乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

医師のデモ

2010年11月30日 | 社会
その昔、「“先生”と言われる職業は、一回やったらやめられない」と言われた時代がありました。代議士、弁護士、坊主に医師…。おお、そうだ、漫画家もそのうちの一つでしたっけ。

でも漫画家は、ごく一部の大御所を除き、今ではキツイ・給料低い・急に仕事なくなるの“3K職”に転落です(^^;)。だってさ、昔のように「娯楽は漫画ぐらいしかないなあ」なんて時代は過ぎ去っちゃったしぃ。
長期間、大先生の元に丁稚奉公し、編集さんにビシビシしごかれ、ボツ原稿を山のように積み上げ、、、でも、漫画家デビューできず…。なぁんてこたぁない、ネットに出れば、誰でも漫画家! あまり魅力的な職業とは言えませんね。なんたって、常にフリーターと背中合わせだし。

頭にくるのが原稿料です。ここ数年、原稿料が下がりっぱなしです! 画材は値上がりしているんですよ! ←きょうは!が多い
対抗措置として、紙絵をパソコン絵にシフトしたら、、、たしかにね、漫画を描くソフトを購入すれば、あとの画材はそんなにかかりません。(紙絵だと、高価なスクリーントーンを大量に使うし、それを作業するのにアシスタントさんもちょいと必要になり、経費がかかるんですわ)。
でも、でも、でもーっ! ←やっぱり!が多い

パソコンのOSって、2、3年で新規が出るでしょ。
漫画用のソフトって、ピタッと対応できてないんですよ。このメンテナンスを整えるのに、すんげーストレスがたまるんです。結局、OSが変わると、ソフトも合わせて変えた方が、精神衛生上はいい。結局、経費がごっそりかかります。
大きな会社なら、パソコンの得意な人とか、専門性の高い人とかにちょっと尋ねれば解決しちゃいそうなことでも、漫画家さんが一人で解決するには、多大なエネルギーが必要ぢゃ。
というわけで、労働力の割にもうからないなあという感じです。

もー、やってらんねー。
転職してー。

でも、、、専門性が高すぎて、転職するのは難しそう。面接官に特技を聞かれて、「漫画を描けます」なんて答えたら、絶対落とされそうだし(苦笑)。

労働環境がキツくなると、ホント、暗いことばっか考えてしまいます。実際、行動に移し、権利を勝ち取ろうとするのは、大きなエネルギーが必要ですよね。

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【全国医師ユニオン、医師1000人のデモを2011年秋に】

     診療報酬増額を求め、病院団体・学会などに参加を要請


 医師が個人で加盟できる労働組合「全国医師ユニオン」は11月28日、2011年秋に医師によるデモンストレーションを実施することを発表した(関連記事:2009.6.10「勤務医の労働組合『全国医師ユニオン』が発足」)。2012年の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けて、診療報酬の増額を訴える。

 昨年の総選挙に際し、民主党は医療崩壊を食い止めることをマニフェストに掲げ、診療報酬の増額や、医師増員のための緊急予算に9000億円程度を充てるとしたが、2010年3月の診療報酬改定の上げ幅は0.19%と小幅に終わった。全国医師ユニオンは、前回の改定では医療再生にはほど遠く、診療報酬の増額には医師が声を上げることが必要だとして、デモンストレーションの実施を決定。今後、民医連などの労働団体、日本病院会などの病院団体、医学系学会などにデモ参加の協力を呼び掛け、2011年秋に東京都内で、1000人規模の医師によるデモ行進を計画している。

 全国医師ユニオン代表の植山直人氏(老人保健施設みぬま施設長)は記者会見で、「これまで、医師は医療政策に対して声を上げてこなかったが、今こそ行動が必要だ。今回のデモは勤務医、開業医の別なく医師であれば誰でも参加できる。(協力してくれる)各団体の代表者で話し合って、国民の支持を得られるような内容を要求したい」と語った。

 デモの詳細については、全国医師ユニオンのホームページ(http://union.or.jp/)で随時案内していくとしている。
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医療関係者から漫画製作の依頼を受けることがあります。以前は出版社より原稿料が高く、どちらかというとおいしい仕事でした。それが徐々に価格破壊に。
今では安すぎて、引き受けるのに躊躇するほどです。だって、ファミレスでバイトをした方が稼げるぐらいなんですもん。

「ファミレスでアルバイトした方がもうかる」って、医師のブログで時々みつける言葉です。医師に暇な人は少なそうだと、癌をわずらった人なら想像するのは容易いですよね。


「民主党の医療崩壊を食い止めるマニフェスト」に笑っちゃった人、<ここをクリックよろしくね~ >

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癌と食習慣

2010年11月28日 | 食と栄養
乳がん患者の皆様、癌と診断されて以来、食生活を変えましたか?

私は少し変えました。
癌になるまでは、栄養学的に大変整った食事を作っておりました。外食なんて、滅多にしません。仕事で疲れて帰っても、いちいち1汁3菜作りまくり。ジャンクフィードは大好き、特に甘いもんとお酒には目がないけど、正しい食生活第一です、適度に食べるに留めて我慢の日々ですた。

で、乳がんになりますた。

もー、やってらんねー。

主治医には、私がいかに栄養学的にすぐれた食事をし続け、どしゃぶりの雨の中でも毎日散歩をかかさなかったことなど、とーとーと語りました。「なのに、なんで私が癌になったんだ?!」と、ぶちまけちゃったぐらいです。

「そんなに頑張って癌になったんなら、んじゃ、不健康な生活をしたらどよ?」と、さわやか笑顔で主治医。

これだっ! 私に足りなかったモノは!

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【5つの良好な生活習慣が大腸癌を予防する】 BMJ誌より

 西洋型の生活習慣が普及したために日本でも大腸癌が増えたのではないかといわれている。デンマーク対癌協会のHelene Kirkegaard氏らは前向きコホート研究を行い、シンプルで一般的なライフスタイル指針、すなわち、非喫煙、適度な運動、適量の飲酒、大きすぎない腹囲、健康的な食事内容という5要因を満たした生活と大腸癌罹患の関係を調べた。得られたデータは、集団全体がこれら指針に沿った生活をすれば、大腸癌罹患が23%減ることを示唆した。論文は、BMJ誌2010年11月6日号に掲載された。

 著者らはデンマークの中年男女を対象に、好ましい生活習慣が実践できていたかどうかと大腸癌リスクの関係を調べ、さらに、好ましくない生活習慣に起因する大腸癌がどの程度存在するのかを推定しようと考えた。

 93~97年にDiet, Cancer and Health Cohort Studyに参加したCopenhagenとAarhusに住む5万5487人を分析対象とした。ベースラインで50~64歳、癌の既往がない男女で、生活習慣や健康状態、社会的な要因などに関する情報や、過去12カ月の各種食品の摂取頻度に関する情報が収集されていた人々だ。

 ライフスタイル指針は、大腸癌危険因子に関する知見と、健康を維持するために役立つとして国際的に推奨されている好ましい生活習慣を組み合わせて著者らが作成した。ベースラインで以下の項目を満たしているかどうかを尋ねて、1項目ごとにYesなら1ポイントを加算した。

