御託専科

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もうひとかけらの勇気があれば・・・

2005-12-06 10:02:29 | 時評・論評
Yomiuri-Onlineにこんな記事があった。
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福岡市で11月、福岡県警博多署に保護された同市内の少女(18)が、生まれてからほとんど外出を許されず、義務教育も受けないまま育てられたことがわかった。
同月初旬、母親(40)が少女への傷害容疑で県警に逮捕されたことから、明らかになった。福岡市教委などは約11年半前から未就学を把握しながら、事実上放置してきたことを認めている。
同署によると、少女は10月28日午後、テレビを見ないとの言いつけを守らなかったとして母親から顔や背中を殴られ、はだしで家を飛び出した。所持金はなく、同市内の公園で寝泊まりし、水を飲んで空腹をしのいだという。11月1日午後、通行人に助けを求め、保護された。
 少女の身長は小学校低学年並みの1メートル20で、かなりやせていた。ゆっくりとした会話はできるが、漢字の読み書きや計算はできない。
 同署の事情聴取に対し「ずっと家の中で暮らしています。買い物もしたことがないし、友だちもいません」と話した。
 母親は、少女を就学させなかったことについて、「物を壊したり、排せつがうまくできないなど発育の遅れがあり、外に出すのが恥ずかしかった。他人の迷惑になるとも思っていた」と説明した。
 少女は父母と姉、兄の5人家族。父親は留守がちで、姉と兄は既に独立しており、ほとんど母親と2人だけの生活だった。
 博多署はネグレクト(育児放棄)の疑いもあるとみて捜査したが、養育を完全に放棄したとはいえないと判断、傷害容疑だけ立件した。
 少女は現在、検査入院している。
 一方、市教委は少女が小学校に入学する年齢に達した時から、中学校を卒業すべき年までの9年間、校長らに月1回のペースで家庭訪問をさせていた。
 しかし、母親が「娘の具合が悪い」などと面会を断り続けたため、少女の姿は一度も確認できなかった。
(2005年12月6日3時17分 読売新聞)
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かわいそうなことだ。なんとかこれから立ち直ってくれるといいと思う。

ここで話題にしたいのは学校関係者の気持ちである。もしかしたら今後週刊誌などで教師の怠慢が非難されるんだろう。それでも思うのは、月に一回家に行っていたなら、少なくともその初期はなんとかしたい気持ちがあったはずであり、何人かの関係者のうちには義憤に溢れた人もいたはずである。それなのにこんなことになってしまった。母親に強制力を発揮して子供を保護することができなかった。
どういうことかと思う。別に教師の怠惰を言っているわけではない。踏み切ることをためらわせた事情はなんなのだろうと、少し悲しく思う。下手に母親に騒がれると娘を救おうとしたものが悪者になる仕組みが社会的に存在するのだろう。マスコミはもちろんそうだろうし、場合によっては警察もそうかもしれない。
仕組みが常に問題だ。世の中の8割の人は状況により勇者にもなれるし卑怯者にもなれる。勇者を輩出する仕組みがとても大事だ。それこそ本当の政治というものであろう。