乳癌は、その塊が直径2ミリ程度になると、微小転移を開始するとされています。たんぽぽの種がぱらぱら散り、育ちやすい所に落ちたものが発芽する状況に例えられます。
しかし、マンモグラフィやMRIでは2ミリの癌細胞を見つけることは難しい。だからこそ、抗がん剤や放射線治療が重要となります。
----------
【早期乳癌でセンチネルリンパ節微小転移陽性でも5年生存率に影響なし】
JAMA誌から 骨髄への微小転移は5年生存率が低下する可能性
センチネルリンパ節(Sentinel Lymph Node;SLN)と骨髄の免疫組織化学的な染色は、通常の病理学的または臨床的な検査では同定できない乳癌の転移(微小転移)を同定できる。だが、このうちSLNへの微小転移は、「転帰不良」や「特別な治療の必要性」を示すものではないことが、米Cedars-Sinai Medical CenterのArmando E. Giuliano氏らが行った前向き観察研究で明らかになった。一方、骨髄に微小転移がある場合には5年生存率が低下する可能性があるという。論文は、JAMA誌2011年7月27日号に掲載された。
SLNに微小転移が見付かった患者に治療を行わないと死亡リスクが上昇するかどうかについては議論があった。一方、乳癌患者の骨髄に見付かる微小転移を死亡リスク上昇と関連付ける報告もあった。しかし、早期乳癌患者に限定して、それらの微小転移が生存に及ぼす影響を調べた研究はほとんどなかった。
著者らは、早期乳癌で乳房温存手術を受けた患者を対象に、免疫染色によって見い出されるSLNと骨髄の微小転移がどの程度存在するのかを調べ、それらの臨床的な意義を明らかにしようと考えた。
99年5月から03年5月まで、米外科学会腫瘍学グループの前向き観察研究Z0010試験に参加した米国内126施設で、病期がT1からT2、N0、M0の浸潤性乳癌患者の登録が行われた。術前補助化学療法を受けた患者、両側乳癌の患者などは除外した。
条件を満たした患者5210人のうち、5119人(98.3%)からSLNが採取されていた。手術時の骨髄穿刺は当初は任意としたが、01年3月以降は必須とした。
ヘマトキシリン-エオジン(HE)染色で陰性のSLN標本と、すべての骨髄標本を免疫染色した。患者の治療に当たる医師には免疫染色の結果を告げなかった。乳房温存手術後は原則として全乳房照射を行い、必要と見なされたケースには術後化学療法を実施した。
主要アウトカム評価指標は全生存率とし、2次評価指標は無病生存率に設定した。
患者の69%が50歳超で、83.3%はステージI、80.1%が浸潤性乳管癌で、腫瘍のサイズの中央値は1.4cmだった。81.2%の患者がエストロゲン受容体陽性だった。SLNはHE染色陰性だったが腋窩リンパ節郭清を受けていた患者が107人いた。
HE染色陰性だったSLN 3904検体のうち、3326検体(85.2%)について免疫染色が可能だった。349検体(10.5%)に微小転移が見付かった。一方、骨髄標本3413検体に免疫染色を行ったところ、104検体(3.0%)が微小転移陽性だった。SLNと骨髄の両方が免疫染色陽性だったのは6人のみだった。
10年4月までの6.3年(中央値)の追跡で、435人の患者が死亡し、376人に再発が見られた。
SLNの免疫染色において、微小転移陽性は全生存率に有意な影響を及ぼしていなかった。5年生存率は、微小転移陰性群が95.7%(95%信頼区間95.0-96.5%)、微小転移陽性群では95.1%(92.7-97.5%)で、未調整ハザード比は0.90(0.59-1.39、P=0.64)。多変量解析を行っても、調整ハザード比は0.88(0.45-1.71、P=0.70)と本質的に変化しなかった。5年無病生存率はそれぞれ92.2%(91.1-93.2%)と90.4%(87.2-93.8%)(P=0.82)だった。
