ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

アイスランド、2008年の商業捕鯨の詳細を発表

2008年05月20日 | 生命&倫理
2008年05月20日 18:22 発信地:レイキャビク/アイスランド
【5月20日 AFP】アイスランド政府は19日、2008年度割当て分の商業捕鯨を20日から再開することを明らかにした。

 農業・漁業省のステファン・アスムンドソン(Stefan Asmundsson)氏がAFPに説明したところによると、2008年の捕鯨期間は20日から9月までで、割当て量はミンククジラ40頭。

 アイスランドは1990年の国際捕鯨委員会(International Whaling Commission、IWC)会合で採択された商業捕鯨モラトリアムに従い、16年間にわたって商業捕鯨を停止してきたが、2006年10月、国際社会の非難を受けながらも商業捕鯨を再開した。

 今年度の商業捕鯨については、これまで態度を明確にしてこなかったが、これについてアスムンドソン氏は、事前に鯨肉の市場需要の把握が必要だったためとしている。

 今回の捕鯨再開決定については、早くも動物保護団体などから非難の声があがっている。

 国際動物福祉基金(International Fund for Animal Welfare、IFAW)英国支部のロビー・マースランド(Robbie Marsland)支部長は、「クジラは絶滅の危機にひんしており、商業捕鯨の再開はすでに逼迫(ひっぱく)した状況にあるアイスランド経済にも、同国の国際的イメージにもマイナスだ」と述べ、政府に再考を強く求めた。

 現在、商業捕鯨を行っているのはアイスランドとノルウェーの2か国。これに加え、日本が科学的調査目的として調査捕鯨を行っている。(c)AFP

[AFP BB News 2008年05月20日]
http://www.afpbb.com/article/economy/2393847/2948883

水産庁 捕鯨班 のサイト
http://www.jfa.maff.go.jp/whale/indexjp.htm
「捕鯨班の基本的な考え方」のページ
http://www.jfa.maff.go.jp/whale/assertion/assertionjp.htm#top



勃起・射精の専用神経回路を発見=京都府立医科大学

2008年05月19日 | ラット
 哺乳(ほにゅう)類のオスはペニスを勃起(ぼっき)させて射精するために、脊髄(せきずい)に専用の神経回路を発達させていることを、京都府立医科大学の坂本浩隆助教(神経解剖学)らが発見した。この神経細胞は、特殊なホルモンを作り出していることもわかり、勃起不全などの原因を探るかぎとなりそうだ。米科学誌ネイチャーニューロサイエンス(電子版)に19日、掲載された。

 坂本さんらは、神経細胞が出すガストリン放出ペプチド(GRP)というホルモンとしても働く物質に注目。ラットを使い、下半身の運動や感覚をつかさどる腰付近の脊髄を輪切りにしてGRPがあるかどうか、染色で確かめた。するとオスだけに、よく染まる神経細胞があり、神経の先端が勃起や射精を起こす自律神経につながっていた。一方で、オスの生殖器が萎縮(いしゅく)したラットには、GRPを持つ神経は発見できなかった。GRPの放出を薬などを使って調節する実験では、勃起と射精は対応して増減した。

 哺乳類のオスの生殖行動は、脳からの興奮と同時に、脊髄での反射も重要な役割をしているとみられる。今回の成果は、反射と勃起のメカニズムの基礎的な関係を解明するもので、坂本さんは「勃起不全の治療に結びつく可能性がある」と話している。(内村直之)

[朝日新聞 2008年05月19日]
http://www.asahi.com/science/update/0519/OSK200805180049.html

オートバイ運転は“脳トレ”になるか 川島教授とヤマハが共同研究=東北大学、ヤマハ発動機

2008年05月19日 | 心のしくみ
オートバイを運転すると脳が活性化されるか──東北大学の加齢医学研究所・川島隆太研究室とヤマハ発動機は、二輪車が脳に与える効果を調べる共同研究を始める。

 オートバイを運転すると脳が活性化されるか──“脳トレ”で知られる東北大学の加齢医学研究所・川島隆太研究室とヤマハ発動機は、二輪車が脳に与える効果を調べる共同研究を始める。結果は本年度中に出す予定。

 二輪車運転では両手・両足が異なる動作を行う上、バランス感覚が必要。四輪車より体力や運動神経、反射神経が必要で、気候や温度変化などにも敏感になる。「オートバイユーザーは、実年齢より若く見られる人が多いとも言われている」という。

 研究では、二輪車の運転が脳の活性化に影響を及ぼしているのかどうか、必要な神経の動きや、外界からの刺激に対する脳の反応について研究を進める。

 具体的には、携帯型の光トポグラフィー機器を使い、運転時の脳機能の変化を読み取る。また、乗っている人と乗らない人との運動神経、反射神経、空間認知力などを数値化していく。乗っていなかった人が乗るようになった場合の数値変化などを通じ、二輪車の乗車と脳の活性化の関連について調べる。

 川島研究室は、製品やシステムが利用者の脳に与える影響を評価し、企業による新製品開発などにつなげる産学連携に取り組んでおり、今回の研究もその一環。

[ITmedia News 2008年05月19日]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/19/news016.html

サケ、命がけで産卵。6~7秒 心臓停止を確認=北海道大学

2008年05月18日 | 生きもの色々
 サケは産卵の瞬間、心臓を止めている――。北海道標津(しべつ)町の標津サーモン科学館で実施された北海道大学大学院生らによる実験で、14匹のシロザケから、こんなデータが得られた。今年9月に米国で開かれるシンポジウムで発表される見通しだ。

 サケの心停止現象については83年に論文が発表されているが、この時は1ペアだけのデータだった。今回はこの論文を裏付け、心停止がシロザケ全体の生理現象であることを証明したとみられている。

 同大大学院の環境科学院博士課程の牧口祐也さんと、同科学館学芸員の市村政樹さんらの共同研究。産卵期の昨年11月、科学館に隣接する標津川とつながる魚道水槽で実験した。根室海峡から遡上(そじょう)してきた20匹に麻酔をかけ、心臓付近に電極、背中に心拍を記録する小型記録計を装着。水槽に戻し、動画カメラで撮影して産卵の様子を見守った。

 オス5匹、メス9匹のデータがとれ、心電図と動画を分析。シロザケの心拍は通常毎分80~90回とされるが、メスが産卵し、オスが精子をかける時に、いずれも6~7秒間、心停止していた。牧口さんは「10拍分は止まっている。心停止は産卵時だけだった」と話している。

 83年の論文をまとめた広島大学大学院生物圏科学研究科の植松一眞教授(魚類生理学)は「サケはタイやヒラメなどとは違い、泳ぐための筋肉を使い産卵する。その瞬間は全身の毛細血管が押しつぶされるくらいの状態だ。血圧を下げるために心停止するのではないか」と話している。(神村正史)

[朝日新聞 / 2008年05月18日]
http://www.asahi.com/science/update/0518/TKY200805170239.html

ガムをかむと一時的な記憶向上、脳診断装置で裏付け=放射線医学総合研究所、神奈川歯科大学

2008年05月17日 | 心のしくみ
 ガムをかんだ直後に単純作業をすると、一時的な記憶力が良くなるとの実験結果を、放射線医学総合研究所と神奈川歯科大の研究チームが17日までに米科学誌ニューロサイエンス・レターズに発表した。物をかむ動作に集中力を高める効果があるとの研究成果は従来もあったが、脳の働きを詳しく調べる機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で裏付けられたのは初めてという。

[時事ドットコム / 2008年05月17日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008051700214

7割がニコチン依存症=自覚6割、医師相談は5%弱-全国喫煙者調査=ファイザー製薬

2008年05月15日 | 心のしくみ
 たばこを吸う男女の約7割がニコチン依存症にかかり、うち6割がそれを自覚していることが15日、米製薬大手ファイザーの日本法人(東京都渋谷区)の調査で分かった。しかし、実際に医師に相談した人は全体の5%に満たないという。
 31日の世界禁煙デーを前に先月中旬、47都道府県の男女各100人の計9400人を対象に、インターネット調査を実施した。
 それによると、全体で70.7%が依存度を調べるテストでニコチン依存症と判明。男性は69.9%、女性は71.7%と男女間に顕著な差はなかった。また、同症と判明した人のうち60.0%が依存症と自覚していた。
 「ニコチン依存症という病気を知っているか」との問いには「よく知っている」が19.4%、42.2%が「知っている」と回答するなど、6割強が病気として認知していた。

[Yahoo!JAPAN news 時事通信 / 2008年05月15日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080515-00000093-jij-soci

スルメイカを用いて細胞内の情報伝達構造解明=新薬開発の促進期待=名古屋大学

2008年05月15日 | 創薬
 名古屋大学の研究グループが、ヒト体内にも存在し、細胞内で情報を伝達する「Gたんぱく質」の受容体の立体構造を、スルメイカを使った研究で突き止め、15日、英科学誌ネイチャーに発表した。

 Gたんぱく質の受容体の立体構造は、医薬品を効率よく開発・製造するために必要不可欠な情報。現在、研究に利用されている牛よりも、スルメイカの方がヒトに近い。今回の成果により、アレルギーや血管収縮・拡張などの新薬開発の促進が期待されるという。

[時事ドットコム / 2008年05月15日]
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200805/2008051500027&rel=j&g=soc

 神山勉教授と村上緑助教らの研究チームは、スルメイカの網膜から明るさと色覚を感知するGたんぱく質の受容体「ロドプシン」を取り出し、原子・分子を規則的に並べる結晶化に成功した。
 その上で、ロドプシンの結晶に大型放射光施設「SPring8」(兵庫県)でX線を当てて解析。ロドプシン2分子が天然の脂質を挟んで横向きに緩く結合した上で、情報を伝達することなどを突き止めた。(了)

[時事通信出版局・内外教育研究会 2008年05月15日]
http://book.jiji.com/kyouin/cgi-bin/edu.cgi?20080515-1

ビスフェノールA:プラスチックの原料、胎児に影響、ラットで確認=国立医薬品食品衛生研究所

2008年05月14日 | 食品・栄養
 ◇基準以下でも
 プラスチック製品の原料になる化学物質ビスフェノールAが、現行の安全基準以下でも胎児や新生児に影響を与えることを国立医薬品食品衛生研究所(衛生研)などがラットで確認した。厚生労働省は、内閣府の食品安全委員会に評価を諮問する検討に入った。【下桐実雅子】

 実験では、母ラット5群に、妊娠6日目から出産後20日まで、ビスフェノールAを毎日投与。与えない群も含め、胎盤や母乳を通じた影響をみるため、生まれた子の発情期など性周期を約20匹ずつ長期間観察した。

 大人に相当する生後7カ月になって比べると人の1日摂取許容量の体重1キロ当たり0・05ミリグラム、それ以下の0・005ミリグラムと、同40ミリグラム以上の高い量を与えた3群の計5群の子ラットに発情期が続くなど乱れが起きた。

 ビスフェノールAについて環境省は04年、魚類で内分泌かく乱作用が推察されるとしたが、人への影響は認められないとしている。

 衛生研の菅野純・毒性部長は「性周期の異常は、ビスフェノールAが中枢神経に影響を与えたためと考えられる。大人は影響を打ち消すが、発達段階にある胎児や子供には微量でも中枢神経や免疫系などに影響が残り、後になって異常が表れる可能性がある」と分析している。

 ビスフェノールAについて米政府は4月、「胎児や子供の神経系や行動に影響を与えたり、女子の早熟を引き起こす恐れがある」とする報告書をまとめた。カナダ政府もビスフェノールAを含むプラスチック製哺乳(ほにゅう)瓶の輸入、販売、広告を禁止する方針を示している。

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 ■ことば

 ◇ビスフェノールA
 ポリカーボネート樹脂の原料。丈夫で軽いため、パソコン、携帯電話などさまざまな用途に使われている。環境ホルモン問題で、微量が熱湯で溶け出す哺乳瓶や食器は代替品に切り替わったが、輸入品など一部では使われている。

