老舗

　常連のTさんが会社の同僚A君を連れてきた。

　客A「この店、長いんですか？」
　私 「古いで」
　客A「いつから？」
　私 「江戸時代からや」
　客A「大げさな」
　客T「江戸時代は徳川慶喜(ヨシノブ)の時代か？」
　私 「そうや、よっちゃんはよう来てたで」
　客A「よっちゃん？エライ馴れ馴れしいなあ」
　私 「よっちゃんて、Tさんがよっちゃんや」
　客T「そうや、俺の名前は良夫やから、よっちゃんや」
　客A「話の流れから、よっちゃんは徳川慶喜かなあ、思たわ」
　私 「冗談はさておき、浮き沈みが激しいこの業界で、俺とこは長いで」
　客A「どれぐらい？」
　私 「37年。この界隈では他の店は何代も代が代わってるけど最初から続いてるのは俺とこだけや」
　客T「そやで、ここは老舗やで」
　私 「俺はくたびれて老舗と違(チゴ)て死にそ、やけどな」

　一句：コツコツと　地道に続ける　老舗かな
　謎かけ：老舗とかけて、電気製品と解くかな。どちらも(伝統・電灯)があります