うるま市宮城島の鉱山からの辺野古埋立用土砂は、当初、中城湾港から搬送されていたが、沖縄防衛局は、本年3月から平安座島・宮城島間の埋立地(以下、「沖縄石油基地」)の民間桟橋からの海上搬送に変更した。
これは、設計変更申請書に添付した土砂に関する図書に記載した搬送ルートの変更であり、埋立承認の際の留意事項に基づき、知事の承認が必要となる。県は、中止するよう行政指導を行ったが、防衛局はそれを無視し、今も沖縄石油基地からの土砂搬送を続けている。
また、沖縄石油基地の民間桟橋の使用自体も許されない。
沖縄石油基地の埋立地は、1975年に竣工した「平安座島及び宮城島間公有水面埋立事業」により造成されたものだ。当時、この埋立をめぐっては安里清信さんや崎原盛秀さんらの金武湾闘争が熾烈に闘われたが、その埋立地が今度は辺野古埋立のために使われているのだ。
今回、辺野古への土砂海上搬送に使用されている桟橋は、埋立竣工後、港湾法第37条第1項の規定に基づき、知事が沖縄石油基地㈱に対して、水域占用許可を出したものである(この占用許可は3年毎に更新されており、直近では、本年3月27日、3年間の占用期間更新許可が出されている)。
沖縄県公文書館でこの埋立事業の関連文書を確認した後、沖縄県中部土木事務所への公文書公開請求でこの水域占用許可書を入手した(末尾に添付)。
公共の海を特定の者が排他的に使用できる占用許可であるから好き勝手に使えるのではなく、許可条件や占用の目的に従って使用しなければならないことはいうまでもない。
知事は、この水域占用許可にあたって、下記のような許可条件を付している。
「1.許可を受けた者は、この許可に基づく権利を譲渡し、転貸し、又は担保に供してはならない。
11.許可条件に違反したときは、本許可を取り消し、変更し、又は原状回復を命じることがある。」
また、県港湾管理条例第11条にも、同様の規定が定められている。
今回の辺野古への土砂海上搬送のための桟橋使用は、水域占用許可を受けた沖縄石油基地㈱自身が行っているのではなく、辺野古新基地建設事業の埋立工事を受注した業者(もしくは防衛局)が行っているのだから、まさに「許可条件1」が禁止する「転貸」に該当する(2018年当時、安和桟橋からの土砂搬出が問題となった際、県は、「安和桟橋の設置許可は琉球セメントが受けているので、安和桟橋を防衛局が使用した場合には、「転貸」に抵触する可能性がある」という見解を示した(2018.12.3))。
また、この桟橋を、石油基地と関係のない鉱山からの土砂搬送に使用することは、水域占用許可の目的外使用でもある。
知事はただちに、この桟橋からの辺野古への土砂搬送作業を中止するよう指示し、従わない場合は、許可条件違反として、水域占用許可を取り消すべきである。
(沖縄ドローンプロジェクト 2025.5.1 撮影)
(沖縄ドローンプロジェクト)