[毎日新聞 2008年05月14日]
http://www.mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/05/14/20080514dde001040037000c.html

遺伝子なしiPS細胞、化学物質で代用…安全性向上に期待=米スクリプス研究所

2008年05月12日 | 再生医療
 さまざまな細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)は、これまで3~4個の遺伝子を体細胞に導入する必要があったが、2個の遺伝子と化学物質を体細胞に加えることでも作製できることが、米スクリプス研究所のシェン・ディン准教授らの研究でわかった。

 遺伝子を使わない安全性の高いiPS細胞を作る技術の開発に道を開く成果だ。京都市で始まった国際シンポジウムで11日、発表した。

 iPS細胞を世界で初めて開発した山中伸弥・京都大学教授は当初、「Oct3/4」「Sox2」「Klf4」「c―Myc」とよばれる4遺伝子を用いた。さらに昨年、がん遺伝子である「c―Myc」を使わない3遺伝子でもiPS細胞ができることを示している。

 ディン准教授は、同研究所が持つ数万種類の化学物質の中から、体細胞にiPS細胞のような万能性を持たせることができる物質を探した。その結果、「Oct3/4」「Klf4」の2遺伝子と化学物質の組み合わせで、マウスのiPS細胞を作ることができた。作製に成功する割合も、4遺伝子を使う場合よりも高かったという。

 ディン准教授は発表後、読売新聞の取材に対し、これ以外の組み合わせでもマウスや人のiPS細胞作製に成功していることを明らかにした。これまで必要と考えられてきた「Oct3/4」と「Sox2」も必須ではなく、「近い将来、遺伝子を使わず化学物質だけでiPS細胞を作ることができるだろう」と語った。

[読売新聞 / 2008年05月12日]
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080512-OYT8T00216.htm

ヒツジの体内でサルの細胞作製、移植用臓器「工場」へ一歩

2008年05月12日 | 再生医療
 ヒツジの体内でサルの組織を作り、長期間生着させることに、自治医科大の花園豊教授(再生医学)らのチームが成功した。

 移植医療用の臓器や組織を家畜の体内で作る「動物工場」の実現に近づく成果で、米医学誌に発表した。

 研究チームは、母ヒツジのおなかにいる赤ちゃんに、さまざまな臓器・組織の細胞に変化できるサルの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を、複数の個所へ注入。生まれた子ヒツジを調べたところ、最大で直径20~30センチの組織ができており、サルの神経細胞や軟骨、肝細胞に似た細胞などが含まれていた。

 通常、細胞や組織を異種の動物に移植すると激しい拒絶反応が起こる。研究チームは、免疫機能が未発達な赤ちゃんのヒツジを選んだことで問題を克服した。混合動物(キメラ)を免疫抑制剤を使わず、異種の大型動物間で作ったのは世界で初めて。サルの組織は1年以上も生着しているという。

 ES細胞や新型万能細胞(iPS細胞)は、再生医療の切り札とされている。しかし、現在の技術では、肝臓や膵臓(すいぞう)の細胞を効率良く作り出したり、臓器のような立体構造を作るのは難しい。このため、人のES細胞やiPS細胞を使って、ヒツジやブタなどの体内で人の臓器・組織を作れないか研究が進められている。

 花園教授は「異種の動物間で病気の感染が起こらないようにするのが最大の課題。iPS細胞でも研究を進めたい」と話している。

[読売新聞 / 2008年05月12日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080512-OYT1T00400.htm

炎症性腸疾患の仕組み解明 、根本的治療の可能性=北海道大学

2008年05月12日 | 免疫
 北海道大遺伝子病制御研究所の西村孝司教授(54)らの研究チームは12日、厚生労働省が難病指定する炎症性腸疾患を引き起こす原因が、体内にあるリンパ球の一種「CD8T細胞」の異常増殖により生み出される物質だとマウス実験で突き止め、疾患発生の仕組みも解明したと発表した。

 同疾患はクローン病や潰瘍性大腸炎などに代表され、患者は全国に約10万人いるとされるが、これまで原因は解明されていなかった。研究グループは「根本的な治療薬の開発につながることが期待できる」としている。

 発表によると、CD8T細胞はもともと体内にあるが、大腸内で何らかの理由で異常増殖すると「インターロイキン17」という物質を生み出し、この物質が炎症を引き起こすことが分かった。

 腸などの消化管で生み出されている「インターロイキン6」はCD8T細胞増殖を手伝う物質だが、この物質に対する抗体をマウスに投与することにより、CD8T細胞の異常増殖が抑えられ、マウスの大腸内の炎症がほぼ無くなったことも確認されたという。

[共同通信47NEWS / 2008年05月12日]
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008051201000723.html

遺伝子ない異常タンパク チーターでも伝播を確認=信州大学、麻布大学

2008年05月10日 | 生きもの色々
 BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の原因になるタンパク質性の感染因子「プリオン」と同様に、遺伝子を持たない異常タンパク「アミロイド」が、ネコ科の哺乳(ほにゅう)動物のチーターで伝播(でんぱ)し病気を引き起こしている可能性が高いことを、信大大学院(松本市)の樋口京一・加齢適応医科学系教授(病態遺伝学)と麻布大のグループが突き止めたことが、9日までに明らかになった。伝播するアミロイドは、これまで同教授らがマウスなどの小動物では確認していたが、「より人に近い大型動物では世界初」(池田修一・信大医学部教授)とされ、人レベルでの追究が大きな課題になってきた。

 野生や飼育されているチーーターは近年、肝臓、腎臓、腸など、脳を除くほぼ全身の臓器にアミロイドが沈着して死ぬケースが目立ち、研究者らの間で絶滅を危惧(きぐ)する声が上がっている。

 樋口教授らは、厚生労働省研究班の一環として、アミロイドによる疾患「アミロイドーシス」で死んだチーターのふんの中から、AAという名前で呼ばれるアミロイドを採取。マウスの血液中に少量注射したところ、AAアミロイドは伝播して“増殖”した。

 AAは、ふだんはSAAといわれるタンパク質として血液中に少量存在。炎症が起きると値が上昇する。AAアミロイドは、SAAの構造が変化してアミロイド化したもので、関節リウマチ、地中海熱、ハンセン病などの患者の一部に沈着する。ただ、AAアミロイドによる伝播が起きたのは、あらかじめ人工的に炎症を起こして通常よりSAAの血中濃度を高めておいたグループのみだった。

 樋口教授は「(空気感染ではなく)チーターがふんや尿をなめたり、お互いの体をなめ合ったりする中で伝播するのだろう」と指摘している。

 アミロイドーシスに詳しい池田修一教授の話 このような現象が、人の慢性炎症に伴うアミロイドーシス発症にかかわっている可能性があり、今後の医学研究の大きな指針になりそうだ。

[信州毎日新聞 / 2008年05月10日]
http://www.shinmai.co.jp/news/20080510/TE080509LSI090001000022.htm

爬虫類+鳥類+哺乳類→カモノハシ?=理化学研究所研究員ら国際チーム

2008年05月09日 | 生きもの色々
 オーストラリアに生息する哺乳(ほにゅう)類のカモノハシは、アヒルのようなくちばしをもち、卵を産むが、体は毛で覆われ、母乳で子どもを育てる。この「世界で最も奇妙な哺乳類」のゲノム(全遺伝情報)を英米豪や日本の理化学研究所の研究員らでつくる国際チームが調べたところ、遺伝子も哺乳類、爬虫(はちゅう)類、鳥類の「パッチワーク」のようになっていたことがわかった。8日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。


 約100人の研究チームが、カモノハシのメスの約1万8500個の遺伝子を調べたところ、オスのつめにある毒はヘビなどの爬虫類と同じたんぱく質だった▽性の決定にかかわる遺伝子は鳥類に似ている▽哺乳類の特徴である母乳をつくる遺伝子がある、といった特徴があった。研究チームの欧州生命情報学研究所のユアン・バーニー氏は「カモノハシは見た目と同じく、遺伝子も奇妙に混ざっていた」とコメントしている。

