福島大野病院事件に際し、私は「ボールペン作戦」 に参加して、マスコミ関係を中心に配りました。最後の1本は、本日、一番お渡ししたかった方に渡すことができました。
先月、不正出血があり、青くなって通院する病院の婦人科に予約を取ろうとすると、なんと3週間待ち! 他の病院へ行く選択肢はありません。この病院は産婦人科外来に医師が4人、週3回も診察するにもかかわらず、越境患者の出現でいつも混雑しているのです。
「皆さん、同じ事情で待っていただいておりますので・・・」と事務員の声。2年前は1週間で予約が取れたのに、産科崩壊はここまで来たかという思いがしました。新たながんになっちゃったのかなという不安を、3週間も引きずるのは少々厳しかったです。他の人たちもそうなのよね。
朝イチの診察だったのに、担当医は目をこすりながら、私のカルテを読んでいました。年に一度の診察ですが、私よりお若い先生なのに、昨年よりぐっと白髪が・・・。
ホルモン分泌の乱れとの診断を得、ほっとしたところで、例のボールペンを先生にお渡ししました。
「この判決に関心の無い産科医なんて、一人もいませんよ」
とにっこり微笑み、受け取って下さいました。私のような一般市民が、この事件に関心を持つことは、専門家にとっても意味のあることのようです。
帝王切開で29歳失血死、医師に無罪判決…福島地裁(読売新聞) - goo ニュース
福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決が20日、福島地裁であった。
鈴木信行裁判長は、「標準的な医療措置で、過失は認められない」として無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。
医療界からは、医師の逮捕に対して反発の声が上がり、元々勤務が過酷とされる産科医離れが進むなど波紋を広げたとして注目された。
判決によると、加藤被告は04年12月17日に女性の帝王切開手術を執刀。子宮に癒着した胎盤をはがした際に大量出血が起き、女性は失血死した。子どもは無事だった。
鈴木裁判長は、胎盤をはがしたことと死亡との因果関係を認め、「手でこれ以上胎盤をはがせないと判断した時点で、はく離を続ければ大量出血の恐れがあると予見できた」と、検察側の主張を認めた。
だが、はく離を途中でやめて子宮摘出手術に移り、大量出血を回避すべきだったとする検察側の主張については、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、結果を回避する注意義務はなかったと判断。さらに、「女性は(難症例の)癒着胎盤という疾病で、過失のない診療行為でも死亡という結果は避けられなかった」として、医師法違反についても「異状死ではなく、届け出義務はない」とした。
検察側は「胎盤の癒着は広範囲で相当深く、はがし続ければ大量出血し、生命に危険が及ぶ」と指摘。弁護側は「胎盤をはがしている最中の出血量は最大555ミリ・リットルで、大量出血の予見可能性はなかった。はがし始めたら最後まで行うのが臨床の実践。標準的な医療行為だった」と主張した。
産科医は、04年ごろから減少が顕著となり、加藤被告の逮捕・起訴後は、医師の産科離れにさらに拍車がかかったとされる。日本産科婦人科学会は「故意や悪意のない医療行為に個人の刑事責任を問うのは疑問」とする見解を表明。国は「医療安全調査委員会(仮称)」の設置を検討している。
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この事件に関して、Dr.I先生のブログ 「やぶ医師のつぶやき」にわかりやすい説明があります。
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医学っていうのは、不確実なものですから。
絶対に大丈夫って事はないんですよ。
日本は、周産期死亡率が世界一低いんですけど。
それでも、お産をすれば、死ぬ人もいるんですよ。
ある一定の確率で、必ずね。
100点満点のテストで60点以上が合格として。
99点だったら、喜びますよね、普通。
楽勝で合格点だし、
ほとんど満点に近いような点数だから。
多分、クラスで一番か二番でしょう。
でも、言い方を変えれば、
1点はミスしているんですよね。
100点満点で99点っていう事は。
その1点の事だけを取り上げて、「医療ミスだ」
って言っているのが、一部の医療訴訟です。
しかも、点数の基準が○×とか。
マークシートとか、そういう完全に白黒
はっきりつけるものならともかく。
採点者によっては、人によっては正しいけど、
人によっては、正しくない。
って言ってるような、そんな基準で。
一部の医療訴訟は行われています。
福島大野病院事件の場合は、
極めてまれで予測不能な難治疾患と遭遇して、
救命を目的に必死の思いで
正当な医療行為を実施しても、
結果的にその患者さんを救命できなかった。
そういう場合に、今回のように極悪非道の殺人犯と
全く同じ扱いで逮捕・起訴されるようでは、
危なくて誰もリスクを伴う医療には
従事できなくなってしまうんですよ。
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多くの医師が団結し、抗議しているのは、この事件が刑事罰に問われたことです。しかも、書類送検ではなく、逮捕・拘留されてしまった。
この事件では、警察、検察は医療の専門家ではないから、医療の専門家の意見を尋ねました。ところが、経験の乏しい鑑定医が鑑定した。結果、多くの専門家が鑑定に疑問を持った。
ひょっとしたら、今までも専門的な知識を必要とする事件で、同じようなことが起きていたかもしれません。。。
弁護士さんとは頭がよくて優秀で、きちんと説明すれば理解してもらえる人たちだと私は思っていました。が、実際の医療現場において、治療をすれば治るという思い込みでもあるのかなと、今回、考えを新たにしましたね。
もっともこれは、私が親の十数年来がんと付き合い、「治療をしてもうまくいかないこともある」のを実感しているからかもしれませんが。
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![なかのひと](http://nakanohito.jp/an/?u=154648&h=658079&w=48)