 (1)非喫煙者である。
 (2)1日に30分以上運動する、または体をある程度動かす職業に就いている(郵便配達など)、あるいは身体活動量の多い職業に就いている(林業など)。
 (3)飲酒量が女性で7ドリンク/週、男性では14ドリンク/週以下。
 (4)腹囲が女性で88cm未満、男性では102cm未満。
 (5)健康によい食事をとっている(以下の4項目の全てが満たされていれば1ポイントとした。野菜と果物を合わせて600g/日以上摂取、赤身肉と加工肉は500g/週以下、食物繊維は摂取熱量1MJ(239kcal)当たり3g以上、エネルギー摂取の総量に占める脂肪由来エネルギーの割合(=脂肪エネルギー比率)が30%以下)。

 スコアの合計が0は「最も不健康」、5は「最も健康」と判断した。

 全員をメラノーマ以外の何らかの癌の診断を受けるまで、または、死亡、転居、もしくは06年4月27日の試験終了まで追跡した。

 主要アウトカム評価指標は、ライフスタイル指針の実践度と大腸癌リスクの関係とし、Cox回帰モデルを用いて分析した。交絡因子候補として、癌家族歴(1親等の親族)、学歴(7年以下、8~10年、10年超)、非ステロイド性抗炎症薬の使用、女性のホルモン補充療法歴などで調整した。

5万5487人中3万5512人(64%)は非喫煙者だった。3万2737人(59%)が、指針が示す限度内の飲酒習慣を持っていた。4万5499人(82%)が、指針が示すレベルの運動を行っており、4万2170人(76%)の腹囲が指針の範囲内で、1110人(2%)の食事内容が指針に沿ったものだった。

 生活習慣スコアが0または1は4570人(8%)、スコア2は1万4173人(26%)、スコア3が2万2428人(40%)、スコア4が1万3806人(25%)、スコア5は510人(1%)だった。

 中央値9.9年の追跡で678人(1.22%)が大腸癌と診断されていた。420人(0.76%)が結腸癌、258人(0.46%)が直腸癌だった。

 交絡因子候補で調整して罹患率比を求めたところ、ベースラインの生活習慣スコアが1ポイント上昇するごとに大腸癌リスクは11%下がることが示された。罹患率比は0.89(95%信頼区間0.82-0.96)。同様に結腸癌の罹患率比は0.88(0.80-0.98)、直腸癌の罹患率比は0.89(0.78-1.02)となった。

 スコア1ポイントの人口寄与割合を推定したところ、13%(4-22%)になった。これは、対象となった人々のベースラインの生活習慣スコアが1ポイント高ければ大腸癌罹患者は13%少なかったことを意味する。

 さらに、集団全員がスコア5つであれば、大腸癌症例の23%(9-37%)は発症を回避できたと推定された。

 結腸癌で同様に推定すると、ベースラインで対象者のスコアが1ポイント高ければ10%(1-18%)の大腸癌が回避でき、全員がスコア5であれば14%(3-25%)の罹患が避けられたと考えられた。

 直腸癌についてはそれぞれ9%(-2から19%)と13%(-2から27%)で、結果は有意にならなかった。

 良好な生活習慣は心血管疾患を予防すると考えられている。今回の結果は、広く知られている健康維持のための良好な生活習慣を実践すれば、大腸癌リスクも減らせることを示唆した。シンプルなライフスタイル指針は周知が容易で公衆衛生的な効果が期待しやすいと著者らは考えている。

 原題は「Association of adherence to lifestyle recommendations and risk of colorectal cancer: a prospective Danish cohort study」、全文は、BMJ誌のWebサイトで閲覧できる。
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大腸がんは食事と関係が深いんじゃないの?といわれる癌の一つです。北欧の国は気候柄、野菜や果物などの生鮮食料品が品薄です。が、デンマークは大陸続きの国なので、流通システムが整っています。北欧の中では比較的、生鮮食料品は豊富に売られています。

でもね、北欧は消費税が2割近く取られます。野菜や果物の値段は、日本人が見ると高っ!って感じでしょう。家庭菜園をやっても、トマトやきゅうりなど、ゴロゴロできそうにない環境です。

先日、デンマーク人の一般家庭の昼食をTVで観たら、、、小さな鳥を一羽、丸々ローストし、フライドポテトとクレソンを添えたお皿をドンと食卓へ出していました。家族みんなで食べるのかと思いきや、、、これで一人分ですた。
え?これだけ?? スープは?サラダは?そしてパンとかご飯はつかないの??と思ってしまいました。

日本人の私から見ると、汁もサラダもそして主食もつかない献立って、すごーく寂しい感じがしちゃいます。この映像に映った家庭は、「肉食」って言葉がピッタリな気がします(^^;)。
寒冷地に住む人は、体温を保つためにはたんぱく質を多めに摂取すると体が温まりやすいです。同様、アルコールも一時的には温まりますね。
一方、肉食の人とか動物とかは、大腸がんや腎臓疾患が多いという報告もあります。


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PARP阻害剤

2010年11月25日 | 病気・症状
トリプルネガティブ乳癌患者を対象に、新薬が開発中、フェーズ2試験まで来ました。

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【PARP阻害剤BSI-201はトリプルネガティブ乳癌の生存を有意に改善する、フェーズ2最終報告ESMO2010】

   第35回欧州臨床腫瘍学会 2010年10月8日~12日 Milan, Italy


 ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤BSI-201(iniparib)は、ゲムシタビン+カルボプラチンとの併用で、エストロゲン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PgR)陰性、HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ乳癌に対し、奏効率、臨床的ベネフィット率、無増悪生存期間、全生存期間を有意に改善することが、フェーズ2試験の最終報告で確認された。米国Baylor Sammons Cancer Centerの Joyce O’Shaughnessy氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 フェーズ2試験は、転移性トリプルネガティブ乳癌患者123人を対象に、ゲムシタビンとカルボプラチンのみを投与する群(G/C群)と、ゲムシタビンとカルボプラチンに加え、BSI-201を投与する群(BSI-201併用群)に無作為に割り付けた。21日置きに、ゲムシタビン1000mg /m2とカルボプラチンAUC=2を第1日と第8日に投与し、BSI-201群にはBSI-201を第1日と第4日、第8日、第11日に5.6mg/kgを投与した。

 ITT解析で奏効率はG/C群が32.3%、BSI-201併用群は52.5%(p=0.023)、臨床的ベネフィット率(CR+PR+6カ月以上のSD)は、G/C群は33.9%だが、BSI-201併用群では55.7%だった(p=0.015)。またITT解析で無増悪生存期間(PFS)中央値は、G/C群が3.6カ月(95%信頼区間2.6-5.2)、BSI-201併用群は5.9カ月(同4.5-7.2)で、ハザード比0.59(同0.39-0.90)、p値は0.012だった。

 ITT解析で全生存期間(OS)中央値は、G/C群が7.7カ月(同6.5-13.3)であるのに対し、BSI-201併用群では12.3カ月(同9.8-21.5)と、およそ5カ月もの延長が認められた。ハザード比0.57(同0.36-0.90)、p値は0.014だった。なおG/C群のうち30人(48%)はBSI-201併用にクロスオーバーし、BSI-201投与サイクルは中央値で1.5回(1~8回)だった。

 2群とも新たな副作用はなかった。主なグレード3/4の有害事象は、好中球減少、血小板減少、貧血、白血球減少、疲労、下痢、吐き気、嘔吐で、G/C群の発生頻度は81%、BSI-201併用群は86%、重篤な有害事象はそれぞれ29%、28%だった。またG/C群の27%、BSI-201併用群の14%は有害事象のため治療を中止した。

