  白い蝶々に
  してくれた


ちょっと恐いユーモアも。

  停電をもたらす
  気まぐれな
  雷(らい)の神さま
  「呼吸器は止めて
  くださるな」


他に印象的な作品。

  日付の大きい
  カレンダーにする
  一日、一日が
  よく見えるように
  大切にできるように


  本に向かって
  鶴嘴を
  炭鉱夫のように
  ふるい続ける
  読書もある


ここに上げたのはごく一部。
出来ればこの本、読んでもらいたいなあ。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ピンザの島』読後感

2016-06-30 15:51:46 | ドリアン助川さん
『ピンザの島』(ドリアン助川)を読み終えた。

今話題のベストセラー、『あん』とはまた違った趣の、いい小説だった。
内容には重厚感がありながら、文体は軽やかで読みやすく、終って深く考えさせられた。
ちょっと印象的だった台詞。
「子ヤギはたしかに可愛いです。できればこのまま大きくしてあげたい。(略)いずれにしろ、あの子は近いうちにつぶされる運命です。だから私は名前をつけないようにしていたんです。名前をつけた瞬間に、肉用のピンザから、その…命ある家族に変わってしまいますから」
物語の三分の一あたりで出てくる台詞だが、最後までこの言葉が奥の方で響いているような気がして読み進めていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「名筆研究会展」

2016-06-30 11:43:53 | アート・文化
「名筆研究会展」の記事が神戸新聞に。
←クリック

昨日から始まっているのでした。←クリック

「名筆」は、わたしがいつもお世話になっている六車明峰さんが常任理事をなさっているところ。
六車さんは機関誌「名筆」の編集もなさっている。

これは覗いてこなければ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする