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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

爬虫類+鳥類+哺乳類→カモノハシ?=理化学研究所研究員ら国際チーム

2008年05月09日 | 生きもの色々
 オーストラリアに生息する哺乳(ほにゅう)類のカモノハシは、アヒルのようなくちばしをもち、卵を産むが、体は毛で覆われ、母乳で子どもを育てる。この「世界で最も奇妙な哺乳類」のゲノム(全遺伝情報)を英米豪や日本の理化学研究所の研究員らでつくる国際チームが調べたところ、遺伝子も哺乳類、爬虫(はちゅう)類、鳥類の「パッチワーク」のようになっていたことがわかった。8日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。


 約100人の研究チームが、カモノハシのメスの約1万8500個の遺伝子を調べたところ、オスのつめにある毒はヘビなどの爬虫類と同じたんぱく質だった▽性の決定にかかわる遺伝子は鳥類に似ている▽哺乳類の特徴である母乳をつくる遺伝子がある、といった特徴があった。研究チームの欧州生命情報学研究所のユアン・バーニー氏は「カモノハシは見た目と同じく、遺伝子も奇妙に混ざっていた」とコメントしている。

 進化の過程で、哺乳類が鳥類、爬虫類と共通の祖先から分かれたのは3億1500万年ほど前。カモノハシは約1億7千万年前にヒトと共通の祖先から分かれたが、鳥類、爬虫類の特徴を持ち続けたと考えられる。英オックスフォード大のクリス・ポンティング氏は「カモノハシのゲノムは、ヒトなどの哺乳類がどのように誕生したのかを探るうえでのミッシング・リンク(鎖の環(わ)の欠けている部分)だ」と指摘している。(香取啓介)

[朝日新聞 2008年05月09日]
http://www.asahi.com/science/update/0509/TKY200805090094.html

寝息毎分21回 冬眠中クマ、寝たまま調査

2008年05月09日 | 生きもの色々
 石川県白山自然保護センター(白山市上野町)は2日、冬眠中のツキノワグマの心拍数や呼吸数などの調査に成功したと発表した。同センターによると、自然の山中で冬眠しているクマのデータ採取は全国的にも珍しいという。全地球測位システム(GPS)付きの首輪が外れなかったことなど、偶然が重なった結果で、同センターは「幸運にも貴重なデータが得られた」と喜んでいる。

 同センターでは00年度からツキノワグマの行動域や活動量などの調査を始め、06年9月、ドラム缶式のオリで捕獲したメスのクマ(当時10歳)に初めてGPSの発信機を首に付けて追跡調査した。

 ところが首輪が自動で外れるための時限落下装置が機能せず、予定の1年が過ぎても首輪は外れなかった。発信機の電波が微弱ながら残っていたので、クマのおよその冬眠位置を把握し、今年3月上旬に周囲を探したところ、雪に埋まった冬眠穴の一部を見つけた。吹き矢でクマに麻酔をかけて、血液などを採取し、GPSも回収できたという。心拍数は1分間に45回、呼吸数は同21回だった。

 上馬康生・同センター主任研究員は「たまたま首輪が外れず、発信機の電波が残っており、穴も発見できた。偶然が重なった結果」と話す。

 同センターはGPSで得られた時期ごとの位置情報や活動量からクマの行動様式を分析し、山中や里山での接触被害対策などに役立てる方針だ。今回調べたクマには新たなGPS付きの首輪を付けており、今後も調査を続けるという。

     ◇

 クマの生態に詳しい北海道大学の坪田敏男教授の話 冬眠中のクマの生理メカニズムは研究が進んでいない。麻酔を使用した上でのデータであることと、採取が一度きりだったのは残念だが、今後の研究のとっかかりになる。


[朝日新聞 / 2008年05月09日]
http://www.asahi.com/science/update/0508/OSK200805080004.html