猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

スノー・エンジェル

2019-05-06 21:19:22 | 日記
2007年のアメリカ映画「スノー・エンジェル」。

学校ではマーチング・バンド、プライベートでは中華料理店のアルバイトに励む
高校生アーサー(マイケル・アンガラノ)。両親の不仲に困惑している彼は、学校
で風変わりな少女ライラ(オリヴィア・サールビー)と出会い、恋に落ちる。しか
し、なかなか自分の気持ちに素直になれないでいた。そんな彼のバイト先の同僚
で1児の母でもあるアニー(ケイト・ベッキンセイル)。彼女はアルコール依存症
の夫グレン(サム・ロックウェル)と別れ、娘と新生活を始めようとしていた。一
方、問題行動の多かったグレンは仕事を見つけて改めて3人で暮らしたいと考え
ている。ところがある日、彼らの娘が行方不明になってしまう。

「スノー・エンジェル」というタイトルからロマンティックな映画を想像してし
まうが、重たい人間ドラマである。両親の不和に悩む高校生の恋愛と、問題行動
の多い夫との関係に悩む女性の家庭の問題が交互に描かれる。最初は人間関係が
少しわかりにくいが、わかってくるととてもおもしろくなる。高校生アーサーの
父親は家を出て行ってしまい、アーサーは困惑する。一方学校では写真撮影の好
きなちょっと変わった女の子ライラに恋をするが、なかなか進展しない。アーサ
ーのアルバイト先の同僚アニーは、昔アーサーのベビーシッターをしていた女性
で、2人は親しい。アニーは夫グレンと別居し、4歳の娘を1人で育てている。
グレンはアニーと娘とやり直したいと思っていて、接近禁止命令が出ているにも
関わらず何かとアニーに付きまとう。だがアニーも、友人の夫と不倫をしており、
最低だ。友達を裏切っているのだ。ところがある日、アニーとグレンの娘が行方
不明になってしまい、2人の関係は悪化の一途をたどることになってしまう。
夫婦不和、不倫、アルコール依存症、DV、接近禁止命令、銃と、アメリカの問
題が次々と明るみになっていく。アメリカだけの問題ではないものもあるのだが。
妻と娘とやり直したいと思っていたグレンの精神はどんどん壊れていってしまう。
アニーも、「私は悪くない」などと言って、自分勝手。勝手な大人たちの犠牲に
なるのはいつも子供たちだ。ラストは本当に悲劇的。ここまでひどい終わり方を
するとは思っていなかった。アーサーのマーチング・バンドの成功と恋の成就が
救いか。重たい、悲劇的な映画だったけど、おもしろかった。




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イノセント・ガーデン

2019-05-02 21:12:01 | 日記
2013年のアメリカ・イギリス合作映画「イノセント・ガーデン」。

インディア・ストーカー(ミア・ワシコウスカ)の父リチャード(ダーモット・マロー
ニー)は、毎年彼女の誕生日には庭のどこかにプレゼントとして靴を隠しては彼女に
探させていた。18歳の誕生日、プレゼントの中身は靴ではなくたった1つの鍵だった。
その後リチャードが事故で急死した。母のイヴリン(ニコール・キッドマン)と2人き
りになったインディアの元に、謎めいた叔父チャーリー(マシュー・グッド)が現れる。
チャーリーは長年消息不明になっていた。ストーカー母子と同居しだしたチャーリー
の魅力に段々と惹かれていくインディアだったが、ストーカー家の家政婦やインディ
アの大叔母といった、彼女の周辺の人々が次々に姿を消していった。

パク・チャヌク監督がハリウッド・デビューを果たした作品。終始不穏な空気が漂う、
好みのタイプの映画だった。毎年誕生日には父からプレゼントとして靴をもらってい
たインディアだが、18歳の誕生日には靴ではなく1つの鍵だった。どこの鍵かわから
ない。そして父が事故死する。葬儀の日、長年消息不明だった父の弟チャーリーが現
れる。彼の謎めいた魅力に惹かれるインディアだったが、それはインディアの母イヴ
リンも同様だった。ニコール・キッドマンのこの、女の部分が濃い母親役がいい。表
立ってはいないが、母子で1人の男を取り合う構図になっている。そして、家政婦や
インディアの大叔母(父とチャーリーの叔母)が姿を消す。
それにしてもインディアの母は夫が死んでも働かなくていいなんて羨ましい身分だ。
おまけに家事もしないのである。家政婦がいなくなり、料理が苦手なので困ると言っ
ていたら、チャーリーが作ってくれることになるし。インディアと母、両方を誘惑す
るチャーリーとは何者なのか。何故この家にやって来たのか。インディアは優等生で、
賢い少女である。だが母のことは昔からあまり良く思っていなかったようで、パパっ
子だった。母がインディアに「あなたは何者なの。母親になつかないなんて」と憎し
みを込めた表情で言うシーンはいい。
チャーリーとインディアには同じ血が流れているのだ。そしてインディアの父はその
ことを懸念していた。血の継承と覚醒がこの映画のテーマである。インモラルな雰囲
気と空気感がいい、おもしろい映画だった。


良かったらこちらもどうぞ。パク・チャヌク監督作品です。
オールド・ボーイ
復讐者に憐れみを




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