ういーくえんど・なちゅらりすと

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不幸の青い・・・?!

2021-06-30 15:08:09 | その他の動物
特別な青いものが幸せを呼ぶとは限らない。
たとえばこんな・・・ダンゴムシ。



これはごく普通に生息する外来種、オカダンゴムシだ。
だが、何かが違う。
そう、青いダンゴムシなのだ。



普段はグレーのオカダンゴムシの青色個体。
個体変異や突然変異というものではなく、これは感染症なのだという。
リイドウイルスという、この仲間に感染するウイルスによるものなのだそうだ。

リイドウイルスに感染すると、体色が鮮やかな青みを帯びる。
この青色は病態が進行していくほど鮮やかになっていくという。
そして、1〜2ヶ月ほどで、迎えるのは確実な死。
もちろんリイドウイルスが人に感染することはない。人にとっては全く無害なウイルスだが、ダンゴムシにとっては不治の病というわけだ。

しかし、どうしてこんな鮮やかな色になるのだろう?
一番に考えられるのはウイルスの拡散のためだ。
リイドウイルスはそれほど感染力の強いウイルスではないらしい。
空気感染や接触感染などは無く、経口感染が主な感染ルートのようだ。
だからたくさんのダンゴムシの中で1個体だけ見つかったりする。
このウイルスに感染し、青くなった個体は行動変容が観察されている。
普段は物陰に隠れていることが多いオカダンゴムシが、開けた場所を堂々と行動するようになるのだという。
病原菌の感染や寄生虫によって昆虫の行動が変容するのはよくある話だが、いずれも繁殖に絡んでいることが多い。
この青いダンゴムシも同様なのではないだろうか。
つまり、鮮やかな色彩で開けた場所でも行動するようになれば、当然、天敵にも襲われやすくなる。青いダンゴムシを食べた鳥の糞にウイルスが含まれているのなら、その糞を食べたダンゴムシに感染が広がる。そうやってウイルスは拡散していくのでは、と考えられる。

いずれにしてもリイドウイルスが人に感染する可能性は無い。
もし、道ばたで青いダンゴムシを見つけたら、じっくりと観察してみるのもいいのではないだろうか。ダンゴムシなんて、とはいわずにたまにはね。

ついでに売られて・・・

2021-06-23 15:09:50 | トンボ

ハラボソトンボ。
日本でも九州以南に生息するシオカラトンボの仲間で、熱帯、亜熱帯域に広く生息する、まあ普通種である。
八重山まで行けば一年中見られるし、九州でも局地的ながら確認できる。
神奈川にはいないとはいえ、そんな普通種の未熟個体の画像を何のために貼ってるのかって?
それはこの個体がヤゴのときに神奈川で確認されたものだからだ。

温暖化による北上?
悪しき心の持ち主による人為的放逐?
いやいや、この個体は意図せずに購入されたものなのだ。

いろいろとあって息が詰まって、弟子を誘ってトンボを見に出かけた。全行程彼の運転で出かけられるというのは、年月というものを感じてしまう・・・それはともかく。
その時に見せられたのが、このトンボだった。
彼によると彼の祖母がホームセンターで購入した水草についていたものだそうで、前日に羽化したところだという。
見た目の通りハラボソトンボだが、沖縄でのお馴染みよりも少し淡色部が大きいように思える。
調べてみると数亜種に分けられるらしいから、その関係なのかもしれない。

トンボの世界ではこれまでも水草等の移動に伴うと考えられる人為的移入が報告されている。
だが、実際に販売されていた水草の中からヤゴが見つかった例は聞いたことがない。
もともと輸入水草は、植物検疫なんかの関係もあって生育時や出荷時に農薬(殺虫剤や抗菌剤?)を使っているというのが有名な話だそうで、農薬に弱いエビなどの水槽に入れると死んでしまうことも多いらしい。
今回、どうしてハラボソトンボのヤゴが生きていられたのかわからないが、もし、屋外の水槽や池にこの水草が入れられていたら・・・きっと関東まで飛来したってぬか喜びしたんだろうなぁ。
今回の教訓・・・本当にこういう事例はあるってことだ。全くあり得ないような種類ならば人為的移入を真っ先に疑うだろうが、ハラボソトンボのレベルだとむしろ自力での飛来って考えたくなる。
難しい世の中になったもんだ・・・



ミノムシに寄生するハチ

2021-06-04 11:08:55 | その他の昆虫
勤務時間の関係でぽっかりと突然出来た5月終わりの平日の休み。
遠出するご時世でもない。
どうしたものかな・・・
結論は、普段行かない近くに行ってみよう、だった。

自宅からそれほど遠くない公園。
いろいろとおもしろい虫の記録がある場所ではあるが、なかなか足が向かない場所でもあったりする。
すこしだけ咲き残りを期待していたシロバナハンショウヅルは全部実になっていた。そりゃあそうか、今年の春は早かったもんなぁ。

小さな水辺にたどり着くと、これがびっくりするくらいに静か。
何もいない。
まあ時間も早いし、日が当たりはじめたばかりみたいだから仕方がないか。
一周してからまた最後にくればいいとして・・・なんかないかな?
水辺に出ると羽化殻を探す、トンボ屋の習性。

早速目に入ったのは緑の草に茶色い塊。
・・・何だミノムシか。
でもよく見ればこのミノ、地衣類なんかで出来ている。
どうやら水辺の出身ではないようだ。
落っこちてくるような木もないし・・・こいつ、歩いてきたのか?
そんなことを考えつつも、他へ視線を向けようとしたとき、まとわりつくように飛ぶ蜂がいることに気がついた。


なかなかきれいなヒメバチの仲間かな?
これはもしや・・・
しばらく眺めていると、ハチは徐々にその距離をつめ、触角で触りはじめた。


やがてミノに取り付いて、入口を確認するように触角で触れ・・・



おもむろに産卵管をさし込んだ。
その後少しの間、体勢を変えたり動いていたが、やがて飛び去っていった。



やはりこのミノから次に出てくるのはハチなのかな?
オオミノガが中国で大量放逐され日本まで飛来したオオミノガヤドリバエによって激減したことは知っていたが、こんな大きなヒメバチもミノムシに寄生する奴がいるとは。

調べてみるとキオビフシダカヒメバチというのがひっかかった。
行動からしてミノムシの寄生蜂だし、模様もよく似ていて間違いなかろう。
そして・・・三浦半島では記録がない?・・・どころか神奈川では記録がない?・・・ようだ。
こんなもの、採集してないと報告なんか無理だし、あのミノムシももう見つからないだろうしなぁ。
次の機会、なんてないだろうなぁ・・・