ぶつぶつ地蔵

地蔵 呟く ひーの言葉を。ぶつぶつと…。

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すうねるところ

2012-09-26 15:47:53 | 舞台関係
エリザ観劇の合間を縫って、村井君の舞台も観劇しております。
9月24日にすうねるところを観てきました。

木皿泉さん脚本のお話。木皿さんは「やっぱり猫が好き」とか書かれた方らしい。あのお話好きだったので、今回のお話もスッと入ってきました。

薬師丸ひろ子@あざみ
篠井英介@こがね
萩原聖人@夏彦
村井良大@マリオ

このたった4人で構成されています。
1時間半と短い作品ですが、なかなか深い話だったとオイラは思うのであります。

ひょんなことから人間の子供を拾ってしまったヴァンパイアが、家族として生活する。
それぞれが自分の役割を自分で決めていた。
あさみは自分を姉と設定し、こがねはアラフォー女子、夏彦はお父さん・・・みんなの設定の中で変わらないのは「ここのうちの子」であるマリオだけ。
高架下の薄暗い家で夜のみ営業するパン屋を営みながらマリオを育てるヴァンパイアたち。
幸せな時間はマリオの成長と共に変化する。
マリオは気づいてしまった、自分の家が他の家と違うと言う事を。
貧乏とかそういった違いだけではなく、この家の中はどんよりと止まったままだと。
ちょうど進路を決める時期だったマリオは、そこで自分の家族の本当の姿を知る。
吸血鬼として悠久の時を生きるか、食うか食われるかの雑多な現実に戻っていくのか。
マリオは決断をする。
ラストは元の世界に戻っていったマリオをバンパイア達は呆然と見送り、タンスに姿を消す。


オイラがこの物語で感じたのは、「自分のいるところ」である。


こがねは平安時代に大災害で生き残り、生きることの難しかった時代を吸血鬼となって乗り越えた。
夏彦は江戸時代、島原の乱を目の当たりにした。食うか食われるかの悲惨な戦場で食うのも食われるのも拒み、吸血鬼となってすり抜けた。
あざみは大東亜戦争の頃、食料がなくお腹を空かせていた時にフジツボが美味しいことを知る。それを取るのに夢中になり岩場のフジツボを取り尽くしているうちに家族みんなが空襲で全滅した。食べることが嫌になったあざみは吸血鬼となった。
みんな苦しい時に死ぬことも生き抜くこともできず、そこで時を止め迷子になってしまったのだ。
そして出会ったマリオ。
迷子だったマリオは彼らにとって、今を生きているほわっと温かなピンクのほっぺの光だったんだろう。求めても、もうその手に戻ってこない時間をマリオに投影してたのかもしれない。
吸血鬼の世界を知ったマリオは、この不況な世の中から逃げて吸血鬼になろうと考える。でも途中で気づくのだ。自分は彼らの光だったと。
多分、だから、マリオは苦しさから逃げずにその世界に戻っていったんだと思う。
迷子となって止まっていたマリオの時間は進みだす。
3人のバンパイアの時間はやっぱり止まったまま。悠久を生きるけれどそれは生きていないのと同じ。生きてる方にも死んでいる方にもカウントされない、時の軸から零れ落ちた迷子。
マリオの成長と共に時の軸に戻ったような錯覚をしていたバンパイア達は、うたかたの夢から醒め、またタンスの中の漆黒の暗闇へと・・・迷子の世界へと帰っていく。


すっごく泣ける感動の話ではないんだけれど。心にぐっと突き刺さるお話でした。
マリオは自分いる場所を見定め動き出した。でもオイラは?
オイラはバンパイアと同じ、留まったままかもしれない。そう思うと泣けてきて仕方がなかった。

ストーリーはグサッと刺さるものがありましたが、舞台はとてもテンポよく面白いものでした。
特に薬師丸さんがあんなにチャーミングで軽やかで素敵に演じられるとは・・もっとしっとりした役ばかり演じられるのかと思ってました。
苦手だと思っていた萩原さんも良かった~。あのよれよれさ加減が守ってあげたいって感じ(笑)
篠井さんは言うまでもありません。女形の実力発揮しまくりでした。
良大くんも相変わらず上手い。この濃ゆいキャストの中で、しかもただ一人の「人間」を沈むことなく絶妙に演じていたと思います。
良大くんこのまま舞台の世界で頑張ってほしいな~(オイラが映像をあんまり見ないので^^;)

すうねるところ。。。心にぐさりと来て、今も思い出しているとズキズキ痛むんですが・・観に行ってよかったなって思える舞台でした。











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