 BSI-201ではトリプルネガティブ乳癌を対象としたフェーズ3試験が2010年2月に開始されており、現在までに500人以上が登録している。またトリプルネガティブ乳癌を対象に、BSI-201の術前・術後補助療法の試験も計画されているという。このほか、肺扁平上皮癌を対象としたフェーズ3試験や卵巣癌、膵臓癌、脳腫瘍に対しても試験が行われている。
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ゲムシタビンとカルボプラチンのみを投与する群(G/C群)と、ゲムシタビンとカルボプラチンに加え、BSI-201を投与する群(BSI-201併用群)との奏効の差は2割増しぐらいでしょうか。

トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン依存性、HER2過剰発現の見られない型の総称です。大まかに3種類ぐらいに分けられるという人もいます。BSI-201が奏効しない型もあるんじゃないかしら。

W医師がおっしゃるには、PARP阻害剤BSI-201が世に出るのは来年ぐらいかなあとのこと。そうなればいいですね。


来年はよい年でありますように、<ここをクリックよろしくね~ >

なかのひと

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酒と脳卒中リスク

2010年11月23日 | 
若い頃からずっと低血圧だった私ですが、強制閉経により血圧がじわじわ上がってきました。親族には高血圧・脳卒中が多い家系なので、ちょっと心配です。

で、工事です。
今、我家の後ろが住宅の新築工事中なんです。

我ボロ家は、閑静な住宅密集地に埋もれています。その真後ろで、最近はやりの「地震に強い家」をもんのすごい勢いで建設しています。整地の時なんか、どでかいブルドーザーが我家のブロック塀をもう少しでこすりそうにして出入りしました。
こすりそうで、こすらない。あんな狭い道幅を、切り返しもそこそこにバックで入って行く。いや~、すごいわ。さすがプロですな。
でも。。。
あまりにデカイ機械で、くい打ちドッカンドッカンやっていたら、、、うちの塀に亀裂が入っちゃいますた(涙)。

その後も、大型クレーン車やらダンプカーやら、、、、毎日、勢いよくズドドドドッとやっていたら、塀の亀裂はついに地面まで達し、今ではいつ倒れるかわかりません(大涙)。
鉄筋のはめこみ型の家のようで、大工さんがやってきてトンカン…ではなく、クレーン車でガァァーーっとやりまくり。おかけで、早い時は朝6時50分ごろからガァァーッと始まります。で、終わりは遅い時で夜の9時半! 「きょうは日曜日なんだぜぃ」とブチ切れたら、やっと帰りますた。

日中は、大型機械の音と振動に悩まされています。障子がカタカタ鳴りっぱなし。十数時間、こんなウザイ環境で仕事をするのは、無理です。ふて寝したいんですが、、、騒音と振動でやっぱりダメだわ。

建設業界ってなんだか、「男の世界」ですね。大型車の運転手さんから建築士まで、みな「体育会系」。
覇気があっていいんですが、、、あの、その、、、乳幼児から高齢者や病人まで住んでいる「普通の住宅地」に、若いニーチャンが学園祭のノリで仕事されても。。。
私は朝7時ぐらいに起きて、まずは換気のために窓を開けたいですぅ(涙)。
ううう、このままじゃ住宅が建つ前に、我家も塀も振動で崩れそうです。。。

というわけで、ふて寝がダメなら酒です!
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【 “たしなむ程度の飲酒”なら脳卒中リスクを軽減する可能性、ただし女性の場合】

   米国心臓協会・学術集会2010年11月13日~17日 Chicago U.S.A.

 少量から中程度のアルコール摂取、いわゆる“たしなむ程度の飲酒”程度ならば、脳卒中リスクを軽減する可能性が示された。看護師健康調査(Nurses' Health Study)の一環として行われた女性におけるアルコール摂取量と脳卒中リスクに関する調査の結果、明らかになった。米Brigham & Women's病院のMonik Jimenez氏(写真)らが、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010)で発表した。

 少量から中程度のアルコール摂取は一貫して心疾患リスクを軽減することが報告されているが、脳卒中との関係については十分に解明されていない。一部の論文で、少量から中程度のアルコール摂取が脳卒中リスクを軽減し、また多量の摂取ではリスクが上昇することが示唆されていることから、演者らは女性におけるアルコール摂取量と脳卒中リスクに関する調査を実施した。

 対象は、心血管疾患または癌に罹患していない人で、看護師健康調査(Nurses' Health Study)に参加している8万4983人。登録時の年齢は44~69歳で、1980年から2006年まで追跡調査した。

 ベースライン時に、自己申告によるアルコール消費データを記録。登録後は、1984年、1986年とおよびそれ以降、4年ごとにアルコール消費データの更新を行った。並行して、脳卒中の確認と潜在交絡因子についての情報を、ベースライン時と以後2年ごとに収集した。米国脳卒中学会の基準に従って脳卒中のタイプを分類。また解析は、時間依存性Coxモデルを用い、追跡期間中の多変量補正後のアルコール摂取と脳卒中全体および脳卒中のタイプ別の関係について検討した。

 その結果、157万2194人・年の追跡期間中に、2257件の脳卒中の発生が確認された。タイプ別では、脳梗塞が1246件、脳出血が382件、その他不明が629件だった。

 多変量補正後の解析では、アルコール摂取量で層別化した場合、≧30g/日以外は、すべての層(>0~4.9g/日、5.0~14.9g/日、15.0~29.9g/日)で、脳卒中全体のリスクが軽減していた。消費量ゼロのグループに対する脳卒中発症のハザード比は、それぞれ0.82、0.80、0.87だった。また、最も高い摂取量(≧30g/日、ハザード比1.05)でもリスク上昇は観察されなかった。

 脳卒中のタイプ別で見ると、脳梗塞については全体と同様であった。一方、脳出血については有意なリスク軽減は15g/日以下で観察された。なお、ホルモン療法、高血圧薬あるいはアスピリンの服用による影響は観察されなかった。ただし、年齢が高い女性よりも若い女性において、少量の消費で大きなリスク軽減を認める傾向があり、年齢による影響が観察された。

 これらの結果から演者らは、「少量から中程度のアルコール消費は脳卒中全体のリスク軽減と関係があった」とし、加えて「比較的中程度のアルコール消費である今回の試験対象においては、アルコール摂取による脳卒中リスク上昇は観察されなかった」と結論した。
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>「少量から中程度のアルコール消費は脳卒中全体のリスク軽減と関係があった」

ふっふっふ、、、ここだけ抜き出すと素晴らしいですね。
この報告により、私の飲酒は肯定されますた(笑)。こんなストレスフルな生活、酒でも飲まなきゃやってられん!


