ぶつぶつ地蔵

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古都奈良の演劇的空間 その3

2014-02-13 11:55:30 | 奈良
さて、トリを飾る演劇空間は・・・春日若宮おん祭でございます。

実はワタクシ、おん祭りはまだ未体験。(昨年行こうと思いつつ、行けませなんだ。)
なので、若宮さんを御旅所に連れてくる。。そして真っ暗ってこと意外、どういったお祭りかは全然知らないんですよね。



○おん祭○
おん祭は12月17日の0時きっかりから24時間かけて行われるお祭りなんだそうです。
若宮さんは、4つ連結した春日さんの社殿の内、3番目と4番目の神様のお子様なんだそうです。(第一殿 武甕槌命(たけみかづちのみこと)様、第二殿 経津主命(ふつぬしのみこと)様、第三殿 天児屋根命(あめのこやねのみこと)様、第四殿 比売神(ひめがみ)様 )
若宮様は実は新しい神様なんだそうで、1003年3月3日にお産まれになったそうです。
その説明がちょっと笑っちゃったんですが、「心太のようなものが落ちてきて、その中から蛇のような姿のものが出てきてそのまま社殿に入った」んだって。
トゥルン、ペタン、ニョロリのスイっと。って感じでしょうか。
その後、お母様たちの社殿にいらっしゃった若宮様ですが、1041年(長久2年)3月1日に託宣されます。
「もう、お供え食べない!」と。
イワユル、ストライキです。
なんでへそ曲げ状態になったかっつーと、ご自分の社殿がなかったからなんですね。
慌てて仮殿を造り、その後本殿(若宮)を作ったんだそうです。

なんだか、若宮様って可愛らしいですね。
まだ、たったの1000歳。若い若い神様です。

若宮様は芸能がお好きなようで、芸能が奉納されます。
能舞台の場所を聞き漏らしたんですが。。。^^;(御旅所の芝舞台だったかしらん?)本来、下手側(舞台に向かって左側)に橋掛かりがあり、そこから囃子方やシテやワキが登場して上演されるのがお能です。
しかし若宮さんの前の能舞台には橋掛かりがなく社殿からシテが登場するので、あたかも神が降り立ったような不思議な感じになるんだそうです。
これは一度見てみたいですね。

そもそも芸能を奉納するおん祭の起源は、1136年(保延2年)9月17日、大雨・洪水・飢饉・疫病に襲われたのを憂えた関白・藤原忠通が考え出したものなんだそうです。
神様に喜んでいただいて、ご加護を得る・・・まさしく(西山先生曰く)、「お・も・て・な・し。。。おん祭り」なんだそうだ。
こちらのおもてなしも昨年878回を数え、規模を変化させつつも、途切れることなく続けられている行事なのであります。

奈良ってスゴイよね。
多分、お寺や神社ももちろんすごいんだけど、なにより地域の人の「守っていく」力の結束がすごいんでしょうね。だって、こんな祭事、地域の人なくしてはできないもの。

では、おん祭はどういうお祭りか。

12月17日の0時キッカリに、遷幸の儀が始まります。
若宮様に御旅所と呼ばれる社へお遷し申しあげる行事。
この御旅所、常日頃にはただの敷地なのですが(奈良博の裏手にある)、この時にだけ社殿ができるそうです。(普段はどこにしまってあるのか気になるところですね)
榊を持った神主さん達に取り囲まれて移動される若宮様。
その時、「おぉぉぉぉぉ~~~~ぉ」と声を出して、若宮様のお渡りを知らせる(?)そうです。
ヒタヒタと静寂の中粛々と行われるのではなく、ある意味盛大にお渡りいただくわけですね。
これは、音の演出の一つでしょう。
そしてこのお遷しいただく間は、明かりを灯さず、暗闇の中行われます。
闇という、視覚の演出。
音は盛大なのに灯りがないという対比。でもその音の中心に若宮様がいらっしゃるという神秘なんでしょうね。オイラの妄想がかき立てられます。
正午のお渡り式は、芸能奉納をする人や祭礼に加わる人々が社参する、意匠を凝らした行列なんだって。
これも視覚に訴える華やかな演出ですよね。

松の下式の後、御旅所に居られる若宮様に様々な芸能(田楽、お能、舞楽などなど)の触り部分を奉納します。
これらは「影向の松(ようごうのまつ)」の下で行われます。
春日大明神が翁の姿で万歳楽を舞われたという由緒ある場所で、影向とは神様が来られることをさします。神様の居られる松の下ということですね。

移動→観賞をなされた若宮様。
18日の夜。23時を回るころ、場がそわそわしだすんだそうです。

若宮様はシンデレラ。
12時の鐘がなる(って実際にはなりませんが)前にご自分の社殿へ戻らねばなりません。
24時間を一秒でも超えちゃダメなんです。
キッカリ24時間未満で神事を終えねばなりません。
還幸の儀を行い、早々に戻っていただくのでありました。

これがおん祭のザクっとした行程らしいのですが、視覚聴覚への演出はあるけれど、触覚は?と思いますよね。
西山先生はおっしゃいませんでしたが、オイラはこれは「冷気」だと思うんです。
12月17日の深夜奈良は、底冷えしていることでしょう。その冷気の中、若宮様をお迎えするってのは、肌を刺す冷気が若宮様の存在と相まってめっちゃ体感できる事なんだと想像します。
浄闇の中執り行われるのも、神秘的で気持ちが揺さぶられますよね。
闇って、心をゾワゾワさせますもの。



お水取り、花会式、おん祭。
これら3つの緻密な構成の上に行われる神事や法要はすべて、個人的な祈りではなく国家や豊穣、安寧といった万民の幸せを祈る儀式であるのが素晴らしいところ。
おらが村だけの儀式ではないんですね。
そしてそれを絶えることなく続けているという事実。
世界広しといえども、奈良だけであろうと西山先生はおっしゃいます。
それが、古都奈良の演劇空間なのであります。



次回はおまけの内容(いや、ある意味話の中核かもしれん)をまとめます。










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↑ 実は昨年9月に念願の三人翁を観に行きました。(「田楽と猿楽―中世芸能をひもとく」)
奈良豆彦神社で行われる三人翁は、天武忌と被っているため行けません。大阪の文楽劇上演前に、山路興造先生のご説明があり、芸能の始まりは神事・・・神様への奉納が起源であると教えて頂きました。
面(おもて)を着ける行為は、そこに人ではない神がかったものが現れたことを示しています。
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