警察から電話があった。
身寄りのないある人(k氏)が死んだので身内を探していると。残されていたメモから一人クッションをおいてわたしに電話が。
対応したのだが、終りにわたしの名前のフルネームを聞かれた。そして漢字を。わたし本名「欣史」です。これ電話で説明するの難しいのです。
「欣求浄土」の「ごん」と言ってもなかなか分かってもらえません。「欣喜雀躍」の「きん」と言っても…。で恥ずかしいのですが「北大路欣也」の「きん」と言ってしまいます。すると小さく笑われる。なんとかなりませんかねえ。
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ところでKさん、あなたとの交流はわたしにとって大変刺激的でした。最後はいやな別れ方になりましたが、それまでのあなたとお付き合いした数年間は、わたしにとって実に面白いものでした。わたしが全く知らない世界の話がなんとも刺激的でした。あなたをモチーフにたくさんの文章を書かせてもらいました。あなたを主人公にした冊子も作りました。あなたは喜んでくれました。「デイリースポーツ」の記者に紹介し、あなたのことが大きな記事になり、それが3回も続いたりしました。また、『KOBECCO』の100回に上る連載の第一回目にあなたのことを書きました。それを読んだ当時の編集長、小泉美喜子女史は、ずっと書いて下さい、と言ったのでした。途中も、何度もあなたに登場してもらいました。そして、あの事件の後も何回か、あなたに呼び掛けるように書いたのでした。しかし、あなたは、応えてはくれませんでした。その後も、あなたは私を裏切り続けました。2年ほど前にはわたしから、出入り禁止を申し入れました。そして、今日、こんな形であなたの訃報を聞きました。わたしは今、虚しい思いでいっぱいです。しかし、何はともあれ、あなたの冥福を祈ります。どうか安らかに。