乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

乳癌の心理的介入効果

2009年10月30日 | 精神腫瘍学
乳がん発症はストレスが起因する、、、という人もいますが、それを示唆するような報告を見つけました。

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【乳がん患者に対する心理的介入は再発と死亡のリスクを低減】 2008年11月21日


 米Ohio州立大学は、乳がん患者のためにデザインされた心理的な介入プログラムが、健康状態全般を改善するのみならず、再発リスク、乳がん死亡リスク、全死因死亡リスクを有意に減らすことを発見、Cancer誌電子版に2008年11月17日に報告した。

 これまでに行われた研究で、心理的な介入が乳がん患者のストレスを軽減し、行動を変化させて、健康の改善に役立つことは示されていた。が、実はそれ以上の効果が期待できるようだ。

 この研究は、同大学が長期にわたって行っているStress and Immunity Breast Cancet Project at Ohio State試験の一部として行われた。対象は、外科的治療を受けたステージIIとIIIの乳がん患者227人で、半数が介入群に割り付けられ、通常のケアと心理プログラムの適用を受けた。残りの半数は対照群として通常のケアのみ受けた。

 介入群は、週1回、臨床心理士主導のグループ・セッション(8-12人)に4カ月間出席し、ストレスを減らすための筋肉弛緩法、疲労など一般的な問題の解決法、家族や友人からの支援を得る方法、運動と食事に関する有益な情報、治療の副作用に対する対処法、治療を継続しそれが終了した後にも定期的な受診を欠かさないことの重要性などを学んだ。4カ月以降は、月1回のセッションに8カ月間参加した。

 研究者たちは2007年10月まで患者を追跡。最短で7年、最長で13年、中央値11年の追跡となった。
 追跡期間中に再発した患者は212人中62人(29%)、死亡は227人中54人(24%)だった。Cox比例ハザード解析を行ったところ、対照群と比較した介入群の再発の多変量調整ハザード比は0.55(P=0.034)、乳がん死亡のハザード比は0.44(P=0.016)、全死因死亡のハザード比は0.51(P=0.028)で、リスク低減は全て有意だった。

 さらに、乳がんで死亡した患者のみについて比較すると、生存期間は介入群で長かった(平均6.1年と4.8年)。
 あらゆる原因で死亡した女性について比較しても、生存期間は介入群の方が長かった(6年と5年)。
 介入で学んだ様々な知識が、心疾患やその他のがんによる死亡も減らした可能性がある。

 なお、介入群に割り付けられたがセッションの20%未満しか参加しなかった女性(114人中16人)を除いて乳がん死亡リスクを求めたところ、介入によるリスク低減は56%から68%まで上昇した。

 先に行われた同じ患者群を対象とする研究では、介入群に免疫機能の亢進が見られている
 一連の研究は、心理的な介入ががん患者の予後向上に有用を示唆した。
(大西 淳子=医学ライター)

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>介入群は、週1回、臨床心理士主導のグループ・セッション(8-12人)に4カ月間出席し、ストレスを減らすための筋肉弛緩法、疲労など一般的な問題の解決法、家族や友人からの支援を得る方法、運動と食事に関する有益な情報、治療の副作用に対する対処法、治療を継続しそれが終了した後にも定期的な受診を欠かさないことの重要性などを学んだ。4カ月以降は、月1回のセッションに8カ月間参加した。

このうちのどれが効いたんでしょうか。
免疫機能の亢進もあったとは、グループセッションの内容を詳しく知りたくなりますね。

運動と体重コントロールの有用性については、このブログでも何度か取り上げました。ストレスの対処法は、がん患者だけでなく多くの人が知りたいことでもあります。

ある心理学者の書いた本に、「心理的なストレスがちっとやそっと負荷されても、免疫機能自体は影響されないという実験結果がある」とありました。以来、小さなストレスを浴びた時いちいち、免疫力が落ちてしまう~っ、なんてビクつかなくなりましたが(笑)。

でも、大きなストレスがかかったら、速やかに取り除いた方が病気にはよさそうですね。


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心のケア

2009年07月06日 | 精神腫瘍学
がん患者さんには多角的なサポートが必要だと言われます。「心のケア」は、がんの告知から、終末期に至るまで、とても重要なケアだと思います。これって、計測やマーカーとかで測定できず、だからこそ専門家の手が必要なんですよね。
     こちらが参考になります、どぞっ よっしぃの独り言-PEACE

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癌医療では将来の見通しを共有し希望を取り戻す心のケアが重要【泌尿器科学会2009】