あなたの脳卒中リスクは、飲酒で夜更かしすることより、早起きしてとっとと仕事することじゃないの?と思う人、<ここをクリックよろしくね~ >

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エリブリンの治験結果

2010年11月21日 | 病気・症状
新薬エリブリンの治験結果が出たようです。

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【エリブリンは治療歴のある進行乳癌患者のOSをホルモン受容体のタイプに関係なく延長ESMO2010】

    第35回欧州臨床腫瘍学会 2010年10月8日~12日 Milan, Italy

 前治療歴のある局所再発性・転移性乳癌の患者を対象としてエリブリンと治験医師選択療法を比較したEMBRACE試験のサブ解析の結果、エリブリンは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER-2という3種のホルモン受容体の発現のタイプにかかわらず、すべてのサブグループで患者の全生存期間(OS)を延長したことが明らかになった。10月8日から12日にかけてイタリア・ミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、英国University of LeedsのChris Twelves氏が発表した。

 この結果は、トリプルネガティブ乳癌患者を含む、既に濃厚な癌治療を受けた局所再発性・転移性乳癌の患者の多くに対して、エリブリンが治療選択肢となりうることを示すものだ。

 EMBRACE試験は、少なくとも2種類の癌化学療法(アントラサイクリン系抗癌剤、タキサン系抗癌剤を含む)による前治療歴のある局所再発性・転移性の乳癌患者762人を対象として、グローバルで実施された多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験。治験医師選択療法施行群には、他の単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、緩和療法(実際は適用されず)、放射線療法が含まれた。その結果、エリブリンは、治験医師選択療法に比べて、主要評価項目であるOSを統計学的に有意に延長することが示されている。

 今回のサブ解析は、試験前にあらかじめ定義したサブグループ別に、OSや副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)のハザード比を2群間で評価したもので、サブグループの内訳は、ホルモン受容体の発現のタイプ、転移臓器数、内臓転移の有無とした。カペシタビン既治療の有無などの層別化因子も評価に加えた。

 まず、ホルモン受容体のタイプ別にみたOSのハザード比は、ER/PR陽性が0.83(95%CI 0.64-1.06)、ER/PR陰性が0.66(0.45-0.99)、HER-2陽性が0.76(0.47-1.24)、HER-2陰性が0.81(0.64-1.02)、トリプルネガティブ(ER/PR/HER-2いずれも陰性)が0.71(0.46-1.10)であり、いずれもエリブリン群の方が治験医師選択療法群よりも優れていた。

 また、転移臓器2以下、臓器臓器3以上、内臓転移あり、内臓転移なし、カペシタビン既治療、カペシタビン治療なしの各サブグループでのOSのハザード比はそれぞれ、0.80(0.62-1.04)、0.81(0.57-1.17)、0.77(0.62-0.96)、1.04(0.56-1.91)、0.94(0.62-1.44)、0.77(0.61-0.97)であり、「内臓転移なし」を除くサブグループでエリブリン群の成績が優れていた。

 PFS、ORRについても、治験医師選択療法群の方が優れていたのはHER-2陽性例のPFSなど一部であり、他のほとんどのサブグループでは、全体的な成績に一致して、エリブリン群の成績が優れるとの結果だった。

 以上のサブグループ解析の結果と、試験の主成績、良好な忍容性プロファイルを総合して、Twelves氏は、エリブリンが治療歴のある多様な進行乳癌患者に対する有望な治療選択肢になるとの考えを示した。
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参考:エリブリン
【エーザイ】エリブリンが米国承認‐エーザイ初の自社創製抗癌剤
 
 エーザイは、大型化を目指す次期戦略品の抗癌剤「ハラヴェン」(一般名:エリブリンメシル酸塩)の米国承認を取得した。自社創製した抗癌剤の第一号製品で、26日から米子会社を通じて販売を開始する。今後は、転移性乳癌の二次治療や、非小細胞肺癌や肉腫などグローバルで適応拡大を進め、最大化を目指していく方針。

 ハラヴェンは、エーザイが創製・開発した非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤で、海洋生物「クロイソカイメン」から単離された天然物「ハリコンドリンB」の合成類縁化合物。細胞分裂装置の主体となる微小管の短縮には影響を与えずに、微小管の伸長を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮する。

 既にエーザイは、3月に日米欧で同時申請していたが、今回前治療歴のある転移性乳癌の適応で、米国承認を取得した。国際共同第III相試験「EMBRACE」では、エリブリン群は治験医師選択療法群に比べ、癌化学療法の前治療歴がある局所再発性・転移性乳癌患者の全生存期間を、2・5カ月延長させる結果が得られている。

 エーザイの内藤晴夫社長は、16日に都内で開いた記者会見で、ハラヴェンについて、「発売初年度から収益に貢献できる」と強調。さらに今後、前治療歴の少ない転移性乳癌や、それ以外の新たな癌腫の適応追加を目指す考えを示し、「グローバル売上高10億ドルを達成するための要件を満たせる」と述べ、ハラヴェンの最大化に自信を示した。
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>エリブリンは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER-2という3種のホルモン受容体の発現のタイプにかかわらず、すべてのサブグループで患者の全生存期間(OS)を延長したことが明らかになった。

試験成績が良好だと、今後、本格的に治療現場へ投入となりましょうか。となると、気になるのは副作用ですね。

>細胞分裂装置の主体となる微小管の短縮には影響を与えずに、微小管の伸長を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮する。

ここだけ読むと、分裂の盛んな細胞を全て破壊する殺細胞性の従来の抗がん剤より、幾分、穏やかな効き目の殺細胞性の抗がん剤に見えます。


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なかのひと

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新薬となるかな?ネラチニブ

2010年11月18日 | 病気・症状
分子標的治療薬の開発が進んでいるといわれますが、HER2阻害剤に1つ、期待ができそうな報告を見つけました。

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【日本人の進行性乳癌患者にneratinibとパクリタキセル併用は安全で、抗腫瘍効果も認められるESMO2010】

   第35回欧州臨床腫瘍学会 2010年10月8日~12日 Milan, Italy


 不可逆的Pan-ErbB受容体チロシンキナーゼ阻害剤neratinib(HKI-272)とパクリタキセルの併用は、乳癌を含む進行性固形癌において、安全に投与でき、乳癌患者では抗腫瘍効果も認められることが、日本で行われたフェーズ1試験で明らかになった。癌研有明病院化学療法科の伊藤良則氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催されている第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 NeratinibはErbB1(EGFR)とErbB2(HER2)、ErbB4を不可逆的に阻害する製剤。海外のフェーズ2試験ではErbB2陽性の進行性乳癌で抗腫瘍効果と忍容性が報告されている。また推奨用量はneratinib 240mgとされ、ErbB2陽性の転移性乳癌を対象に、パクリタキセル80mg/m2の毎週投与と併用するフェーズ1/2試験が進行している。

 日本のフェーズ1試験では、登録患者10人のうち、9人は乳癌、1人は傍神経節腫(paraganglioma)だった。3人はneratinibを160mg、7人には240mgが投与された。パクリタキセルは28日置きに、80mg/m2を第1日、8日、15日に投与された。

 治療関連の有害事象は、下痢が全員に認められ、グレード1がneratinib 160mg群で2人、240mg群で2人、グレード2は240mg群で2人、グレード3が160mg群で1人、240mg群で3人だった。下痢の発生は治療開始から中央値で2.5日(1日から28日)、発生期間の中央値は2日(1日から49日)。

 また白血球減少が10人、脱毛と貧血、疲労、好中球減少、末梢感覚神経障害が各8人に認められた。グレード3以上は、下痢が4人、好中球減少が3人、貧血と白血球減少、リンパ球減少、疲労、爪障害が各1人だった。用量制限毒性(DLT)は見られず、有害事象による治療中止もなかった。このため推奨用量はneratinib 240mgとパクリタキセル80mg/m2と決定された。

 抗腫瘍効果は、部分奏効が4人(すべて乳癌)、病勢安定が3人で、奏効率は40%だった。また薬物動態(PK)プロファイルも海外の併用療法および単剤療法のデータと一致していた。
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日本人登録患者が10人と、かなりミニサイズの臨床試験です。10人全員が副作用に下痢ですか。パクリタキセルと併用療法なので、好中球減少や末梢感覚神経障害は必発のようです。
下痢は外出する気力を萎えさせるので、困りますよね。通院するのもちょっと…になってしまうし。治療しながらの仕事はむずかしいのかなあ。

この日本人対象の報告でも、海外のデータでも、抗腫瘍効果は一致、奏効率は約4割とのこと。人種差はこれまでのところ、問題にならないのかな。
とりあえず、薬の種類が増える分にはマシなので、フェーズ2の報告を待ちましょう。


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高血圧の人の食事

2010年11月16日 | 病気・症状
甘いものをガッツリ食べたくなる季節になりました。
この時期、なんといっても栗むし羊羹ですよね! ケーキより餡子!!

