乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

癌ワクチン報道の波紋

2010年12月23日 | 社会
このブログで以前、紹介した事件の続報を見つけました。
当事者である患者と医療関係者、そして状況を伝える役目を担うマスコミと、、、報道についての反発が、その道の専門家である医師サイドから上がっているようです。

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【朝日・癌ワクチン報道の波紋】 日経メディカル2010年12月号「ニュース追跡」(転載)
   報道姿勢に医科研や関連学会が猛反発
 
東大医科学研究所の癌ワクチンの臨床研究で有害事象を他病院に伝えていなかったと朝日新聞が報じ、医療界が反発。臨床研究の基準について問題提起したはずが、報道姿勢が問われることになった。
 10月15日、朝日新聞が東大医科研附属病院で行われた癌ペプチドワクチンの臨床研究について、重篤な有害事象の情報を同種のペプチドを提供するほかの施設に知らせていなかったと一面で報じた。

 同紙によれば、医科研教授の中村祐輔氏が開発したワクチンの臨床研究で、膵癌の被験者が消化管出血を起こした。同病院はその後、被験者の選択基準などを変更し、しばらくして臨床研究を中止。同種のペプチドを使う臨床研究は複数の病院で行われていたが、どこにも消化管出血の事象が伝えられておらず、被験者にも知らされなかった。

 その上で同紙は、治験と臨床研究の基準が別々になっている問題を指摘。企業主導などで実施される治験が薬事法(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)に基づいているのに対し、臨床研究には指針しかないため、安全性情報が参加施設などで共有されないことなどが懸念されるとした。

 医科研は、その日のうちに会見を開き反論した。指摘された臨床研究は標準治療に不応の膵癌患者を対象に2008 年4月から同病院で実施され、血管内皮細胞増殖因子受容体1(VEGFR1)由来のワクチンと抗癌剤を併用した臨床研究だと説明。その臨床研究は同病院が単独で実施したもので他病院への報告義務がないこと、同ワクチンと消化管出血との因果関係は明確にされていない上、そもそも消化管出血は消化器癌患者に高頻度で起きる事象であること、さらに中村氏は同ワクチンを提供していたものの、直接の開発者や臨床研究の責任者ではなく、臨床研究について判断を行う立場になかったことなど、多くの点で記事が事実と異なると反論した。

 また以前、医科研がかかわった別の癌ペプチドワクチンの臨床研究で消化管出血が起き、複数の病院に注意喚起がなされていたことも分かった。

 こうした動きに日本癌学会、日本消化器病学会など関連学会も相次いで抗議声明を発表。報道には事実誤認があり、癌患者に無用な不安を与えるだけでなく、ワクチンの開発を停滞させる恐れもあるとして、同紙に記事の訂正を求めた。

 これに対し同紙は11月10日、改めて治験と臨床研究の二重基準が問題だとする記事を掲載。同26日には医科研の質問状に対する回答書を公表し、全面的に争う姿勢を見せ、事態は泥沼化の様相を呈してきた。

二重基準の解消にも課題

 同紙が指摘した二重基準の問題については、単に治験の基準に合わせれば済むかというとそうでもない。確かに、国内の臨床研究は医薬品医療機器総合機構への届け出が必要ないなど、治験とは異なる基準で実施されている。ただし、「米国などに比べて研究費が限られている国内において治験の基準で臨床研究をしようとすると研究費が足りず、大部分が実施できなくなることが予想される」と医科研病院先端診療部内科教授の山下直秀氏は話す。さらに、国内の治験の基準は海外よりも過度に厳しいという指摘もある。基準を統一するにしても、どのレベルに基準を設定すべきかについては議論が必要になりそうだ。
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イレッサが肺がんの新薬として世の中に出た時、どんなタイプの人に奏効しやすいのか、今ほどわかっていませんでした。
インフルエンザや麻疹など、ワクチンを接種して、不幸にも死亡する人もいます。

死因を付きとめ、初めて奏効する細かなタイプがわかることもあります。大規模な「人体実験」を行うことができないから、薬の副作用が明らかになるのは、発売後ずっと後になりましょう。
患者は、命は惜しいが時間がない。この点に縛られますから、決断するのは難しいですよね。

体の薬品に反応は、人それぞれ。どんなに細かく基準値を定めても、それは“基準値”の枠を超えられません。その点、報道機関はどんな基準を設けているのか気になります。報道は文章や言葉、映像などで行われるものです。受け取り側の「感覚」により、薬品と同様、情報解釈は幅広くなります。
その上、