 癌医療では、癌で否定的に変化した将来の見通しを共有し、もう一度希望を取り戻す心のケアが重要であり、医師のコミュニケーション技術は患者の心に大きく影響する。4月16~19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会の指導医教育企画として、国立癌センター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部の内富庸介氏が「癌患者の心理的反応に配慮した癌診療」と題し、講演を行った。

 精神腫瘍学は、癌と心の関係を自然科学的・社会科学的なあらゆる手法を用いて学際的に探求していく学問領域で、1970年代から欧米で癌の告知がされるようになったことに伴い、研究が活発に展開されるようになった。

 癌の告知を受けた患者は直後の衝撃から、否認、絶望、怒りを経て、数日で回復期に入るが、常に悲嘆・落胆・うつ、不安、食欲低下・不眠などで揺れ続ける。癌のような悪い知らせは患者の将来への見通しを根底から否定的に変えてしまう。「多くの患者さんは人生のさまざまな課題を乗り越えてきた矢先に癌を経験する。一緒に見通しを共有し、もう一度希望を取り戻す心のケアは重要」と内富氏は話した。

 心のケアを行う上で重要なコミュニケーションの大半は、視覚と聴覚からの情報に依存する。声の調子、表情、姿勢、身振りなどが主で、言葉を並べるだけでは情報の重要性や深刻さは決して患者には伝わらない。医師のコミュニケーション技術は、癌患者の精神的苦痛や医療に対する満足感、癌患者からの重要な情報の開示などに大きく影響する。

 基本的なコミュニケーション技術には、身だしなみや座る位置への配慮、目や顔を見る、相槌を打つなどに加え、質問のスキルや共感するスキルが必要だ。共感を示すには十分な沈黙(5~10秒)も重要だが、「沈黙はつらい」と感じる医師も少なくない。

 さらに癌医療のコミュニケーションには、難治性の癌、再発、積極的な治療の中止といった「悪い知らせを伝える」ことも含まれる。癌に関する悪い知らせを伝えるコミュニケーションにおける患者の希望を分析すると、(1)悪い知らせの伝え方、(2)安心感と情緒的サポート、(3)付加的な情報、(4)支持的な場の設定――の4つの要素から成り立つ。

 この4つの要素を実際の面談の場面に当てはめて時系列にすると、起承転結となる。「起」で面談までの準備を行い、実際に面談を開始し、「承」で悪い知らせを伝え、「転」で治療を含めた今後について話し合い、「結」で面談のまとめを行う。このような癌医療におけるコミュニケーションについて、ロールプレイを含む緩和ケア研修会が現在全国の癌拠点病院を中心に行われている。

 癌医療におけるコミュニケーションには精神疾患への対応も含まれる。うつ病は癌患者の4~7%、適応障害は5~35%にみられる。うつが持続すると自殺につながり、癌患者の自殺率は国内では0.2%で、診断後早期に多い。

 患者からうつを訴えることは少なく、医師や看護師の評価とは一致しにくいため、スクリーニングの実施が望ましいが、スクリーニングで陽性でも精神科受診につながるのは4人に1人程度。多くの患者は「気持ちより体の治療を優先したい」と訴える。このような場合、患者の言葉に耳を傾け、批判や価値判断をせず受容的に接することが基本となる。つらさを受け入れ、理解しようとする準備があることを伝え、そのうえで気持ちのつらさを専門に診ている医師への受診を勧める。患者が受診を拒否した場合は意見を尊重したうえで理由を把握し、いつでも受診できることを伝え、機会を改めて再度勧めていく。

 英国や米国では癌患者に精神的苦痛のスクリーニングを行い、状況に応じて専門医に紹介することを推奨している。癌患者のうつに対する抗うつ薬は無作為化比較試験で有効、カウンセリングもメタアナリシスでほぼ有効という結果が得られており、治療アルゴリズムも提唱されている。

 国立癌センター東病院は、心のケアを含む緩和ケアを病院の外にも広げるため、診療所、訪問看護、訪問介護、ボランティア、行政などとともに地域癌緩和ケア連携システムを展開している。内富氏は「ぜひコミュニケーションスキルトレーニングでロールプレイを経験し、緩和ケアチームに参加していただきたい」と呼びかけた。
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>共感を示すには十分な沈黙(5~10秒)も重要だが、「沈黙はつらい」と感じる医師も少なくない。

外来診察で告知を何件か控えている医師に、沈黙を求めるのは難しいんじゃないかしら(^^;)。でも、緩和ケアの医師になると、ちょっと違います。患者とゆったりとした時間を持つのも緩和ケアになりますから。

