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鉄分アップでコメ収穫6倍に、運搬促進たんぱく質特定=東京大学

2008年05月06日 | 蛋白質
 植物が成長に欠かせない鉄分を吸収し、必要な部位に運ぶ際に働くたんぱく質を、東京大大学院農学生命科学研究科の西澤直子教授(新機能植物開発学)らがイネで特定した。オオムギなど他のイネ科植物にもあり、働きを高めることで収量増が期待できるという。9日付の米国生化学会誌に発表する。

 西澤教授らは、このたんぱく質をIDEF2と名付けた。植物では、鉄分の取り込みに関する複数の遺伝子が働いている。IDEF2は、これらの遺伝子と結合し、働き始めるようにスイッチを入れる元締役として機能するという。

 IDEF2の働きを抑えたイネは、鉄分がうまく利用できなくなる一方、働きを高めると、収量は同じ条件で栽培した普通のイネの4~6倍になった。

 鉄分は葉緑素を作るのに不可欠で、不足すると光合成が不十分になる。アルカリ性土壌では鉄分はほとんど水に溶けないため、植物に吸収されにくく、成長が抑制される。こうした土壌は世界の陸地の約3割を占める。

 西澤教授は「IDEF2の働きを詳しく調べ、植物が鉄分を利用する仕組みの全容を解明したい。食糧の増産や鉄分の豊富な栄養価の高い穀物作りにつながる」と話している。【関東晋慈】

[毎日新聞 2008年05月06日]
http://www.mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/05/06/20080506ddm002040029000c.html