This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” can be read in Japanese only
先月、不正出血があり、青くなって通院する病院の婦人科に予約を取ろうとすると、なんと3週間待ち! 他の病院へ行く選択肢はありません。この病院は産婦人科外来に医師が4人、週3回も診察するにもかかわらず、越境患者の出現でいつも混雑しているのです。
「皆さん、同じ事情で待っていただいておりますので・・・」と事務員の声。2年前は1週間で予約が取れたのに、産科崩壊はここまで来たかという思いがしました。新たながんになっちゃったのかなという不安を、3週間も引きずるのは少々厳しかったです。他の人たちもそうなのよね。
朝イチの診察だったのに、担当医は目をこすりながら、私のカルテを読んでいました。年に一度の診察ですが、私よりお若い先生なのに、昨年よりぐっと白髪が・・・。
ホルモン分泌の乱れとの診断を得、ほっとしたところで、例のボールペンを先生にお渡ししました。
「この判決に関心の無い産科医なんて、一人もいませんよ」
とにっこり微笑み、受け取って下さいました。私のような一般市民が、この事件に関心を持つことは、専門家にとっても意味のあることのようです。
帝王切開で29歳失血死、医師に無罪判決…福島地裁(読売新聞) - goo ニュース
福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決が20日、福島地裁であった。
鈴木信行裁判長は、「標準的な医療措置で、過失は認められない」として無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。
医療界からは、医師の逮捕に対して反発の声が上がり、元々勤務が過酷とされる産科医離れが進むなど波紋を広げたとして注目された。
判決によると、加藤被告は04年12月17日に女性の帝王切開手術を執刀。子宮に癒着した胎盤をはがした際に大量出血が起き、女性は失血死した。子どもは無事だった。
鈴木裁判長は、胎盤をはがしたことと死亡との因果関係を認め、「手でこれ以上胎盤をはがせないと判断した時点で、はく離を続ければ大量出血の恐れがあると予見できた」と、検察側の主張を認めた。
だが、はく離を途中でやめて子宮摘出手術に移り、大量出血を回避すべきだったとする検察側の主張については、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、結果を回避する注意義務はなかったと判断。さらに、「女性は(難症例の)癒着胎盤という疾病で、過失のない診療行為でも死亡という結果は避けられなかった」として、医師法違反についても「異状死ではなく、届け出義務はない」とした。
検察側は「胎盤の癒着は広範囲で相当深く、はがし続ければ大量出血し、生命に危険が及ぶ」と指摘。弁護側は「胎盤をはがしている最中の出血量は最大555ミリ・リットルで、大量出血の予見可能性はなかった。はがし始めたら最後まで行うのが臨床の実践。標準的な医療行為だった」と主張した。
産科医は、04年ごろから減少が顕著となり、加藤被告の逮捕・起訴後は、医師の産科離れにさらに拍車がかかったとされる。日本産科婦人科学会は「故意や悪意のない医療行為に個人の刑事責任を問うのは疑問」とする見解を表明。国は「医療安全調査委員会(仮称)」の設置を検討している。
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この事件に関して、Dr.I先生のブログ 「やぶ医師のつぶやき」にわかりやすい説明があります。
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医学っていうのは、不確実なものですから。
絶対に大丈夫って事はないんですよ。
日本は、周産期死亡率が世界一低いんですけど。
それでも、お産をすれば、死ぬ人もいるんですよ。
ある一定の確率で、必ずね。
100点満点のテストで60点以上が合格として。
99点だったら、喜びますよね、普通。
楽勝で合格点だし、
ほとんど満点に近いような点数だから。
多分、クラスで一番か二番でしょう。
でも、言い方を変えれば、
1点はミスしているんですよね。
100点満点で99点っていう事は。
その1点の事だけを取り上げて、「医療ミスだ」
って言っているのが、一部の医療訴訟です。
しかも、点数の基準が○×とか。
マークシートとか、そういう完全に白黒
はっきりつけるものならともかく。
採点者によっては、人によっては正しいけど、
人によっては、正しくない。
って言ってるような、そんな基準で。
一部の医療訴訟は行われています。
福島大野病院事件の場合は、
極めてまれで予測不能な難治疾患と遭遇して、
救命を目的に必死の思いで
正当な医療行為を実施しても、
結果的にその患者さんを救命できなかった。
そういう場合に、今回のように極悪非道の殺人犯と
全く同じ扱いで逮捕・起訴されるようでは、
危なくて誰もリスクを伴う医療には
従事できなくなってしまうんですよ。
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多くの医師が団結し、抗議しているのは、この事件が刑事罰に問われたことです。しかも、書類送検ではなく、逮捕・拘留されてしまった。
この事件では、警察、検察は医療の専門家ではないから、医療の専門家の意見を尋ねました。ところが、経験の乏しい鑑定医が鑑定した。結果、多くの専門家が鑑定に疑問を持った。
ひょっとしたら、今までも専門的な知識を必要とする事件で、同じようなことが起きていたかもしれません。。。
弁護士さんとは頭がよくて優秀で、きちんと説明すれば理解してもらえる人たちだと私は思っていました。が、実際の医療現場において、治療をすれば治るという思い込みでもあるのかなと、今回、考えを新たにしましたね。
もっともこれは、私が親の十数年来がんと付き合い、「治療をしてもうまくいかないこともある」のを実感しているからかもしれませんが。
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