乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

桜が舞う

2008年04月05日 | まんが
ふんわりした水色の空に、うす紅色の桜がちらちらと舞っています。
桜の木々は華やかな装い、でもちょっぴり悲しい。花びらが、まるで綿あめ雲の涙のように見えるから。
私の桜はモノトーン。。。

「大御所」と呼ばれる漫画家の元へ弟子入りした時のことです。
当時は、出版社へ投稿して認められてイキナリ漫画家になっちゃう人は稀で、漫画家を志す人は、アシスタントとして修業を積むところからスタートでした。
数日間、みんなで缶詰合宿状態になって作品を仕上げるのが普通のやり方だったんですよ。

その時、大御所先生は、桜をテーマに華麗な少女漫画を描いていました。
私はしばらく勤め人をしていたので、漫画界では“遅れてきたアシスタント”。周りはみんな、絵の専門学校を出たばかりの若くて 体力があって、そして技術がピカイチのアシスタントさんばっか。

これがすごいプレッシャーになっちゃって。。。
自分が想像していたより、みんな数段うまいのよ。これってどーやって描くのぉ??って目を見張るような絵ばっか。

歳食ってるのに技術なしって、これって最悪じゃーん(T▽T)。
オバサンの足手まといほどみっとも恥ずかしいもんはないので、もードキドキ緊張しまくってました。

当然、お初のアシスタント仕事だもん、前もってセンセの漫画本を買って絵柄をチェック。桜の絵は特に練習してきたつもりだったのに。

で、チーフアシに試しに桜を描くように言われ、いさんでペンを持ったものの…。
桜の花自体は、花の中では単純なほうなんだけど、「桜吹雪」とか、「桜並木」を描くとなると、どーやって表現したらよいのか…、いきなり難しくなる。

あれこれ考えてたんだけど、そのうち頭が真っ白になっちゃって。。。
か、固まってしまった|||(゜_゜ ;)。

「あなたの仕事はベタ塗りよ」。
チーフアシさんにさっさと見極めつけられてしまい、ちょっとガーン。
ベタ塗りとは、指定された箇所を、はみ出さずにきっちり黒く塗りつぶすこと。アシスタント業の初歩の初歩のお仕事なのだ。

仕事の中では一番簡単・楽ちん、自分の原稿じゃ、ベタなんてザッカザッカと塗り潰す。だけど、なんといっても大御所のお原稿です、取扱いも慎重に。
手渡された原稿は、既に先生のペン描きが入っているし、チーフアシさんの見事な桜吹雪のバックも入っていた。

うわー、やっぱすごい技術だなあ…(憧)。

なんて、見入っちゃって。で、面相筆に慎重に墨をつけベタを塗る。ベタが入ると、画面が締まって立体感が増すんです。

何枚も緊張したまま丁寧に塗っていたんだけど、徐々にスピードを上げていく。「何もできない」アシを、何とか挽回しなくっちゃぁ。

ぼちょっ…。

あ“…。


主人公の少女の、星の輝く目ん玉に、墨を落としてしまった||||)゜Д゜(||||ヒーッ

その時のみんなの固まった顔が忘れられませぬ。|||orz
で、その夜、アシさん5人が雑魚寝する中で、私は夢を見ました。

ぬりぬり、ぬりぬり、ぬるりんぬりぬり…

真っ白の原稿用紙に桜が舞う。
その花を、一づつ、まっ黒に塗り潰してゆく…。

「桜」 を読むと、「うつ状態の人は、『灰色』と答えるとうつの気があるのだそうです」と書かれているではないか。


あの時、私はプチ鬱入っちゃのかなと思いました。
だって私が見る夢って普段はカラーなのに、あの時はモノトーン、しかも灰色どころか、まっ黒に塗り潰してゆく夢だったんだもん。。。


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あ、もち、ここのアシ仕事は以後ありませんでした(T▽T)。当たり前なんだが。
でも、桜を描くのは上手になりますたよヾ( `▽)ゞ

桜を描くのを好きかと問われたら、ちょっと悲しいと答えますが。。。(´▽`)