乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

癌再発不安の慰謝料

2012年08月02日 | 社会
昨夜のオリンピック男子体操、観ました?
体操はフィギアスケート同様、ちょっとのタイミングで大きなミスを生む競技ですよね。他国の選手の演技は冷静に観られるのですが、自国の選手となると、観る側にもすご~~く力が入ってしまいます。

エースの内村航平くん、頬にトーンが入っちゃって、なんだかスタミナが心配でした。が、結果を見れば予想通りの金メダル。勝ち方も上手。オリンピックでは、いちかばちかの超ハイリスクに挑む必要はないと私は思っています。勝つことが一番大切。

サッカーなでしこも楽しみにしています。前回、南アフリカと引き分けたのも上手な戦略だと思います。なでしこ選手は一流ですが、ロボットではない。8時間の移動時間をかけ、前回負けたフランスと戦うのって、どーよ?

ゴールドメダリストって、技術的肉体的には他の選手とそんなに差がないけれど、精神的強さは勝っているように思います。精神力を鍛えるというのは、肉体を鍛えるのと同様、難しいですよね。

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【健診での肺癌見落としに400万円の慰謝料】 2012. 7. 30

東京地裁2006年4月26日判決 「5年生存率低下」の精神的苦痛を評価


 健診で肺癌を見落とされた患者が、11カ月後に別の病院で肺癌を指摘され、手術を受けました。患者は5年生存率が下がったとして医師らを訴え、400万円の慰謝料が認められましたが、この額は妥当なのでしょうか。【執筆】平井 利明=弁護士(中村・平井・田邊法律事務所)


事件の概要
 患者(当時51歳、女性)は2002年9月11日、市立の医療センターで有料健康診断(総合健康診査)を受診し、胸部X線検査を受けた。読影したA医師は胸部X線写真には異常がないと判断し、その旨を患者に説明した。

 03年7月、患者は別の医院で無料健康診断を受けた。その結果、腫瘍の疑いがあると指摘された。

 同年8月11日、さらに別の病院で胸部CT検査を受けたところ、肺葉部に腫瘍を疑われ、早期手術を勧められた。

 9月1日、患者は胸腔鏡下肺葉・区域切除術(VATS)により右肺下葉を切除し、9月6日に退院となった。

 切除した腫瘍の病理診断は肺癌(低分化型腺癌)であり、病理学的進行度分類は、T2N1M0(ステージIIb)でリンパ節転移は1群まで存在した。他方、最初の02年9月に医療センターで撮影された胸部X線写真を再検討した結果、直径約1cmの異常陰影が存在していたことが判明した。この時点の臨床的進行度分類はT1N0M0(ステージI)と推定された。

 患者は、Aが肺癌を見落としたため手術が1年間遅れ、肺癌が進行したことで5年生存率が低下したと主張。Aと市を相手取り、約2600万円の損害賠償を求める裁判を東京地裁に起こした。

判決
 裁判では患者の5年生存率がどの程度低下したか、それによる損害の程度はどれほどか、という2点について争われた。

 なお、読影を担当した医療センターのAは、異常陰影を見落とした過失を認め、患者に謝罪している。また、市の調査委員会の報告でも「異常なしの判定をすることが適正であったと認定するには困難があった」とされている。つまり、本件では過失に争いはない。

 東京地裁は、この事案について次のように判断した(要約)。

 まず患者の5年生存率がどの程度低下したかについて。「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2003年版」に基づくと、02年9月の医療センター受診時の病状は臨床的ステージIa期であり、5年生存率が約72%だった。

 一方、03年9月の手術時には病理学的ステージIIb期で、進行度分類はT2N1M0、5年生存率は約42%である。

 そのため、A医師による見落としで肺癌の発見が約11カ月遅れた結果として、その間に5年生存率が30%低下したと認定できる。

 次に損害の程度について。この点に関しては、患者の逸失利益と、精神的損害について判断された。

 患者の逸失利益として、まず身体症状の出現による損害は、Ia期だった場合と比べても肺の切除範囲が異ならない以上、術後の身体症状の程度と発見の遅れに因果関係は認められない。5年生存率の低下による経済的損失については、5年生存率が低下したことで家事や業務を患者が制限していたとしても、原告の性格や癌発見当時の取り乱し方からすれば、仮に見落としがなくても患者はそのような行動を取っていたものと認められ、これについても見落としとの因果関係は認められない。