>癌医療におけるコミュニケーションには精神疾患への対応も含まれる。うつ病は癌患者の4~7%、適応障害は5~35%にみられる。うつが持続すると自殺につながり、癌患者の自殺率は国内では0.2%で、診断後早期に多い

「私は鬱病だ」と言う患者は少ないでしょうから、鬱病を発症していないかは医療者側、患者家族が注意する必要があるでしょうね。

>癌患者のうつに対する抗うつ薬は無作為化比較試験で有効、カウンセリングもメタアナリシスでほぼ有効という結果が得られており、治療アルゴリズムも提唱されている。

調子が悪いのなら、薬の手を借りることも必要だと思います。うつ状態で不眠になると、ますます体調が悪くなってしまいます。

緩和ケアの医師とのコミュニケーションで、患者家族として私が困ったことは、、、こっちから何を話していいのか、わからなかったことです。
今後の患者の病状について、医師も誰もどーなるかわからないところまで来た。わかんないんだから、医師と合ったって話すことって何?って感じでした。
で、結局、医師も私も無言で患者の手を握っていたのであります。


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その4言葉の重み

2008年09月16日 | 精神腫瘍学
精神腫瘍学 その4 医師の言葉の重み


注目の集まった精神腫瘍学講座、最終回はある患者さんからの質問のレポートです。

 術後二十数年して肺に再発、現在、再発治療4年目。ノルバディックスを1年間服用し、肺の転移がCT上では消失。現在、アリミデックスを3年間服用したところ、体調は良い。

 1年前から腫瘍マーカーが徐々に上昇、現在はCEAが8、CA15-3が60。
主治医が変わり、「薬は変えなくてよい」「再発は治らないから」とか、「突然悪くなり、血を吐いて亡くなることがある」「今のうちに身辺のするべきことはしておいたほうがよい」とか、検診の度に言われ、ウツ状態になってしまった。

 病院とは初発から30年間の付き合いにある。この病院では主治医の変更は認められず、どうしたらよいか迷っている。精神科にかかった方がよいか。


この質問が出された時、会場はどよめきました。
この患者さんの主治医が、検診の度に上記の通りの話し方をしたとしたら、やはりキツい。。。気持ちは沈むでしょうね。

しかし、病気の情報として不要なのか?

私は必要です。
体が動く内に、するべきことをしておきたいからです。

家族の立場だったら尚更、早めに知っておきたいと思うでしょう。患者の望みをなるべく多く叶える手助けしたい。しかし、それにはできることとできないことがある。できなさそうなことを叶えようとする場合、起こりうることに対しどのような対処をするか、腹をくくらなくちゃならないし。

要は、「言い方」じゃないかしら?

と、考えていたら、講師が、「医学的に正しいことが、患者のためになるとは限らない」と言いました。

医師の言葉は重みがあり、言葉の内には、希望も絶望もある。
医師は患者の人間性や個性を尊重するべきで、患者によっては、病気より患者を診てほしいと切に望む人もいる。

上記の場合だと、主治医の変更を希望し、受け入れられないのならば精神腫瘍科、心療内科や精神科でカウンセリングを受けたり、転院も視野に入れることも方法でしょうということでした。

講師(臨床医)のこの説明は、私にはちょっと医師側に対して厳しいかなと。。。
「亡くなることがある」とか、「身辺整理を」とかは、一度言われたら忘れられない言葉だと私は思うので、検診の度にこれを言われたら欝ってしまう。

しかし、“自分に都合の悪いことは聞こえない”態度を取る患者さんがいるのも事実(^^;)。「あれ、本当に理解したのだろうか?」と、医師が再度言ってみたくなる患者さんや家族もいると思うのです。医療訴訟が増加する現状では、念を入れたくなるような気もします。
とはいえ、大抵の患者さんは一回言えば忘れない、インパクトのある言葉大なんですよね。だって、「絶望」を伝えるわけですから。

問題は、この先、独居老人が増えた時だと思いました。
患者さんが単身で診察室にやって来て、医師は患者さんに絶望の予測を伝える。患者さんはわかってるんだかわかってないんだか、どーもわかんないような感じだったら、言葉をどのように変えて伝える作業をするのだろうか。。。

と、色々と考えさせられた講座でした。
このシリーズは思いがけず反響があり、アクセス数が大幅増。私も更に興味を深めていきたいと思います。
講座存続の要望書でも出そうかな。( ´艸`)

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その3よくある質問

2008年09月14日 | 精神腫瘍学
精神腫瘍学 その3 よくある患者の質問


Q1 がんは免疫力の低下と関係があるか。
A1 エイズの人で見ると、発症率の上がるがんはある。しかし、乳がんは差がなかった。
    がん細胞に対する免疫力→測定できない、実態がない
    細菌感染に対する免疫力→好中球が関与
    ウイルス感染に対する免疫力→リンパ球、抗体が関与