閉経して4年、血圧も血中コレステロール値も急に上がってきました。無類の甘党には過酷な季節です。猛暑で食欲ダウンの夏の方が、血液検査だけを考えるとマシな気がします。。。

学校で昔、油分を多く摂るより糖分を取った方が肥満防止にはよい、と習いました。脂質は皮下脂肪として蓄えられやすく、糖質はエネルギー源として放出されやすい。だから同じカロリーなら、天ぷらを食べるより大福餅を食べた方が太りにくいと。

んじゃ、血圧はどうなのか?に対する報告が出たようです。
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【過体重の血圧高値例で食事の一部を糖質から蛋白質に変えると血圧が低下】


 総エネルギー摂取量を変えなくても栄養組成を変えることで、血圧が低下する可能性が報告されている。オランダTI Food and NutritionのM.A.van Baak氏らは、食事中の蛋白質摂取量を増やすことで診察室および自由行動下血圧が低下するかどうかを検討し、その結果を9月26日からバンクーバーで開催された第23回国際高血圧学会(ISH2010)で報告した。

 本研究は4週間の二重盲検無作為化並行群間試験として実施された。対象は2週間のrun-in期間の最終観察時に、過体重(BMI 25~30kg/m2)かつ血圧軽度上昇(130~160/85~100mmHg)が認められた症例。高蛋白質食あるいは高糖質食を用いて介入を行い、4週間の追跡期間中1週間おきに診察室血圧、体重の推移、自由行動下昼間血圧を評価した。

 対象者には、run-in期間は体重を維持しながら標準食を摂取するよう指導した。標準食のカロリー構成は蛋白質15%、脂質30%、糖質55%とした。試験開始時に、食事の内容は変えずに、標準食メニューに含まれている甘味飲料として摂取していた糖質60gを、高蛋白質食では蛋白質60gを含むサプリメント飲料に、高糖質食ではマルトデキストリン60gを含むサプリメント飲料に置き換えた。蛋白質サプリメント飲料の組成は動物性蛋白質(卵白、牛乳)が60%、植物性蛋白質(大豆、エンドウ豆)が40%で、こうした蛋白質のパウダーを溶かした飲料とした。なお、両群でNa、K、Ca、リンなどの摂取量は等しくなるように調整した。

 試験対象となった94例のうち、高蛋白質食群には43例(男性29例、女性14例)、高糖質食群には51例(男性35例、女性16例)が割り付けられた。年齢はそれぞれ55.0歳、55.3歳、BMIはそれぞれ28.8 kg/m2、27. 9kg/m2、収縮期血圧は142.6および143.3mmHg、拡張期血圧は92.2および92.9mmHgで、群間の背景因子に有意差は認められなかった。

 標準食から高蛋白質食あるいは高糖質食への変更により、両群で2週後までに診察室血圧は低下したが、その後、高蛋白質食群では血圧は低値に維持されたのに対して、高糖質食群ではベースライン値への回帰傾向を示した。ベースライン値補正後の4週後における群間の血圧差は収縮期血圧が4.9mmHg、拡張期血圧が2.7mmHgとなり、高蛋白質食群で有意に良好であった。高蛋白質食群の4週後の診察室収縮期血圧は約137mmHg、診察室拡張期血圧は約88mmHgだった。

 また、4週後の自由行動下昼間血圧を測定したところ、高蛋白質食群と高糖質食群の平均血圧差は収縮期血圧4.1mmHg、拡張期血圧1.7mmHgとなり、有意差は認められなかったものの、高蛋白質食群で低い傾向を示した。なお、4週間の試験期間中に体重には有意な変動は認められず、2群間でも差は見られなかった。

 以上の検討からはvan Baak氏は、未治療高血圧の過体重例では、食事中の糖質を、卵白や牛乳、大豆やエンドウ豆などの蛋白質に置き換えることで、血圧降下作用が得られると結論した。
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血圧のコントロールの必要性の度合にもよりますが、高血圧は心臓に負担をかけます。用心しなくちゃいけません。血圧コントロールの必要な人は、第一に降圧剤でコントロール。でも、なんとなく値が落ちない人とか、薬の量を減らせないかと思っている人には、こういった食事療法は大切です。

オレンジジュースを牛乳や豆乳へ、卵クッキーをメレンゲクッキーへ変更するのは、、、食嗜好の点で変更可能でしょうか?
甘いものが大好きな私は、大福餅を納豆に変更させられたら怒ります。


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転移性乳癌のXP併用療法

2010年11月14日 | 病気・症状
新薬の開発は大切ですが、認可までに時間がかかります。既存の薬剤の効果的な服用法を開発することも大切ですよね。

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【転移性乳癌に対する4週サイクルXP併用療法は3週サイクル法と同等の効果、手足症候群は少ないASCO BREAST 2010】

 転移性乳癌患者に対するファーストラインまたはセカンドラインとして、4週間を1サイクルとしてカペシタビン(X)とパクリタキセル(P)を併用投与する方法は、ホルモン受容体の状態、治療のライン、年齢に関わらず有効であることが明らかとなった。有効性は他のXP投与方法と同等で、副作用は手足症候群が4週間1サイクル法の方が少ない傾向があった。また、手術から初再発までの期間(Disease Free Interval;DFI)が2年以上の患者の方が、2年未満の患者よりも有意に無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が長かった。KBCSG(近畿乳癌研究グループ) が行ったフェーズ2試験の結果明らかとなった。

 成果は10月1日から3日に米国National Harborで開催された2010Breast Cancer Symposium(ASCO Breast)で独立行政法人国立病院機構大阪医療センターの増田慎三氏が発表した。

 カペシタビンを4週間を1サイクルとして投与する方法は、日本で普及しているパクリタキセル毎週投与法(4週を1サイクルとして1日目、8日目、15日目に投与)とスケジュールが一致するため、管理がしやすく、さらにベバシズマブ(2週ごとに投与)との併用療法を考えると投与サイクルが一致するという利点がある。

 フェーズ2試験では、43人の転移性乳癌患者を対象に4週間サイクルでカペシタビンは1日目から21日目まで1日2回825mg/m2投与され、パクリタキセルは1日目、8日目、15日目に80mg/m2が投与された。患者の年齢中央値は57歳(35-73)でDFI中央値は2.9年(2.2-5.4)、転移巣は肝臓が21人、肺が6人、リンパ節が10人などだった。33人がホルモン受容体陽性だった。