 結局、賠償金額は患者の精神的損害のみを評価して判断することが妥当であるとした。


 患者の抱いている死への不安や恐怖に対しては、Aによる見落としがなくても生じていたはずである。ゆえに、精神的損害は、Aによる見落としがなく早期に癌が発見され、速やかに手術がなされた場合と比較して、5年生存率が30%低下したことで癌の再発による危険が03年9月から5年間高まることに伴う精神的苦痛を評価すべきであるとした(肺癌切除後の再発については、術後5年を経過後に生じることはほとんどなく、その間に再発がなければ完治したと見なすことができると裁判所は認定している)。

 結果、賠償金の額は、Aが患者に謝罪していることなどを考慮した上で400万円と判断した。

 なお裁判所は、将来、患者に肺癌が再発し死亡した場合は改めてAらに損害賠償義務が生じる可能性があることに言及した。つまり、もし最初の検診で肺癌が発見できていれば、患者が死亡した時点でもまだ生存していた相当程度の可能性があると認められる余地は十分あるため、患者はその限度で損害の賠償を受けることは可能とした。

解説
 今回の裁判は、癌の再発が認められていない状況下において、「癌の発見が遅れたせいで、5年生存率が低下した」ことを理由として起こされた損害賠償請求です。患者は、判決日現在(2006年4月26日)存命で、癌の再発は認められていません。

 肺癌切除後の再発は、術後5年を経過後に生じることはほとんどなく、その間に再発がなければ肺癌は完治したと見なすことができると裁判所は認定しています。つまり、「癌が再発するかもしれない」不安と恐怖という精神的苦痛が、手術後5年の間だけ存在することに対する慰謝料の額が、400万円と判断したというのが今回の判決です。

 なお、裁判所は5年生存率が30%低下したことは認めているものの、何%だから慰謝料はいくら、という考え方はしていません。患者にとっては、5年間のうちに再発するかしないかが問題であるはずで、また再発した場合は新たに賠償を受けるための裁判をすることは可能なので(しかもその余地は十分にあると裁判所も認めています)、この判断は妥当だといえるでしょう。

 では、患者が再発への不安を背負う5年間の精神的苦痛に対する慰謝料としてこの400万円という額が妥当かどうか。この点については、異論があると言わざるを得ません。もちろん、再発への不安に対する精神的苦痛は償われるべきものですが、これまで交通事故裁判などを通じて積み重ねられてきた慰謝料に関する事例と比較すると、高額に過ぎると考えられます。特に、今回のように癌の再発という事実がなく、加えて再発した場合には新たな損害賠償請求が可能と言及していることを考えると、なおさら高額に過ぎると思わざるを得ません。

 当初の異常陰影は誰もが容易に発見できたとまでは必ずしも言い切れないということや、発見されていれば選択されたであろう手術と患者が実際に受けた手術内容は変わらず、発見の遅れにより身体的侵襲の度合いは変わらないなどの事情が認定されています。そのため、一般的に見られる慰謝料と比べて高額に算定すべきではなかったのではないかと思います。

 また、この判決では患者が受けた不安や恐怖を大きく評価していますが、このような考え方を延長させると、例えば、何らかの医療事故で危篤状態になったような場合は、その後回復したとしても極めて多額の慰謝料が発生することになりかねません。そのような考え方は、今まで交通事故事案を中心に積み上げられてきた損害賠償に関する考え方とは異なるものと思えてしまいます。
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癌再発の不安は、癌を経験した方ならば想像するのは容易です。その一方で、未経験の人には絶対わからない。と、私は思っています。それは私の母が多重癌になり、次いで私が癌になった時の体験から、そう思います。

しかし、
>「癌が再発するかもしれない」不安と恐怖という精神的苦痛が、手術後5年の間だけ存在することに対する慰謝料の額が、400万円と判断したというのが今回の判決です。

と考えると、400万円は高額に思います。この弁護士が指摘しているよう、交通事故裁判などを通じて積み重ねられてきた慰謝料に関する事例と比較すると、そう思います。
私も交通事故の被害にあったことがあります。その時、どんな怪我だとどのぐらい慰謝料が発生するのか調べました。あまりの低額に、驚きを超えて怒りを覚えました。交通事故はそんなもんです。

この記事を取り上げておいて何ですが、私は交通事故の慰謝料が低すぎると強く思います。

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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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