紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

懐かしの黒紋付『みかど』

2006年11月16日 17時08分59秒 | つぶやき
今日 ↓ のような文庫とラベルの黒紋付が、紋入れにやって来ました。
      
      

「京みかど織ー黒紋付」です。
この業界、呉服屋さんだったら、ナーツカシーーーーとお思いになる事でしょう。
もう私が筆を取った頃、30年くらい前によく売られた黒紋付の生地です。

この頃の紋付生地は、防水が施してなく、染料も上絵墨も入り易く、描き易い生地でした。
その後、防水された生地が出てきて、更に防水且つ濃染黒という生地の表面に加工を施した生地が出て、現在に至っております。
今の生地は、染料は入りにくく、墨は乗らなく上絵筆が早く先割れしてダメになる、という、扱い難い生地になっています。

現在の黒紋付の生地は、濃染黒と云われる様に、黒の濃度が深いです。染料で色を出すのも結構手間が掛かります(泣)
比較してみると、一目瞭然です。 ↓
        

勿論、左の生地が今回入った懐かしの『みかど』黒紋付です。

呉服屋さんもよく在庫で持っていたな~と思う次第です。
古いからカビが来てないかな、と思いつつ紋洗いをしましたが、保存状態が良かったのか、少々色が褪せ加減ですがカビは生えてませんでした。

気を入れて紋入れをしようと思う次第です。

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