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「オデッセイ」(2015年アメリカ映画)

2016年02月11日 | 映画の感想・批評
 女性をキャプテンとする6人の探査チームが火星に降り立って作業をしていると嵐に見舞われ、突風に煽られた植物学者のマークが吹き飛ばされる。キャプテンは必死でマークを探すが見当たらない。もはや生存は不可能と判断して5人で火星から脱出するのだ。
 ところが、何日もしてマークは金属片が腹部に突き刺さった状態で目覚めるのである。金属片と出血の塊が宇宙服の穴を塞いでくれたため、空気が漏れずに奇跡的に助かったらしい。そういうわけで、NASAもマークが生きていることを知り、何とか救出しようと頭を絞るのだ。
 火星に取り残されたマークも身の回りにある道具を使ってあれやこれや工夫してサバイバルを試みる。ジャガイモの栽培、水の生成など、人間の知恵と絶望を乗り越えようとする勇気が人類の進化の歴史を支えてきたわけだろう。とりわけアメリカ映画はそのことを強調してきた。かくして、NASAに課された使命は十分とはいえない食糧の在庫が底を尽くまでにマークを火星から救い出すことである。
 とはいっても、おいそれとはいかない。困り果てるNASAに力を貸すのが中国という設定も現代的だ。まだ地球に帰還していない仲間の5人もマークの生存を知り、本来なら地球に帰れる機会を放棄して、自分たちの手で何とかマークを回収しようと救出作戦に参加する。地上ではマニュアルどおりに作戦を進めようという官僚肌のNASA局長と、あくまで超法規的に臨機応変に対応しようとする指揮官(フライトディレクター)との間で確執があったり、さまざまな障壁を用意して救出の難易度を高めるあたりはハリウッド映画の定石だ。
 巨匠リドリー・スコットは140分あまりの長尺の映画をデッドリミットに向けて力わざともいえる押しで押しまくった。加えて、食糧の欠乏によって主人公マークがゲキヤセしていく様子をマット・デイモンが好演していることにご注目を。(健)

原題:The Martian
監督:リドリー・スコット
脚本:ドリュー・ゴダード
原作:アンディ・ウィアー
撮影:ダリウス・ウォルスキー
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、ショーン・ビーン、キウェテル・イジョフォー


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2 コメント

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おそばせながら・・・ (830)
2017-08-09 08:01:18
話題にはなっていたものの、中々観られず漸く・・・。
まず感じたのが、宇宙飛行士の凄さ、偉大さ、知識の豊富さ・・・。そうでなければ過酷な宇宙では、現段階の人類はあまりにも無力なんだろうが・・・。それにしてもスゴイ。
映画や小説、物語を観ると、まず自分に置き換えるが、恐らく1日も持たないだろうな・・・と(笑)
通常の地球でも、孤独のストレスにやられてしまいそうなのに、未知の火星なら尚更・・・。
あんな体験をすれば、二度と宇宙には行きたく無いだろと思って仕方ない。
物語的にはハラハラドキドキで長さを感じなかった。展開的には『最後は助かるんだろうなぁ』と思って観ていたので、期待を裏切らないと言う点では良かったのかも。後味か悪くならなかったので・・・(笑)
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コメントありがとうございます ()
2017-08-09 19:56:46
リドリー・スコットはエイリアンの新作も近々公開なので、楽しみです。
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