紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

「渡辺」の紋の怪

2008年03月30日 16時09分58秒 | つぶやき
      
上の紋は「三星に一の字」又は通称「渡辺星」。『渡辺党の紋』、『渡辺』姓に多い紋なのでそう呼ばれています。
「上絵紋」(左)と「刷込み紋」(右)の版下です。

しかし、この紋に『丸』がつくと、形が少し変ってきます。
下の紋は、私が描いて来た「丸に渡辺星」紋。
     
「渡辺星」紋を、丸に対して目一杯に描いています。
しかし、紋帖の「丸に(細輪ですが)渡辺星」紋は、下の様に上の部分を少し空けて描かれています。
        
形として、上の紋の方が納まりがいいと思っています。
それで、私は、紋帖の見本が添付してない限り、「丸に渡辺星」紋の注文がきた場合、上の様に描きます。

ところが、紋の本には更に変った「丸に渡辺星」紋が掲載されていました。
祝着の紋入れの見本として添付されていました。
  
右端が「紋帖通りの丸に渡辺星」(三星に一の字)で、左から二番目が「丸に渡辺星」となっていて、上の部分の空け方が更に大きくなっていますし、丸の太さも『中輪』の太さです。
で、仕方なく、↓ のように版下をつくって紋入れをしました。
    
紋帖或いは家紋の本によって、紋の形が変っている事は、紋屋泣かせです。困ったものです・・・・・・・・・・・・・・・ 
因みに『渡辺党』の紋を調べましたが、丸無の「渡辺星」で参考にならなかった(汗)