御託専科

時評、書評、そしてちょっとだけビジネス

小川哲郎「玉砕を禁ず」

2010-05-30 21:56:01 | 書評
フィリピンのカバルアン丘を守った1000名近い部隊の話。日本軍のいつもの話だが、無能で強がってばかりの上層部と、従順にして勇猛な現場で戦う兵卒のコントラストが著しい。
フィリピンでも50万人が死傷したと言うことだ。50万人といえば200万人の兵卒の戦死者から見ても相当大きい。インパールだとか太平洋の島の話ばかり読んでいたが、フィリピンの陸戦も知っておく必要があると考えた次第。
ところで、全滅したと思われた部隊から帰ってきた人間への当たりの冷たさはひどいね。佐藤忠男の「草の根の軍国主義」の言うとおりだな。「世間」は美談を崩すと思われるものにひどくつらく当たる。

コメントを投稿