 試験の結果、完全奏効(CR)が1人、部分奏効(PR)が19人、6カ月以上の安定状態(SD)が5人で、奏効率は46.5%(95%信頼区間 31.6-61.4)、臨床利益率が58.1%(同43.3-71.6)だった。PFS中央値は8.4カ月(同7.2-11.2)で、全生存期間中央値は23.2カ月(同17.0-37.2)となり、過去に報告されている3週間を1サイクルとするXP療法と同等の効果が確認された。また、PFS、OSはDFIの差だけが有意に差が見られたが、ホルモン受容体の状態などでは有意な差は見られなかった。DFIが2年以上の患者ではPFS中央値が10.0カ月、OS中央値が37.2カ月だったのに対して、DFIが2年未満の患者ではPFS中央値が2.4カ月、OS中央値が9.9カ月だった。

 グレード3以上の副作用は、白血球減少症が11%、好中球減少症が27%、手足症候群が9%、倦怠感が6%に認められた。手足症候群は既報の3週間サイクルXP療法に比べて少ない傾向があったが、他の副作用は同等だった。
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> 転移性乳癌患者に対するファーストラインまたはセカンドラインとして、4週間を1サイクルとしてカペシタビン(X)とパクリタキセル(P)を併用投与する方法は、ホルモン受容体の状態、治療のライン、年齢に関わらず有効であることが明らかとなった。

簡便になることは、大いに簡便化を図っていただきたいですよね。

副作用の「手足症候群」、これに悩まされる患者は多いでしょう。手足が痺れて転倒するような大きなことでなくとも、手足を動かすのに少しの違和感があってもいやなものです。自由に動けなくなるのは、非常に大きなストレスです。長らく体験していると、「何のために生きているんだろう???」フィーリングが、胸の奥底から湧き上がってきてしまいます。

私はパクリタキセルの、少しの吐き気に悩まされました。だって、乳がんになるまでは、空腹になると胃がスッキリ、空っぽになったなと実感できました。でも、パクリタクセルで治療中は、いっつも胸がむかむか。オイリーテイストの料理をニュッと出されると、反射的にうぇぇ~~~っでした。でも作り手の手前、顔に出せないし(^^;)。気持ち悪い時に食べ物を口に入れるのは拷問です。

そうそう、軽めの吐き気対策には、散歩をオススメします。家に引きこもっていても、吐き気を気にするだけなので、汗をかくぐらいの早足歩きがいいです。もちろん、目まいや体の痺れもありますので、自己調整して行います。睡眠も深くなりますよ。

私は高速散歩で随分、副作用を忘れることができたのですが、、、調子こいて散歩し過ぎ、過労でダウンしたことがあります。真夏の炎天下、1時間も散歩しちゃだめです。病気になるまでは何でもなかったことでも、患者の身となったら用心したほうが無難です。


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癌ワクチン

2010年11月11日 | 病気・症状
話題の癌ワクチン、乳がんでも研究が進められているようです。

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【HER2部分ペプチドワクチンがHER2陽性乳癌の再発を抑制する可能性 ASCO BREAST 2010】

HLA-A2/A3拘束性のHER2/neu部分ペプチドからなるE75ワクチンと顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)との併用が、特定のグループのHER2発現乳癌の術後再発を抑制できる可能性が明らかとなった。フェーズ1/2試験の結果示されたもの。成果は10月1日から3日に米国National Harborで開催された2010Breast Cancer Symposium(ASCO Breast)で米Brooke Army Medical CenterのG.T.Clifton氏によって発表された。

 E75ワクチンは毎月1回、6カ月にわたって皮内に投与された。フェーズ1試験で用量増多試験を行い、至適用量を1mgと決定した。フェーズ1の患者はそのままフェーズ2試験に移行し、その一部の患者には6回の投与が終了した後に追加免疫を行った。そしてワクチン投与完了後、24カ月間フォローアップした。

 臨床試験は免疫組織染色でHER2蛋白質の発現(+1、+2、+3)が認められたリンパ節陽性、またはハイリスクリンパ節陰性の乳癌患者を対象とした。また、患者は免疫能があり標準的な手術、化学療法、放射線療法を受け、臨床的に乳癌がないと判定された患者だった。

 対象となった187人の患者のうち、HLA-A2/A3陽性の患者をワクチン投与群(108人)、HLA-A2/A3陰性の患者を対照群(79人)とした。ワクチン投与群のうちリンパ節陽性は53人、リンパ節陰性は55人だった。対照群のうちリンパ節陽性は44人、陰性は35人だった。

 主要評価項目は、24カ月時点での無病生存率(DFS)とした。評価可能だったワクチン群106人のDFSは0.943、対照群76人のDFSは0.868、p=0.08で、ワクチン群で高い傾向が認められた。ワクチン群のリンパ節陽性患者51人のDFSは0.902、対照群43人は0.791、p=0.13で、ワクチン群が高い傾向が見られた。
HER2発現が+1と+2の患者で比較すると、ワクチン群34人のDFSは0.940、対照群50人のDFSは0.794、p=0.04で、この場合もワクチン群で高い傾向があった。至適投与量が投与できたワクチン群37人のDFSは0.973、対照群76人のDFSは0.868、p=0.08で、ワクチン群に高い傾向があった。さらに早期再発を除いた追加免疫を行ったワクチン群45人のDFSは1.000、対照群71人のDFSは0.943、p=0.10で、ワクチン群に高い傾向があった。

 この結果を受けて、フェーズ3試験は、HER2発現が低くリンパ節陽性の患者に、至適投与量で追加免疫も行う形で行われている。
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なんだか、、、ワクチン投与結果がクッキリ鮮明に違いが出たのならよいのですが、、、個人的にはなんだかなあです。キッチリ差異が出ないのが、こういった研究の難しいところなのかもしれません。それだけ、癌発現のメカニズムは多種多様だということにもなるかと思います。

ということは、薬剤も多種併用がより効果的なのかもしれないし、治療法自体も複数並行して行う方が効果は上がるかもしれませんね。でも、そういった組み合わせは沢山になってしまいます。。。


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HER2陽性転移性乳癌の新たなファーストライン治療薬

2010年11月09日 | 病気・症状
2005年のASCOでは、トラスツズマブ(ハーセプチン)とタキサン系薬剤との併用療法の奏効率の高さが大きな話題になりました。

で、、、同程度の奏効率の新たな併用療法が出るとなると…!