Q2 精神科や心療内科ではどのような治療がされるのか。
A2 カウンセリングを行いながら、薬をしようすることが一般的。大方の患者さんは1、2回のカウンセリングで終了する。

Q3 使う薬の種類は?
A3 抗うつ薬、安定剤、睡眠薬がよく使われる。専門医と相談しながら使えば、やめられなくなることはない。

Q4 子どもに病気のことを伝えた方がよいか。
A4 子どもの年齢、状況にもよるが、子どもなりに「理解」している。何となくこれまでとは違う回りの雰囲気を感じていることも多い。子どもにとっては、何でも話せるほうが気持ちは安定する。一般的には子どもが理解できるように伝えることがすすめられる。

Q5 医師とコミュニケーションがうまく取れない。
A5 医療者は、患者が何を知りたいか、どのような懸念を持っているのか、気付かないことも多い。どういうことを、<どの程度>知りたいかを<具体的に>伝えること。

Q6 カウンセリングは効果があるのか。
A6 気持のつらさをゼロにすることはできない。しかし、気持を言葉にしたり、整理することで幾分和らぐことも多いことが知られている。


私が着目したのは、Q1 の「がんは免疫力の低下と関係があるか」。
具体的には、実態がないっていうのが現状。がんになって落ち込んで、あら、こんなんじゃますます免疫力が落ちちゃう。負のスパイラルだ…と焦ったこともありましたが、測定できないんじゃしょうがないわねえ。ε-(´∀`*)

その2もアクセス数が多く、皆様の並々ならぬ関心の高さをうかがい知りました。なので、も一回、患者からの突っ込んだ質問を一つ取り上げようと思います。


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なかのひと

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その2精神的つらさへの対処法

2008年09月11日 | 精神腫瘍学
  精神腫瘍学 その2 精神的つらさへの対処法

では具体的に、がん患者さんの悩みは何が一番多いかというと、「気持ちの問題」だそうです。

「がんの社会学」に関する合同研究班報告書(2004)より (n=7885)
1 不安などの心の問題48.6%
  再発・転移の不安 15.5%
  将来に対する漠然とした不安 11.9%
2 症状・副作用・後遺症 15.1%
3 家族・周囲の人との関係 11.3%
4 就労・経済的負担 7.9%
5 診断・治療 6.7%

で、講師は対処法として、先輩患者さんから学ぶことを提案。作家岸本葉子さんの「がんを生き抜く実践プログラム(NHK出版)」を例に紹介しました。

<精神的つらさへの対処法>

1 不安が強くなったら、自分の恐れていること、大切なことを書き出し、優先順位をつける。
2 変えられることと、変えられないことを区別し、前者については方法を検索する。後者については考えない、それに対する態度は自分で決める。
3 小さな具体的目標を設定し、行動する。一日の中のその時間を少しづつ多くする。
4 生活に方向性を持たせる。
どうすれば再発転移が防げるかは、誰にもわからない。だから、「再発転移した時に、何をしていたら、自分は後悔しないか」という視点から考えてみる。
5 落ち込みをあるがままに認める。日常生活に影響を及ぼすようなら、心の専門家に相談する。

私が着目したのは4の「再発転移した時に、何をしていたら、自分は後悔しないかという視点から考えてみる」です。

病気に限らず、重要な決断をする際、私はこのような視点に立つことにしています。例えば、親が末期がんと告知され、介護と自分の生活との配分をどうするか。仕事を減らして介護に集中した方が後悔しないのか、それとも仕事を増やしてヘルパーに頼んだ方が、未来の自分が納得しているのか、、、とか。

未来の自分が過去の自分を見るような感じもするこの方法、くよくよ悩んじゃって行動になかなか移さない自分にはイイ方法です。ちょっと先の未来をこうする、と目標を決めることにもなり、実行すると達成感を持てます。客観的に自分を眺めるトレーニングにもなると思います。

先輩患者さんに学ぶのに、闘病記を読むのもよい方法です。んが、私はちょっと失敗しますた。前出で紹介した精神科医の頼藤和寛先生の「私がんになっちゃいました」を、術後の病理結果が出ない一番不安な時期に読んだのですが・・・。

精神科医だから、病気の不安をうまく乗り切る方法なんかが書かれていると思いこんじゃったんです。この先生は、ユーモアがあってほんわかした読後感を持つ著作の多い先生です。