一方、骨髄の免疫染色において、微小転移陽性は全生存率の低下に関係していた。5年生存率は、微小転移陰性群が95.0%(94.3-95.8%)、陽性群が90.1%(84.5-96.1%)(P=0.01)で未調整ハザード比は1.94(1.02-3.67、P=0.04)。しかし多変量調整を行うと、ハザード比は1.83(0.79-4.26、P=0.15)となり、有意差は見られなくなった。著者らは、骨髄の微小転移と全死因死亡の関係が有意でなくなったのは、転移陽性者の数が少なかったためと考えている。5年無病生存率はそれぞれ90.8%(89.7-91.8%)と86.7%(80.3-93.7%)(P=0.22)だった。
乳房温存療法を受けた女性患者で、免疫染色によるSLN微小転移陽性は10.5%に見られたが、微小転移陽性は全死因死亡のリスク上昇に関係していなかった。このことから、HE陰性のSLNに対する免疫染色を日常的に行う必要はないと考えられた。
一方、骨髄の免疫染色による微小転移陽性はまれではあるが、死亡に関係することが示唆された。ただし、「骨髄の微小転移陽性は3%程度の患者にしか見られないため、現状では、ハイリスク者を選出する方法としてすべての早期乳癌患者に骨髄穿刺を行うことを推奨するほどの利益は予想できない」と著者らは述べている。
原題は「Association of Occult Metastases in Sentinel Lymph Nodes and Bone Marrow With Survival Among Women With Early-Stage Invasive Breast Cancer」、概要は、JAMA誌のWebサイトで閲覧できる。
----------
この結果を見ると、術後化学療法や放射線治療の重要性が感じられます。
1個の乳癌細胞が1センチに育つまで、10年ほどかかるとされています。手術で癌を切除できたと思っても、芽が体内のどこかにひそんでいる可能性が高い。手術したら、はい、おしまいってことにならないのが辛いところですね。
長い付き合いになりそうなこの病気、いかに日々を充実して生きるか。が、大切なのは百も承知ですが、、、きょうのように暑いと、全然考えたくなくなっちゃいます( ̄へ ̄)。
人気ブログランキングに参加中、<ここをクリックよろしくね~ >
This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)
しかし、マンモグラフィやMRIでは2ミリの癌細胞を見つけることは難しい。だからこそ、抗がん剤や放射線治療が重要となります。
----------
【早期乳癌でセンチネルリンパ節微小転移陽性でも5年生存率に影響なし】
JAMA誌から 骨髄への微小転移は5年生存率が低下する可能性
センチネルリンパ節(Sentinel Lymph Node;SLN)と骨髄の免疫組織化学的な染色は、通常の病理学的または臨床的な検査では同定できない乳癌の転移(微小転移)を同定できる。だが、このうちSLNへの微小転移は、「転帰不良」や「特別な治療の必要性」を示すものではないことが、米Cedars-Sinai Medical CenterのArmando E. Giuliano氏らが行った前向き観察研究で明らかになった。一方、骨髄に微小転移がある場合には5年生存率が低下する可能性があるという。論文は、JAMA誌2011年7月27日号に掲載された。
SLNに微小転移が見付かった患者に治療を行わないと死亡リスクが上昇するかどうかについては議論があった。一方、乳癌患者の骨髄に見付かる微小転移を死亡リスク上昇と関連付ける報告もあった。しかし、早期乳癌患者に限定して、それらの微小転移が生存に及ぼす影響を調べた研究はほとんどなかった。
著者らは、早期乳癌で乳房温存手術を受けた患者を対象に、免疫染色によって見い出されるSLNと骨髄の微小転移がどの程度存在するのかを調べ、それらの臨床的な意義を明らかにしようと考えた。
99年5月から03年5月まで、米外科学会腫瘍学グループの前向き観察研究Z0010試験に参加した米国内126施設で、病期がT1からT2、N0、M0の浸潤性乳癌患者の登録が行われた。術前補助化学療法を受けた患者、両側乳癌の患者などは除外した。
条件を満たした患者5210人のうち、5119人(98.3%)からSLNが採取されていた。手術時の骨髄穿刺は当初は任意としたが、01年3月以降は必須とした。
