国内では釧路湿原で生息し、「氷河期の生き残り」として釧路市の天然記念物にも指定されているキタサンショウウオが大陸から北海道側に渡ってきた時期は、約百七十万-百九十万年前であるとする研究結果を京都大の松井正文教授(動物系統分類学)らの研究グループがまとめ、米国の学術誌に発表した。定説だった約二万年前を大幅にさかのぼる上、約二百万年前の北海道と大陸が地続きだったことも類推でき、北海道の自然史に新たな光を当てるものとして注目されそうだ。
東海大生物理工学部(札幌)の竹中践教授(両生爬虫(はちゅう)類学)らとの共同研究として、このほど米誌「分子系統と進化」の電子版に掲載された。
これによると、研究グループは釧路湿原やロシア・サハリン州のウグレゴルスクなど九カ所で、七十三匹のキタサンショウウオを採取。それぞれのDNAを解析した。分岐した時期が古ければ古いほど異なる塩基配列の違いから、釧路とサハリンのものが約百七十万年前に分かれたとの結果を得た。
また、同じ生息地にいると同一の割合となるタンパク質を比較した結果でも、分岐は約百九十万年前となり、DNA解析をほぼ裏付けた。
北海道のキタサンショウウオは、大陸と北海道が地続きだった約二万年前に大陸から渡ってきたものと考えられてきた。今回のようなデータに基づく詳しい研究が行われたのは初めて。
約二百万年前の北海道の地形については大陸と地続き説のほか、海だったとの説などもある。研究をまとめた京大の松井教授は、「少なくとも釧路地方は当時、陸化していた可能性は高まった。北海道の成り立ちの解明にも役立つだろう」と話している。
[北海道新聞 2008年05月20日]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/93768.html?_nva=76
東海大生物理工学部(札幌)の竹中践教授(両生爬虫(はちゅう)類学)らとの共同研究として、このほど米誌「分子系統と進化」の電子版に掲載された。
これによると、研究グループは釧路湿原やロシア・サハリン州のウグレゴルスクなど九カ所で、七十三匹のキタサンショウウオを採取。それぞれのDNAを解析した。分岐した時期が古ければ古いほど異なる塩基配列の違いから、釧路とサハリンのものが約百七十万年前に分かれたとの結果を得た。
また、同じ生息地にいると同一の割合となるタンパク質を比較した結果でも、分岐は約百九十万年前となり、DNA解析をほぼ裏付けた。
北海道のキタサンショウウオは、大陸と北海道が地続きだった約二万年前に大陸から渡ってきたものと考えられてきた。今回のようなデータに基づく詳しい研究が行われたのは初めて。
約二百万年前の北海道の地形については大陸と地続き説のほか、海だったとの説などもある。研究をまとめた京大の松井教授は、「少なくとも釧路地方は当時、陸化していた可能性は高まった。北海道の成り立ちの解明にも役立つだろう」と話している。
[北海道新聞 2008年05月20日]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/93768.html?_nva=76