原作はパヴェーゼが1940年に執筆、1949年に出版されている。イタリア最高峰の「ストレーガ賞」を受賞。長らく読み継がれてきた名作という。映画化は初とのこと。
1938年のイタリアのトリノ。作家を目指していたが、学費が続かずに大学を休学し、工員に甘んじている兄セヴェリーノ。兄を追いかけて田舎から都会に出てきた妹のジーニア、16歳。
お針子として洋裁店で生真面目に働いている。仕事終わりの時間に端切れでドレスをオリジナルで作ってオーナーに注目されるくらいなのだが、どこか満たされずに、楽しいことが起こらないかと甘い期待を抱きながら、じりじりと暮らしている。まあ、16才だもの。
現代日本ならまだまだ高校生、約90年近くも前の第二次世界大戦前夜のイタリアでは、働くこともごく普通のこと。そして、この世代の焦燥感は万国共通、普遍的である。
夏のある日、兄やその友達たちと湖畔へピクニックに出かけたジーニア。そこへ奔放な姿で湖に飛び込み、皆のもとへやってきた長身の美しい女性。ジーニアは一気に心を奪われる。3歳年上のアメーリアとの出会いである。
後日、カフェで出会ったアメーリアは「私もお針子をしていたけれど、失業して今は絵のモデルをしている」
「アメーリアに近づきたい、大人の世界に足を踏み入れたい」、ジーニアの焦り。
タイトルが夏なのに、アメーリアと街を歩き、やがて画家たちのアトリエに入り浸るようになる、季節は冬。
初めての恋とアメーリアへの思いに揺れ動き、仕事もおざなりになっていくジーニア。
大事な顧客のウェディングドレスも任されたのに、遅刻を繰り返し、とうとう解雇されてしまう。
アメーリアも梅毒を感染させられ、体調を崩してしまう。
ジーニアにはそれでもやさしく見守ってくれる大人がいた。
まず一緒に暮らす兄。「痛みは忘れるな。幸せになれ、不幸な人生は無意味だ」いいこと言ってくれる。さすが作家志望の青年。
真剣に謝るジーニアを最後は許し、下働きからやり直させる女性オーナーの器量の深さ。
そして、また夏がめぐってきて・・・・・・よい大人に囲まれて、脱線したジーニアも次の夏には一段成長している。
二人の衣装も美しい。戦争前夜のイタリア、決して派手ではないのだが、帽子やワンピースもかわいくて、そこはやはりファッションの国である。
二人の女優さんの年齢は実は、ジーニア役のイーレ・ヴィアネッロのほうがお姉さん。声も太く低く、落ち着いた印象があるが、それでも恋に恋する少女のゆらめき、初々しさを十分に表現していると感じる。
対するアメーリア役のデーヴァ・カッセルこそ、本作撮影時は二十歳前だったそう。モニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルの娘(と言われても、私にはピンとこないのですが)、早くからその美貌をファッション業界で注目されてきた。確かに画面に登場した瞬間から大輪の花を思わせる存在感。
ヒリヒリするような瞬間もありながら、少女が大人の階段を上っていくお話し。
女の子の孫がいたら、ハラハラさせられそうと、完全におばあちゃん目線で見ていることも、ちょっと悲しいのだけど。久しぶりの洋画観賞、それも静かに心にしみる作品でした。
(アロママ)
監督:ラウラ・ルケッティ
脚本:ラウラ・ルケッティ
撮影:ディエゴ・ロメロ、スアレス・リャノス 、
原作:チェーザレ・パヴェーゼ
原題:La bella estate
出演:イーレ・ヤラ・ヴィアネッロ 、 デヴァ・カッセル、ニコラ・モーパス
1938年のイタリアのトリノ。作家を目指していたが、学費が続かずに大学を休学し、工員に甘んじている兄セヴェリーノ。兄を追いかけて田舎から都会に出てきた妹のジーニア、16歳。
お針子として洋裁店で生真面目に働いている。仕事終わりの時間に端切れでドレスをオリジナルで作ってオーナーに注目されるくらいなのだが、どこか満たされずに、楽しいことが起こらないかと甘い期待を抱きながら、じりじりと暮らしている。まあ、16才だもの。
現代日本ならまだまだ高校生、約90年近くも前の第二次世界大戦前夜のイタリアでは、働くこともごく普通のこと。そして、この世代の焦燥感は万国共通、普遍的である。
夏のある日、兄やその友達たちと湖畔へピクニックに出かけたジーニア。そこへ奔放な姿で湖に飛び込み、皆のもとへやってきた長身の美しい女性。ジーニアは一気に心を奪われる。3歳年上のアメーリアとの出会いである。
後日、カフェで出会ったアメーリアは「私もお針子をしていたけれど、失業して今は絵のモデルをしている」
「アメーリアに近づきたい、大人の世界に足を踏み入れたい」、ジーニアの焦り。
タイトルが夏なのに、アメーリアと街を歩き、やがて画家たちのアトリエに入り浸るようになる、季節は冬。
初めての恋とアメーリアへの思いに揺れ動き、仕事もおざなりになっていくジーニア。
大事な顧客のウェディングドレスも任されたのに、遅刻を繰り返し、とうとう解雇されてしまう。
アメーリアも梅毒を感染させられ、体調を崩してしまう。
ジーニアにはそれでもやさしく見守ってくれる大人がいた。
まず一緒に暮らす兄。「痛みは忘れるな。幸せになれ、不幸な人生は無意味だ」いいこと言ってくれる。さすが作家志望の青年。
真剣に謝るジーニアを最後は許し、下働きからやり直させる女性オーナーの器量の深さ。
そして、また夏がめぐってきて・・・・・・よい大人に囲まれて、脱線したジーニアも次の夏には一段成長している。
二人の衣装も美しい。戦争前夜のイタリア、決して派手ではないのだが、帽子やワンピースもかわいくて、そこはやはりファッションの国である。
二人の女優さんの年齢は実は、ジーニア役のイーレ・ヴィアネッロのほうがお姉さん。声も太く低く、落ち着いた印象があるが、それでも恋に恋する少女のゆらめき、初々しさを十分に表現していると感じる。
対するアメーリア役のデーヴァ・カッセルこそ、本作撮影時は二十歳前だったそう。モニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルの娘(と言われても、私にはピンとこないのですが)、早くからその美貌をファッション業界で注目されてきた。確かに画面に登場した瞬間から大輪の花を思わせる存在感。
ヒリヒリするような瞬間もありながら、少女が大人の階段を上っていくお話し。
女の子の孫がいたら、ハラハラさせられそうと、完全におばあちゃん目線で見ていることも、ちょっと悲しいのだけど。久しぶりの洋画観賞、それも静かに心にしみる作品でした。
(アロママ)
監督:ラウラ・ルケッティ
脚本:ラウラ・ルケッティ
撮影:ディエゴ・ロメロ、スアレス・リャノス 、
原作:チェーザレ・パヴェーゼ
原題:La bella estate
出演:イーレ・ヤラ・ヴィアネッロ 、 デヴァ・カッセル、ニコラ・モーパス