頼藤先生の話しは、エビデンスに基づく治療に始まり、医学的に見るとご自身の病状は明るくない。病気に対し、厳しくなりそうな未来を予測、現実を淡々と受け入れる様子が書かれていました。

病気と闘うとか、前向きにつきあうといったエネルギーを感じられない本だったんです。うまく乗り切ろうとしてはいなかったわけで。いつものユーモラスで楽しいノリじゃなかったんです。
しまった、暗くなっちゃいけない時期に読んじゃったよーと、暗くなってしまいました。

私の場合、暗くなった時は、暗い話しやホラー、ミステリー小説など、読むのは適さないという己を知ったわけです(^^;)。ここら辺の感覚は人によると思います。己を知り、情報収集の選択をしましょう。


で、お次はよくある患者の質問です。読みたい人はここをクリックよろしくね

いやはや、その1のアクセス数が過去最高を記録しますた。関心のある方がとても多いようですね。
もちろん、私もその一人。なので、地域の役所と医師が参加するNPOへ、「3人に1人はがんで死ぬ時代なんぢゃ、だから精神腫瘍学の専門家を呼んで少しでも平穏に暮らせるような講義をしてちょ(`▽´)ノ」と要望書を出したんです。で、両者ともに機会を設けてくれますた。なので2回も講演会が実施されますたよっ! 要望書、出してみるもんですねえ。。。

なかのひと

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精神腫瘍学 その1

2008年09月09日 | 精神腫瘍学
精神腫瘍学 その1 がんのストレス


夏のダラダラ気分を吹っ飛ばすため、お勉強会に出席しますた。がん患者さん必読だよ~ん!

精神腫瘍学(サイコオンコロジー)とは
 年間50万人以上の人ががんを経験する。2015年には89万人に達すると言われる。精神腫瘍学は、がんの全ての経過において、適切な精神的ケアを提供し、患者と家族がよりよく生活できるよう援助する。
 また、がんの経過に影響を与える心や行動に関連する要因を明らかにし、それらに働きかける。

ってことから、精神腫瘍学の講師の講義が始まりますた。

1 がん患者の心の動き

第1期 ショック期 1週間ぐらい

 病気を認めたくない、希望が持てない
 「頭が真っ白」「自分ががんになるなんて、何かの間違いだ」

第2期 精神的苦痛期 1,2週間程度

 不安や抑うつ、食欲不振、不眠

第3期 適応期 2週間後から

 現実的問題に向き合えるようになる、楽観的な見方も可能になる
 「いい治療を受けよう」「元気に過ごしている人もいる」

 患者さんの心の状態は、上記の「通常反応」を経て回復する。しかし、4割以上が何らかのケアが望まれる心の状態にある。国立がんセンターの患者の場合、5~20%が「適応障害*」。
 (*ストレスに関連して起こる不安・抑うつ。それにより社会的、職業的機能の障害を生じ、苦しんでいる状態)
  
2 性格とがんへのなり易さ 中谷ら、J Natl Cancer Inst 2003より

がんになる危険度を、性格の外向性、神経質さで調査。結果は、性格傾向とがんへのなり易さは関係なかった。
 
3 うつ状態の有無と乳がんの経過

手術後、うつ状態のない患者の方が長生きしていた。Watsonら、lancet 1999
グループ療法を受けた患者の方が長生きしていた。Spiegelら、lancet1989
カウンセリングを受けた患者の方が長生きしていた。Kuchlerら、J Clin Oncol 2007

しかし、影響を与えなかったという報告もある。
グループ療法は、病気の経過には影響を与えなかったが、気持ちのつらさは軽減した。Goodwinら、NEJM 2001

で、講師は、がんへのなりやすさ・がんになった後の生命の長さ・がんによる死亡率について、「ストレスに関連する心理社会的要因ががんへのなりやすさ/がんになった後の生存期間に与える影響:メタアナリシス Chida Nat Clin prac Oncol 2008」を引用し、説明。

「影響はありそうだが、とても小さい」。

なんかこの言葉を聞き、神経質で病気に対して前向きになんてとても考えられない私は、とってもホッとしちゃいますた。生存期間が前向きな人とそんなに違わないのなら、後ろ向きだっていいんじゃないのって。。。

そういえば、大腸がんで亡くなった精神科医の頼藤和寛先生が、ご自身の著書「私がんになっちゃいました」の中にも、“ストレスと免疫の関係はない”と書いてあったのを思い出しました。上記の報告を参考にしたのかな。

しかしながら、生存中の心の充実度とか精神的満足度は違うんでしょうね。
で、次回はいかに病気の不安を取り除くかについての紹介です。


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