>「米国などに比べて研究費が限られている国内において治験の基準で臨床研究をしようとすると研究費が足りず、大部分が実施できなくなることが予想される」

これも大きな問題を含んでいます。大部分が実施されなくなると、製薬会社の活力が損なわれそうですし、結果として国力が弱まるんじゃないでしょうか。頭脳流出も含め、私はそう思います。

トレーディングやマスコミなどの業界を、「虚業」といいます。

そこの世界に住む人たちは、何も生産しません。生産の努力を知りません。何かを作り上げるまでにどんな労力があるかなんて、全く興味ない。できあがったモノやシステムなどについて、「評価」するのが仕事? 素人なのに評価すんの??(笑)。評価を評価する人も必要じゃないの??

私自身は「作り手」の末端にいます。素人にいいように評価されるのは、すっごーくムカつきます。純粋に評価するのなら、いいのですが、、、ね。



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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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4 コメント

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Unknown (yuko)
2010-12-23 22:36:13

ノエルさん、こんばんは。
yukoです、お久しぶりですね。

新聞が大変大きな力を持っていることは誰しもが知っています。
記事の取り上げ方ひとつで、大衆は新聞記事の意図する方向へ誘導されます。
だから、偏見なく正しい知識に基づき書かれた記事を掲載してほしい。その良識を新聞社に期待したい。
どの分野もプロの監修を経た記事を掲載する努力を新聞社はされているのでしょうか。
このたびの記事を新聞で読んだときには(ずいぶん前でしたが)、取り上げ方ひとつで、いかにも医療者に落ち度があるような書き方だなあとは印象に残っていました。
今回、このような問題に発展していることをノエルさんのブログで知りました。
どんな決着になるのかを関心を持って見ていきたいです。
また情報をのせてくださいね。
それではまた。
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マスコミに良識はあるのか (ノエル)
2010-12-24 22:45:49
大きな新聞社ならば、それなりのプロの監修は入るのでしょうが、、、中小規模の新聞社となると、なかなか人員は揃わないんじゃないでしょうか。

ある中規模の新聞記事をよく読んだら、警察とか政府の発表した記事は断定表現が多く、自社取材の記事は「…だという」とボカした表現を多用しているのを発見、まるで責任が自社にかからないように書いているのか?と思わせるほどでした(笑)。


「報道の権利」http://blog.goo.ne.jp/christmas_cake/c/e87cb125dc39148e8ed94d90328bf057
で取り上げましたが、新聞社が公正な立場をアピールして患者団体の声明文を掲載したのに、肝心の文章を偏見により一部削除してしまった。
文字数制限があるから全文を掲載はできないとしても、患者団体が一番主張したかった(と思われる)要点を不要扱いしたのは、「文章のプロ」としてはどうなのか??と思います。

このような姑息に見える行為をすると、読者は情報そのものも信用できなくなるものです。というか、本当に信用してはいけないのかもしれません。

マスコミの主な収入源に広告費があります。今、不況でそれが激減しています。

〉担当記者の人権意識は、単にインパクトある大きな記事を書く為の看板であり、最も根幹である保護されるべき対象が欠落しているのではないかと思わせられる。

この主張はその点を突いていると思います。インパクトのある記事を書き、バルーンを上げる。

報道番組だけでなく、ドラマや娯楽番組に至るまで、現在のマスコミはバルーンを上げるのに手段を選ばないような行動が目につきます。

この問題が起きた当初、マスコミは大きく報道したのですから、経過も結果も大きく報道すべきです。風向きが変わったからと、幕引きをさせてはいけないと思います。
返信する
Unknown (kei☆)
2010-12-30 22:49:01
物事は、善と悪という風に単純に割り切れないから、難しいし、悩むんだけれど、そういう両面を報道しない、ずるいマスコミだから、どんどん話がおかしくなるので、まともに見たり聞いたりできないです。
取材力のない頭の悪いニュースは、大事なものを破壊してしまいますね。
返信する
マスコミは悩むのか?(笑) (ノエル)
2010-12-30 23:21:08
マスコミが取材をする時、ディレクターとレポーター、それにカメラマンのクルーで構成される場合が一般的でしょう。
一つの事件に何十人もが追跡取材するわけでもなく、学会で各所からの報告など聞き、勉強を積み重ねるわけでもなし。

「本社独自の調査によれば…」って書かれているのを見るたびに、一体何人ぐらいで調査してるのか?なんて思っちゃいます。
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