 進化の過程で、哺乳類が鳥類、爬虫類と共通の祖先から分かれたのは3億1500万年ほど前。カモノハシは約1億7千万年前にヒトと共通の祖先から分かれたが、鳥類、爬虫類の特徴を持ち続けたと考えられる。英オックスフォード大のクリス・ポンティング氏は「カモノハシのゲノムは、ヒトなどの哺乳類がどのように誕生したのかを探るうえでのミッシング・リンク(鎖の環(わ)の欠けている部分)だ」と指摘している。(香取啓介)

[朝日新聞 2008年05月09日]
http://www.asahi.com/science/update/0509/TKY200805090094.html

寝息毎分21回 冬眠中クマ、寝たまま調査

2008年05月09日 | 生きもの色々
 石川県白山自然保護センター(白山市上野町)は2日、冬眠中のツキノワグマの心拍数や呼吸数などの調査に成功したと発表した。同センターによると、自然の山中で冬眠しているクマのデータ採取は全国的にも珍しいという。全地球測位システム(GPS)付きの首輪が外れなかったことなど、偶然が重なった結果で、同センターは「幸運にも貴重なデータが得られた」と喜んでいる。

 同センターでは00年度からツキノワグマの行動域や活動量などの調査を始め、06年9月、ドラム缶式のオリで捕獲したメスのクマ(当時10歳)に初めてGPSの発信機を首に付けて追跡調査した。

 ところが首輪が自動で外れるための時限落下装置が機能せず、予定の1年が過ぎても首輪は外れなかった。発信機の電波が微弱ながら残っていたので、クマのおよその冬眠位置を把握し、今年3月上旬に周囲を探したところ、雪に埋まった冬眠穴の一部を見つけた。吹き矢でクマに麻酔をかけて、血液などを採取し、GPSも回収できたという。心拍数は1分間に45回、呼吸数は同21回だった。

 上馬康生・同センター主任研究員は「たまたま首輪が外れず、発信機の電波が残っており、穴も発見できた。偶然が重なった結果」と話す。

 同センターはGPSで得られた時期ごとの位置情報や活動量からクマの行動様式を分析し、山中や里山での接触被害対策などに役立てる方針だ。今回調べたクマには新たなGPS付きの首輪を付けており、今後も調査を続けるという。

     ◇

 クマの生態に詳しい北海道大学の坪田敏男教授の話 冬眠中のクマの生理メカニズムは研究が進んでいない。麻酔を使用した上でのデータであることと、採取が一度きりだったのは残念だが、今後の研究のとっかかりになる。


[朝日新聞 / 2008年05月09日]
http://www.asahi.com/science/update/0508/OSK200805080004.html

突然変異?黒いモンシロチョウを発見=京都のアマチュア・カメラマン

2008年05月07日 | 生きもの色々
 京都府城陽市の会社員林達也さん(46)が、自宅近くの川の土手の草むらで見慣れない黒いチョウを見つけて撮影した。専門家によると、姿や形がモンシロチョウに似ており、突然変異で黒色に変わった非常に珍しいケースとみられるという。

 半年ほど前から趣味で昆虫や鳥を撮り始めた林さんは3月30日午前、翅(はね)の長さが3センチほどの黒いチョウを見つけた。目だけ白っぽい変わったチョウで、インターネットで調べても名前は分からなかった。「まさか黒いモンシロチョウがいるなんて。ビギナーズラックです」と驚く。

 写真を見た大阪市立自然史博物館の金沢至・主任学芸員は「本来は白っぽい翅に黒い斑紋などがあるモンシロチョウの成虫が、突然変異で黒色に変わった『黒化型』と言われるもので、非常に珍しい」と語る。名和昆虫博物館(岐阜市)の名和哲夫館長も「ここまで黒いものは、なかなか見られないのでは」と話す。

[朝日新聞 / 2008年05月07日]
http://www.asahi.com/science/update/0506/OSK200805060019.html