猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

17歳のカルテ

2017-07-11 23:11:30 | 日記
1999年のアメリカ映画「17歳のカルテ」。
高校を卒業したばかりのスザンナ(ウィノナ・ライダー)はアスピリンを大量に飲んで
自殺を図り、精神病院に入院する。同じ病棟の患者は、顔に火傷の痕があるポリー(
エリザベス・モス)、虚言症のジョージーナ(クレア・デュバル)、過食症のデイジー(
ブリタニー・マーフィー)、そしてボス的存在であるリサ(アンジェリーナ・ジョリー)
たち。境界性パーソナリティー障害であるという自覚がないスザンナは、常に監視さ
れ管理される入院生活になじめないでいたが、エキセントリックなリサに惹かれ、次
第に仲良くなっていく。

スザンナ・ケイセンの自叙伝「思春期病棟の少女たち」の映画化。薬を大量に飲んで
自殺を図り、両親に精神病院に入院させられたスザンナだが、そこには自分よりもっ
と重い精神疾患の少女たちがいて驚く。絶望を感じていたスザンナだったが、次第に
他の少女たちと仲良くなっていく。特に気が強くリーダー的存在であるリサとは不思
議と気が合い、リザもスザンナと親しく接するようになる。
日本の精神病院のイメージとあまりに違うのでびっくりした。スザンナが待遇につい
て文句を言うと、看護婦が「ここは三ツ星ホテルよ!」と言うシーンがあるのだが、
本当に暮らしやすそうに見えるのだ。監視、管理されるのは仕方ないとしても、病室
はまるで自分の部屋のようだし、談話室のようなところでは自由に過ごしているし、
パジャマや病院衣ではなく普通の洋服を着ている。アメリカだからなのか、時代のせ
いなのか。
看護婦が皆を連れて外出するシーンがある。アイスクリーム屋に行くのだが、そこで
スザンナは同級生とその母親に会ってしまう。スザンナはその同級生の父親と不倫を
していたことがあったのだ。母親に「全部知ってるのよ。一生退院しないでね」とキ
ツく言われるが、リサが追っ払ってしまうシーンはクスリと笑ってしまった。リサは
とにかく問題児で、脱走経験もあり、病院職員たちも手を焼いている。だが最後の方
ではどうしてリサがそんな態度をとるのかわかってくる。スザンナにも。
原作も読みたいと思っているのだがなかなか読めないでいる。この映画、昔観た時も
ラストシーンで泣けたが、今回もやっぱり泣けてしまった。テーマ曲がまたいいのだ。
ペトゥラ・クラークの「恋のダウンタウン」。映画によく合っている。劇中レコード
で流れるスキータ・デイヴィスの「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」も印象深い。




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フッテージ デス・スパイラル

2017-07-08 22:51:06 | 日記
2015年のアメリカ映画「フッテージ デス・スパイラル」。
別居中の暴力夫から逃れるため、双子の息子たちを連れて田舎の一軒家に映り住んだ
コートニー(シャニン・ソサモン)。ある日、息子たちが家の中で映写機と8ミリフィル
ムを発見する。再生してみると、そこには恐ろしい首吊り事件の映像が収められてい
た。実はコートニーたちが引っ越してきたのは、邪神ブグールにとりつかれたいわく
つきの家だったのだ。かつてそこで起きた事件に関わった元副保安官(ジェームズ・ラ
ンソン)は、新たな惨劇を予感して阻止しようとする。

イーサン・ホーク主演映画「フッテージ」の続編。前作で主人公に情報を提供してい
た副保安官が保安官を辞め、主役になっている。夫の暴力から逃げてきたコートニー
と双子の息子たち。だが息子たちは子供の幽霊に誘われるままに恐ろしい8ミリフィル
ムを見ることになる。子供たちの霊に魅入られ、映像を見続ける双子の片方。そのた
め兄弟仲も悪くなっていく。
うーん、微妙に期待外れだった。前作はホラーとミステリーがうまくマッチしていて
おもしろかったのだが、続編はあまり怖くなかった。後味の悪さは同じようにあるも
のの、子供たちの幽霊が最初からたくさん出過ぎ。あんなにわらわら登場したらあり
がたみがないではないか。それに前作で悪魔と家の関係を知ってしまっているのもあ
るだろう。からくりがわかっているので怖くないのだ。どうなるんだろう、というハ
ラハラ感を持てない。
双子の子供たちの演技は良かったと思う。卑怯で暴力的な夫が1番怖くて憎らしかっ
た。続編で失敗した典型だと思う。




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聖の青春

2017-07-03 22:34:54 | 日記
2016年の日本映画「聖の青春」。
幼少期から難病のネフローゼ症候群を患っていた村山聖(松山ケンイチ)は、入退院を
繰り返す中で将棋と出会い、15歳で森信雄(リリー・フランキー)に師事する。10年
後、名人になる夢を叶えるべく上京した聖は、周囲に支えられながら将棋に全力を注
ぎ、同世代で名人のタイトルを獲得した羽生善治(東出昌大)に激しいライバル心を燃
やす。更に将棋に没頭する聖だったが、癌が彼の体を蝕んでおり、同世代のライバル
たちとまさに命を削りながら将棋を指す。

羽生善治氏のライバルで、「東の羽生、西の村山」と言われたが、29歳の若さでこの
世を去った村山聖氏の人生の物語である。私は将棋のことは何も知らないし、こんな
人がいたということも知らなかった。子供の頃から難病で、すぐに高熱を出す。体調
不良と戦いながら、将棋に人生を捧げた人である。とにかく松山ケンイチの演技が神
がかっていた。この役のために20kgくらい体重を増量し、村山氏になりきっていた。
少女漫画を大好きなのも村山氏のおもしろいところである。長い入院生活の中で将棋
と漫画にはまったんだろうなあ。ただこの人、浴びるようにお酒を飲むのだが、それ
は病気に良くなかったんじゃないだろうか、と思う。ネフローゼ症候群を具体的には
知らないが、大量の飲酒が彼の命を縮めたような気がしてならない。
羽生善治氏役の東出昌大も良かった。この人はよく演技がヘタだと言われているけれ
ど、この映画ではそれほど悪くなかったと思う。染谷将太、筒井道隆、安田顕など、
キャストは皆良かった。羽生対村山の最後の対局のシーンはとても迫力があった。あ
れは将棋を知らない者が見てもおもしろいと思う。
1つ気になったのだが、最初の方で母親が聖を病院に連れていった時、医師が「お母
さん、どうしてもっと早く連れてこなかったんですか。これは一生付き合っていかな
ければならない病気です。お母さん、息子さんを大変な病気にしてしまいましたね」
と言うシーンがあるのだが、難病なのに早く病院に来ていたら何とかなったのだろう
か。軽く済んだのだろうか。まるで母親のせいで難病になったかのような医師の口ぶ
りに納得がいかなかった。
泣かないつもりだったけど、最後はやっぱり泣けて仕方がなかった。ラストシーン、
良かったなあ。




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