御託専科

時評、書評、そしてちょっとだけビジネス

江副浩正「リクルート事件・江副浩正の真実」

2009-12-03 06:55:57 | 書評
佐藤優氏を初め様々な本で聞かされていたことだが、話が警察、検察、マスコミ及び裁判所、弁護士さらに事件関係者に絞って簡潔にまとめられているため、かなり構図が明確だ。それと、佐藤氏の本で記述された検事は「木っ端役人ではあるが高潔」でそれなりの品位があったが、この本での特捜検事どもは、脅しすかし泣き落としはもちろんのこと、「打ち上げ会に早く行きたいから調書に署名しろ」などというあきれ果てたことまで言う。語るに落ちるとはことことだ。こんな連中に高給払ってんだからね、税金で。給与半減してやれよ、ほんまに。

ともあれ、特捜検事どもは事件を捏造する。そのためには捏造調書を作り関係者のつじつまを合わせる。署名に同意しない場合は人質司法と密室のメリットを最大限使い精神的に追い詰める。強烈な人権侵害である。ロッキード以来世間で英雄のように扱われる吉永は英雄どころかこの人権侵害の親玉である。多分見識ある政治家と見られた後藤田もそうだ。恐らくマスコミとの付き合いでこの虚像は出来ている。彼らは、本来は栄光に包まれてもしかるべきまた更に社会に役に立ってもらってしかるべき人々を傷つけ墜落させる嫉妬深い悪魔である。造船疑獄以来この構図は変わらない。あるいは権力を背景にひとりよがりの正義を振りかざす点、旧日本軍陸軍の参謀本部と変わらない。強引であり国内無敵だが海外にでるとめちゃくちゃひどい作戦でやられてしまう。

江副さんの本でかなりしみじみと(類書以上に)わかった点は、裁判官の情けなさである。というのは、法廷でのやりとりで調書作成の強引さや検察ストーリーの矛盾などは相当明らかなのに(これはこの本の特色)、それでも捏造を疑わず?ものともせず?有罪を出す。取調べの強引さなどを正面から非難した地裁判決もあったりしてこれはすばらしいが(というより常識的にそうである)、同じ証拠で高裁で有罪にひっくり返る情けなさ。 加えて江副さんは株売却益への不当な課税をされてそれで国を訴えたがこれも理不尽な判決で25億ぐらいを不当にもって行かれている。裁判官よ、お前ら一体何を見てるんだ? 頭悪いんじゃないの? それ以前に常識ないんじゃないの?といいたくなるね。判決をいちいち第三者機関がチェックして点数出して、ひどいやつは法曹資格剥奪して裁判所を放り出そう。

裁判員制度は結構なこと。もっともっと範囲を広げて、こういう国策捜査系も裁判員裁判の対象にすべきだね。政治的には難しいとマスコミは騒ぐだろうが、半ばは彼らと検察のタッグがばれるからだろう。それから、取調べの全面可視化は急ぐべし。こんなことをしてるわけだから問答無用だね。ともかく、外の風を入れないとここまで濁ってしまった司法はまともになるまい。しっかし、マスコミの報道記者たちはえらそうなことを言いながら一体何をやってきたんだ?

コメントを投稿