ういーくえんど・なちゅらりすと

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アカハネバッタ

2016-09-05 16:25:37 | バッタ
いま、日本で最もレアなバッタといったら何になるだろう。
コオロギやキリギリス、カマドウマなどを含まない『バッタ』で、である。
もちろん、かつて小笠原で記録されたマボロシオオバッタのように絶滅してしまったものは論外としても、限られた島嶼、山岳のみにいるものも確かに珍しいといえるだろう。
ただ、生息地が限局される種類は、そこに行ければ何とかなることも、また多い。
里山に生息しながら気がついた時にはその姿を消してしまった、そう、鳥でいうならトキのような存在が、今では一番幻といえるのではないだろうか。

昨年の春、バッタ好きには衝撃的なニュースが流れた。
『絶滅危惧種のバッタ、30年ぶりに発見』とね。
ん?このニュースが私にとっても衝撃的だったということは私はバッタ好きだったのか?まぁそれはともかく・・・
長野県、そして山形県で相次いで発見されたすでに絶滅したのではとまで思われていたバッタ。
それがアカハネバッタだった。

前日の実習指導の疲労にもめげず、目覚めたのは目覚まし時計のセットよりも早い時間。
おかげで家を出る時にはあたりはまだ真っ暗に寝静まっていた。
高速をひた走り目的地に到着した頃には、まだ朝日に稲穂が輝いていた。
車を停めまずは一伸びしていると、見覚えのある車がやってきた。
兵庫の友人だった。
お互いに相手が今日、ここへくることだけは理解していたが、時間的な相談は一切していなかった。
それが数分差で到着とは。しかも二人とも数百キロ移動してきて、である。

もちろん、すぐに歩き始めた。
朝露に輝く草はらを。
遠目で見ている分にはキラキラ輝いてきれいなのだが、突入すれば当然びしょ濡れ。
それでも時折姿を見せるアオイトトンボやイナゴモドキに癒されていたのだが・・・





お互い、だんだん無口になる。
それでも地面にいるというバッタを求めて、ひたすらうつむき加減で、歩く。
途中、慰めるようにヤマキチョウが飛んできてくれたのは素直にうれしかった。


やがて朝露は消え、濡れた服が乾く頃になっても、そのバッタは姿を現さない。
場所を変えてみるか?
そんな話題を口にし始めた時だった。

ん?
何か視界に違和感が。


じっと見つめていると、やがて地面に茶色いバッタのシルエットが浮かび上がってきたではないか!
いた!
間違いなく、アカハネバッタだった!


数枚写したあとでもう少し分かりやすい場所に誘導しようとすると・・・ロスト。
必死に探すも見つからない。
こいつらは着地後によく歩いてすぐに草の中にまぎれて見つからなくなってしまうようだ。
それでもこの時から次々に見つかるようになってきた。








オスはほぼ黒褐色だが、メスは若干明るい色のよう。
ただもちろん個体差もある。

そして間違いなく後翅が赤い。


なんだかんだと10個隊くらい見られただろうか。
もちろんオーバーラップしている個体もいるだろうが、さほど広くない草むらに健在であることは間違いない。
しかし、この草はら、確かにキキョウやマツムシソウ、オミナエシなんかが咲き乱れる極めて良い環境であることは間違いないが、これだったら他の場所にもいるのではなかろうか。
もしかして幻なのは草むらの地面にいるという特殊性も影響しているのでは?
その昔の記録はぽつりぽつりと知られていた。
来年あたり、チャンスがあったらどこかの草はらを狙ってみよう。
もしかしたらもしかするかもしれんぞ。
さて、条件は何となくわかった。
これから一年かけて、目星を付けるとしてみようか。