乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

乳がんを超えた治療薬となるか - タイケルブ

2009年07月25日 | 病気・症状
経口の抗がん剤は、点滴で行なう抗がん剤に比べ、利便性が高いですよね。“生活の質”が下がると、生きていても楽しくない。また、それが分子標的薬だったら、体のダメージも軽くなるわけで。。。
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【タイケルブ:乳癌に適応を持つ初の経口分子標的薬】 2009. 7. 3  北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部

 2009年6月19日、抗悪性腫瘍薬のラパチニブトシル酸塩水和物(商品名:タイケルブ錠250mg)が薬価収載と同時に発売された(製造承認取得は4月22日)。適応は「HER2過剰発現が確認された手術不能または再発乳癌」で、カペシタビン(商品名:ゼローダ)と併用する。1日1回、空腹時(食事の1時間以上前または食後1時間以降)に経口投与する。

 近年、分子レベルの癌研究が進んだ結果、細胞性癌遺伝子、癌関連遺伝子がコードする蛋白質の多くが、細胞シグナル伝達系で機能していることが明らかになってきた。そして、癌細胞の細胞膜表面に存在するいくつかの増殖因子受容体の異常により、細胞シグナル系を活性化し、癌細胞を増殖すると考えられている。

 最近になり増殖因子受容体の中でも、受容体型チロシンキナーゼファミリーの上皮増殖因子受容体(EGFR)の関与が高いことが判明している。このEGFRは、EGFR(ErbB1)、HER2(ErbB2)、HER3(ErbB3)、HER4(ErbB4)に分類されるが、EGFRとHER2の過剰発現は、予後の不良および生存期間の短縮に関係していることが判明している。そこで、これらへの阻害作用を示す薬剤(いわゆる分子標的薬)が続々と開発され、抗悪性腫瘍薬として使用されている。

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬としては、非小細胞肺癌に適応を有する薬剤として、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)やエルロチニブ(商品名:タルセバ)などが承認されている。また、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)は、HER2に対する抗体医薬として、HER2が過剰発現した転移性乳癌に臨床使用されている。

 今回のラパチニブは、EGFRとHER2の両受容体に対して、強力かつ選択的な可逆的阻害作用を示す分子標的薬である。日本では、乳癌に適応を持つ初めてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬でもある。

 海外の臨床試験では、アントラサイクリン系薬剤、タキサン系薬剤、トラスツズマブの治療歴があり、HER2過剰発現が認められた進行性もしくは転移性の乳癌に対して、ラパチニブをカペシタビンと併用したところ、カペシタビン単独療法に比べて無増悪期間を有意に延長させたことが確認されている。日本でも、ラパチニブ単独療法による第2相臨床試験で、既存薬剤の治療後に進行・再発した乳癌患者において、有意な腫瘍縮小効果などが確認されている。

 今後、ラパチニブとカペシタビンとの併用療法は、既存の治療に抵抗を示す転移性・再発性乳癌の治療において、新たな選択肢として定着していくものと予想される。

 投与に当たっては、重大な副作用として、肝機能障害、間質性肺疾患、心障害、下痢、QT延長が認められていることに注意する。また、疲労、下痢、掻痒症、食欲不振、発疹、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、血中ビリルビン増加、皮膚乾燥、手掌・足底発赤知覚不全症候群などの副作用が高率に認められるので注意したい。
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新薬ラパチニブの変わった特徴は、一部の非小細胞肺がんの分子標的治療薬となりうる点でしょうか。
で、副作用も「間質性肺疾患」という、肺がんの分子標的治療薬で数%発症する副作用があるんですね。この肺疾患になると、医師がどんなに手を尽くしても半数が死に至る重篤な副作用です。
分子標的治療薬は副作用が軽いとはいえ、こんな副作用も起こりうるわけで、患者も覚悟をして治療を受けなくちゃいけないのかなあと思います。

私は術後補助療法にハーセプチンを1年間投与しましたが、皮膚乾燥・発疹に苦しみました。吐き気や下痢、脱毛に比べたらずっとマシなんだし、あんまり薬漬けになりたくないし・・・、と我慢していたんですが、1年間の我慢は長い。長すぎて途中で息切れしますた。
こういう時は、早く医師に伝え、軟膏などをもらい、できるだけ副作用を抑えたほうがいいです。

治療を受けている、、、通院とか、食事や衛生面に気をつける、風邪を引かないようにする・・・等など、既に相当のストレスがかかっているわけです。それに加え、発疹で痒いのを我慢してストレスを増やすのは得策じゃないですね。
医師も本当に必要な薬しか処方しないわけで、あまり薬を飲みたくないのであれば、医師に率直に言ってみてもいいと思います。
以前、消炎鎮痛剤と胃薬を処方された時、胃薬のせいか、食欲が出て困ったことがありますた。ダイエット中だったので、食欲が出るのは拷問なんですわ。

で、勝手に胃薬を飲まないでいたら、医師に笑われますた。
「この消炎鎮痛剤は胃を荒らすから、胃薬も一緒に飲まなくちゃいかんよ」。

最近の医師、薬剤師は薬ひとつ一つ丁寧に説明してくれますね。内服薬には、食べてはいけない食物などある薬もありますので、十分説明を聞きましょう。
そうそう、イレッサやタルセバを服用の際、はっさく、夏みかん、オレンジは食べてもいいんだけど、甘夏みかんとグレープフルーツはダメ。覚えにくいので、表にして食卓に張っておきましたっけ。

経口薬で分子標的治療薬は、点滴約に比べるとかなり楽ですけど、抗がん剤には変わりない。使用法は必ず守りましょうね。


さて、ラパチニブはEGFRとHER2の両受容体に効きそうっていう分子標的薬なので、肺がんでEGFRを受容するタイプのがんにも効きそうなわけです。同様に、ハーセプチンはHER2の両受容体に奏功する分子標的治療薬なので、乳がんだけでなく、HER2が発現する他のがんにも効く可能性が報告されました。

  参考:「よっしぃの独り言」 がんの種類を超えた治療

この中でよっしぃ先生は、
    今までは、乳がんは乳がんの治療
    胃がんは胃がんの治療
    肺がんは肺がんの治療
    大腸がんは大腸がんの治療
    …………
    だったわけですが、胃がんでも乳がんでも肺がんでも腎がんでも

    HER2陽性はHER2陽性の治療
    ○○陽性は○○陽性の治療
    ☆☆陽性は☆☆陽性の治療
    となる時代が来るかも知れません。
    その幕開けとなる発表なのかも知れません。

と述べています。

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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
イレッサ (ゆう)
2009-07-25 13:42:09
ノエルさんこんにちはー

ハァ~スゴイ 薬ってスゴイ!です
母もイレッサのお世話になりました。
患者のお世話をする家族への諸注意としては


「イレッサを服用中の排泄物の取り扱いに注意!」

とお話がありました。
飲み薬といってもやはり“抗がん剤”なんですね。

でも、その諸注意を受けたのが、服用から1年以上経ってからのことでした。
そう・・・それまではそんなに気をつけていなかったんです。

「ガーン」
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ゆうさん (ノエル)
2009-07-25 23:54:20
そうですね、分子標的治療薬といえども、抗がん剤として開発された薬ですから、取扱には十分注意しなくちゃいけませんよね。

ところで、私も母も分子標的治療薬と殺細胞性の薬と両方使いましたが、、、排泄物取扱いについて医師から注意を受けませんでした。確かに、よっしぃ先生のブログを読むと注意した方がよいと書かれていて、とても驚いた記憶があります。理屈を考えればそうなんですけど。。。
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