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【HER-2陽性転移性乳癌のファーストライン治療としてT-DM1が有効で安全な可能性ESMO2010】

   第35回欧州臨床腫瘍学会 2010年10月8日~12日 Milan, Italy

 抗HER-2モノクローナル抗体のトラスツズマブと微小管重合体阻害剤誘導体のDM1を結合させた抗体-薬剤複合体のトラスツズマブDM1(T-DM1)は、HER-2陽性の転移性乳癌患者に対するファーストライン治療として、トラスツズマブとドセタキセルの併用療法と同等の有効性を示し、安全性プロファイルは優れていることが、フェーズ2試験(TDM4450g)の中間解析から明らかになった。10月8日から12日にかけてイタリア・ミラノで記載された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、米Mayo ClinicのEdith.A. Perez氏が発表した。

 T-DM1の単群のフェーズ2試験では、HER-2陽性の転移性乳癌で治療歴のある患者に有効性を示し、安全性プロファイルも良好であることが示されている。

 Perez氏らは、HER-2陽性の転移性乳癌で転移に対する化学療法の治療歴がない患者を対象として、トラスツズマブとドセタキセルの併用療法とT-DM1単剤の有効性と安全性を比較する無作為化非盲検のフェーズ2試験を行った。今回は、登録完了から4カ月の時点における中間解析の結果が報告された。

 患者登録は2008年9月~2009年12月に行われ、今回の解析では2010年4月2日までに得られたデータを対象とした。有効性と安全性についてはクロスオーバー以前のデータを対象としている。

 対象は、トラスツズマブとドセタキセルの併用群70人(年齢中央値52.0歳)、T-DM1群67人(同55.0歳)。トラスツズマブの治療歴があるのは併用群25.7%、T-DM1群19.4%だった。トラスツズマブとタキサン系薬剤の両方またはいずれかの治療歴があるのは併用群44.3%、T-DM1群35.8%だった。

 併用群では、トラスツズマブは1サイクル目に8mg/kg、2サイクル目以降に6mg/kgを3週毎に投与し、ドセタキセルは75または100mg/kgを各サイクルの1日目に投与した。T-DM1群では、T-DM1 3.6mg/kgを3週毎に投与した。投与は病勢進行(PD)または受容不能な毒性が発現するまで継続し、PDとなった後、併用群からT-DM群へのクロスオーバーを許可した。

 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)と安全性、副次的評価項目は客観的奏効率(ORR)、完全奏効(CR)と部分奏効(PR)と6カ月以上の安定(SD)を合わせた臨床的有効率(CBR)、全生存期間(OS)などとした。

 登録完了から4カ月の時点でのフォローアップ期間の中央値は、併用群6.1カ月T-DM1群 5.9カ月となった。治療継続中の患者は併用群58.6%、T-DM1群65.7%だった。

 ORRは併用群41.4%、T-DM1群47.8%だった。CRとPRの割合は、併用群では1.4%と40.0%、T-DM1群では4.5%と43.3%となった。CBRは、併用群57.1%、T-DM1群55.2%だった。

 本試験で1回以上治療を受けた患者は併用群68人、T-DM1群67人で、投与量の減量が必要となったのは併用群23.5%、T-DM1群19.4%だった。

 グレード3以上の有害事象は、併用群75.0%、T-DM1群37.3%に発現した。死亡や生命を脅かす重篤な有害事象の発現は、併用群22.1%、T-DM1群19.4%であった。

 T-DM1群で多かった全グレードの有害事象は、嘔気47.8%、疲労感46.3%、発熱35.8%で、併用群でのこれらの発現は、39.7%、46.2%、20.6%だった。一方、併用群で多かった全グレードの有害事象は、脱毛66.2%、好中球減少57.4%、下痢45.6%で、T-DM1群でのこれらの発現は、1.5%、7.5%、10.4%だった。

 併用群で10%以上に発現したグレード3以上の好中球減少や白血球減少は、T-DM1群では発現しなかった。グレード3の血小板減少、ASTおよびALTの上昇は、併用群と比べてT-DM1群で多く発現したが、いずれも10%未満であった。

 心毒性についても、T-DM1群は併用群と比べてリスクの上昇はみられなかった。また今回の対象において、T-DM1に関する新たな有害事象の徴候について報告はなかった。

 PFSの最終解析や1年の時点のOSなどについては、2011年に発表される予定だ。
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フェーズ2だそうですが、、、微小管重合体阻害剤誘導体のDM1を結合させた抗体-薬剤複合体のトラスツズマブDM1の副作用を見ても、大きくQOLを落とすようなものはないようにも見えます。

2005年の時のように、大きな驚きとなるのでしょうか。
フェーズ3の結果がどうなるのか、興味津津です。


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癌患者の在宅看取り率

2010年11月07日 | 生活
以前、妻の介護をするために市長を辞職した男性の話が、マスコミで話題に上がりました。その記事を読み、私はふと、舅姑、父母、そして夫、はては夫の兄弟に至るまで、婚家を守るために彼らの介護を行った多くの女性たちを思いました。

男性だと、たった一人を介護してもニュースになる。
何千何万人という女性たちが、介護してもニュースにならない。

彼女らの悔しい叫びが、地の底から聞こえてくるような気がしました。

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【終末期癌患者の在宅看取り率に影響するのは主介護者の性別・年齢・世帯人数】

第15回日本緩和医療学会 2010年6月18日~19日 東京

 終末期癌患者の在宅看取り率は、年齢が若い女性が主介護者の場合や世帯人数が多い家庭で高く、在宅移行はこうした家庭状況を正確に把握した上で検討する必要があることが、在宅医療クリニックの検討から示された。6月18日、19日と東京都で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で、すぎもと在宅医療クリニックの杉本由佳氏が発表した。

 癌患者の在宅移行が推進されているが、患者が自宅で最後を迎えることを希望しても、家族が24時間介護にあたる在宅への移行は容易なことではない。

 すぎもと在宅医療クリニックは医師1人の在宅に特化したクリニックで、全患者の70%が終末期癌患者である。杉本氏は、終末期癌患者の在宅看取り率が、主介護者・主介護者と患者の性別・世帯人数などにより影響を受けているかについて、同クリニックの患者データベースから調査した。

 対象期間は2002年1月から2009年12月までの8年間で、対象となった死亡癌患者は206人(男性92人、女性114人)だった。

 死亡癌患者を含む悪性疾患患者(245人)の内訳で最も多かったのは胃癌(18%)で、大腸癌(16%)、肺癌(15%)、乳癌(8%)が続いた。在宅医療処置・管理の内訳では疼痛管理が最も多く(66%)、在宅中心静脈栄養(53%)、在宅酸素(38%)、褥創管理(22%)、ストーマや瘻孔の管理(20%)がこれに続いた。

 死亡癌患者206人中、在宅死は159人(77%)、病院死は47人(23%)だった。在宅死した患者の割合を性別でみると男性では92人中72人(78%)、女性では114人中87人(76%)となった。

 患者が男性の場合、主介護者の大半は妻(71%)で、娘(16%)、嫁(5%)の順に多かった。一方、患者が女性の場合、主介護者は娘(44%)、夫(27%)、息子(10%)の順であった。

 主介護者の比率は、娘と妻(各46%)、夫(21%)、嫁(11%)の順であったが、在宅看取り率は嫁が93%で最も高く、次いで娘(83%)、姉妹と親(各80%)、妻(74%)であった。年齢の若い女性が主介護者の家庭で在宅看取り率が高い傾向がみられた。

 対象の世帯人数は2人が84%で最も多く、次いで3人が60%であった。在宅看取り率は世帯人数が多いほど高い結果となり、6人以上では100%、独居では67%であった。

 在宅医療では患者の介護に加えて家事も必要となるため、介護と家事を同時にこなせる主介護者、または主介護者をサポートできる家庭が必要であることが示される結果となった。杉本氏は「在宅移行を行う際には家庭状況を確認し、介護力不足の場合には在宅移行中止も検討すべき。核家族化が進行する中、適切な退院コーディネートの必要性が今後高まると考えられる」としている。
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介護も家事も大変苦手な私です、えへ。

>在宅医療処置・管理の内訳では疼痛管理が最も多く(66%)、在宅中心静脈栄養(53%)、在宅酸素(38%)、褥創管理(22%)、ストーマや瘻孔の管理(20%)