ヘマトキシリン-エオジン(HE)染色で陰性のSLN標本と、すべての骨髄標本を免疫染色した。患者の治療に当たる医師には免疫染色の結果を告げなかった。乳房温存手術後は原則として全乳房照射を行い、必要と見なされたケースには術後化学療法を実施した。
主要アウトカム評価指標は全生存率とし、2次評価指標は無病生存率に設定した。
患者の69%が50歳超で、83.3%はステージI、80.1%が浸潤性乳管癌で、腫瘍のサイズの中央値は1.4cmだった。81.2%の患者がエストロゲン受容体陽性だった。SLNはHE染色陰性だったが腋窩リンパ節郭清を受けていた患者が107人いた。
HE染色陰性だったSLN 3904検体のうち、3326検体(85.2%)について免疫染色が可能だった。349検体(10.5%)に微小転移が見付かった。一方、骨髄標本3413検体に免疫染色を行ったところ、104検体(3.0%)が微小転移陽性だった。SLNと骨髄の両方が免疫染色陽性だったのは6人のみだった。
10年4月までの6.3年(中央値)の追跡で、435人の患者が死亡し、376人に再発が見られた。
SLNの免疫染色において、微小転移陽性は全生存率に有意な影響を及ぼしていなかった。5年生存率は、微小転移陰性群が95.7%(95%信頼区間95.0-96.5%)、微小転移陽性群では95.1%(92.7-97.5%)で、未調整ハザード比は0.90(0.59-1.39、P=0.64)。多変量解析を行っても、調整ハザード比は0.88(0.45-1.71、P=0.70)と本質的に変化しなかった。5年無病生存率はそれぞれ92.2%(91.1-93.2%)と90.4%(87.2-93.8%)(P=0.82)だった。
一方、骨髄の免疫染色において、微小転移陽性は全生存率の低下に関係していた。5年生存率は、微小転移陰性群が95.0%(94.3-95.8%)、陽性群が90.1%(84.5-96.1%)(P=0.01)で未調整ハザード比は1.94(1.02-3.67、P=0.04)。しかし多変量調整を行うと、ハザード比は1.83(0.79-4.26、P=0.15)となり、有意差は見られなくなった。著者らは、骨髄の微小転移と全死因死亡の関係が有意でなくなったのは、転移陽性者の数が少なかったためと考えている。5年無病生存率はそれぞれ90.8%(89.7-91.8%)と86.7%(80.3-93.7%)(P=0.22)だった。
乳房温存療法を受けた女性患者で、免疫染色によるSLN微小転移陽性は10.5%に見られたが、微小転移陽性は全死因死亡のリスク上昇に関係していなかった。このことから、HE陰性のSLNに対する免疫染色を日常的に行う必要はないと考えられた。
一方、骨髄の免疫染色による微小転移陽性はまれではあるが、死亡に関係することが示唆された。ただし、「骨髄の微小転移陽性は3%程度の患者にしか見られないため、現状では、ハイリスク者を選出する方法としてすべての早期乳癌患者に骨髄穿刺を行うことを推奨するほどの利益は予想できない」と著者らは述べている。
原題は「Association of Occult Metastases in Sentinel Lymph Nodes and Bone Marrow With Survival Among Women With Early-Stage Invasive Breast Cancer」、概要は、JAMA誌のWebサイトで閲覧できる。
----------
この結果を見ると、術後化学療法や放射線治療の重要性が感じられます。
1個の乳癌細胞が1センチに育つまで、10年ほどかかるとされています。手術で癌を切除できたと思っても、芽が体内のどこかにひそんでいる可能性が高い。手術したら、はい、おしまいってことにならないのが辛いところですね。
長い付き合いになりそうなこの病気、いかに日々を充実して生きるか。が、大切なのは百も承知ですが、、、きょうのように暑いと、全然考えたくなくなっちゃいます( ̄へ ̄)。
人気ブログランキングに参加中、<ここをクリックよろしくね~ >
This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)