疼痛管理は難しいですよね。私は、患者の痛がる声を聞くのは、もう懲り懲りです。

>主介護者の比率は、娘と妻(各46%)、夫(21%)、嫁(11%)の順であったが、在宅看取り率は嫁が93%で最も高く、次いで娘(83%)、姉妹と親(各80%)、妻(74%)であった。年齢の若い女性が主介護者の家庭で在宅看取り率が高い傾向がみられた。

ふ~ん、介護者は女性ばっかなんだ。
年齢の若い女性に、長らく介護生活を負担させるのは、、、その人の人間形成についてどうなんでしょう。年齢の若い男性とは異なる結果になるのでしょうか。肉食女子と草食男子、、、草食男子のほうが適しているような気もするのですが(笑)。だって、介護の仕事って、肉体労働が多いですから。

夫婦喧嘩なんかで、夫が「誰が飯を食わせてやってると思っているんだっ」と叫んだとして、妻が「誰が介護してやると思ってるんだっ」って、叫び返したくなりそうな報告ですね。

唯一の希望の光は、癌の介護は短期決戦。割と最後まで普通の生活ができるのは、ひょっとしたら他の病気で亡くなるよりいいのかもしれません。だからこそ、家族が団結し、何とか良い看取りを行えるような、そんな気持ちにさせる病気でもあります。

…、とはいえ、我家の場合、多重癌で十数年間、この病気とお付き合いすることになりました。家族も精神的にボロボロです。ま、こんな例もあります。。。


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ハーセプチンの併用療法

2010年11月04日 | 病気・症状
日本でハーセプチンが、単剤でアジュバント治療に使えるようになり、1年半を過ぎました。ハーセプチンと他の薬剤との併用についても、色々な組み合わせが出てきそうです。

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【HER-2陽性転移性乳癌患者にトラスツズマブとS-1の併用は安全で有効な可能性】
   第35回欧州臨床腫瘍学会 2010年10月8日~12日 Milan, Italy

HER-2陽性の転移性乳癌患者において、トラスツズマブとS-1の併用療法は安全に施行可能で有効性についても有望であることが、フェーズ1試験の結果から示された。10月8日から12日にかけてイタリア・ミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、大阪市立大学大学院医学研究科腫瘍外科学の高島勉氏が発表した。

 転移性乳癌患者の約20%はHER-2を過剰発現する。このような患者の予後は、トラスツズマブと化学療法の併用により改善がみられている。しかし、トラスツズマブとカペシタビンの併用療法の有効性は報告されているものの、それ以外のフッ化ピリミジン系抗腫瘍薬とトラスツズマブの併用療法に関する試験は行われていなかった。

 高島氏らは、HER-2陽性の転移性乳癌患者を対象として、フェーズ1試験でS-1とトラスツズマブの併用療法の安全性と有効性を評価し、フェーズ2試験に向けての推奨用量(RD)を決定することとした。主要評価項目は、RDの決定と安全性の評価、副次的評価項目は奏効率(RR)と病勢コントロール率(DCR)とした。

 トラスツズマブは毎週投与し、初回投与は4mg/kg、2回以降の投与は2mg/kgの用量とした。S-1は3段階の用量を設定し、レベル1は80mg/m2、レベル-1は65 mg/m2、レベル-2は50mg/m2とした。S-1は全ての用量で4週投与、2週休薬することとした。このサイクルを6週毎に繰り返し、病勢進行または忍容不能な毒性の発現まで継続した。
 
 レベル1の用量で投与を行い、3人ごとに用量制限毒性(DLT)を観察し、1サイクル目に発現しなければ患者を追加し、最終的に12人で評価した。患者は全員女性で、年齢中央値は66歳だった。

 このコホートでDLTは出現しなかった。グレード3の有害事象として、白血球減少、好中球減少、めまいが各1人に発現したのみであった。したがってこの併用療法のRDは、トラスツズマブの初回投与は4mg/kg、2回以降の投与は2mg/kg、S-1は80mg/m2と決定した。

 RECIST基準による完全奏効(CR)は8.3%、部分奏効(PR)は25%で、全奏効率は33.3%となった。DCRは83.3%で、臨床的な有効性についてもこの併用療法が有望なことが示唆された。

 転移性乳癌患者の治療ではQOLを維持することも重要であり、投与が簡便で、毒性の発現が軽度であるS-1をトラスツズマブと併用してアップフロントで使用することにより、患者に快適な期間を長く提供することができると考えられる。高島氏らは、この試験で決定した用量によるフェーズ2試験を開始している。
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他の薬剤との併用療法のメリットは、奏効性が高まることだと思うんですけど、、、この試験によると、完全奏効(CR)は8.3%、部分奏効(PR)は25%で、全奏効率は33.3%。

んっ? ハーセプチン単独の奏効率って、3割でしたよね??
病状コントロール率が8割以上という点で、有効ということでしょうか? 



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3剤併用

2010年11月02日 | 病気・症状
抗がん剤3種の組み合わせも、今後はいろいろと出てくるのでしょうか。

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HER2陽性転移性乳癌にトラスツズマブ、ベバシズマブ、ドセタキセルの3剤併用が有効な可能性【ASCO BREAST 2010】

 HER2陽性の転移性乳癌患者のファーストラインとして、トラスツズマブ、ベバシズマブ、ドセタキセルの併用が有効である可能性が明らかとなった。フェーズ2試験の予備的な解析の結果示されたもの。成果は10月1日から3日に米国National Harborで開催された2010Breast Cancer Symposium(ASCO Breast)で米Ohio State UniversityのB. Ramaswamy氏によって発表された。

 フェーズ2試験は、未治療のHER2陽性の転移性乳癌患者を対象に3週おきにドセタキセル75mg/m2(最初の4人の患者は100mg/m2で開始したが、2人の患者がグレード3の倦怠感、1人がグレード5の発熱性好中球減少症を起こしたため75mg/m2に変更)、トラスツズマブ6mg/kg、ベバシズマブ15mg/kg投与することで行われた。ドセタキセルは6サイクル終了時点で医師の裁量で中止することができた。

 患者の登録は2007年10月1日から開始され、現在までに18人の患者が登録され、16人で効果の評価が可能だった。18人の年齢中央値は52歳(38-71)。ホルモン受容体陽性患者が8人だった。

 完了サイクル数の中央値は5で、3剤併用の完了サイクル数中央値も5だった。

 抗腫瘍効果は、部分奏効(PR)が8人、安定状態が6人で、奏効率は44.4%となった。無増悪生存期間(PFS)中央値は55.9週(95%信頼区間 27.3-NA)だった。

 一方、副作用は多くのものがグレード1/2で、倦怠感、末梢神経障害、下痢、粘膜炎などが多かった。グレード3以上の副作用ではグレード3の倦怠感が4件と最も多かった。心毒性が注目されたが、無症候性の左室駆出分画率低下が1人で認められただけだった。
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16人での評価は、ちょっと少ないような気もしますが、、、4割強の奏効率は、おおよそ奏効する人がいると見ていいのでしょうか。
無増悪生存期間(PFS)中央値が55.9週、、、約1年かぁ。。。


1年この薬で粘っていれば、ひょっとしたら次の新薬もでるかもしれないじゃん、粘ろうよと思う人、<ここをクリックよろしくね~ >

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