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血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を阻害することによって腫瘍の血管新生を阻害して増殖を防ぐアバスチン(
※化学療法併用で4ヶ月生存延長)などの治療が行われているが、研究者らが当初期待したほどの結果ではない。その説明の発見ともなる新たな研究結果がNature11月号でカリフォルニア大学ムーアがんセンターから報告された。
分子生物学者であるCheresh氏の研究によると、
VEGFは腫瘍に過剰に発現するが、マウスの実験でVEGFを欠如した腫瘍は、20週後通常の腫瘍より大きくなっていた。そして、もう一つ驚くべきことに、VEGF欠如腫瘍は化学療法への感受性が増し、より速く腫瘍は縮小した。
VEGFの作用機序にはより複雑なプロセスがあるらしいことがわかった。
腫瘍内の血管は通常より急速に作り出されるためVEGFを過剰発現しており、極めて未成熟である。そのVEGFを通常レベルに戻すことにより、血管は正常化してしまうと考えられ、血管の周皮細胞を活性化する。それによって腫瘍血管はより強くなって養分を運び腫瘍を増殖させる。同時に、化学療法剤をも送達させることから感受性も増す。このVEGFにはもう一つの増殖関連タンパクPDGFに作用して血管を支える細胞を活性化することも発見された。
「VEGFを取り除くことは、ブレーキペダルから足を離す行為だ。周皮細胞を活性化し、血管を正常化する。これはけがの治癒と同じ作用だ」
「これは癌腫には関わりがなく、患者の腫瘍の感受性の違いの要因でもあるとみられる。また、腫瘍の薬剤への感受性を増加させたり、投与順序などに有用であるかもしれない。まだ血管新生の研究は始まったばかりだ。」
原文記事ほか
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18997773
血管新生の機序が解明されていきますね。
化学療法併用でないと奏効しなかったことも説明がつきます。
「癌の化学療法に伴う白血球減少に用いられているG-CSF等は血管新生促進因子である。
G-CSFはGM-CSFより多く用いられているが、血管新生をより促進させる。GM-CSFは免疫機能に効果がある。」
という記事が紹介されていたことがあったのを思い出しました。
G-CSF等は「白血球を増やす注射」という曖昧な表現で患者に投与されていたりするんですが、
それで血管新生を促進させたらマズイんじゃないのか?と、非常に疑問に思ったものでした。
それも併せて、「まだ血管新生の研究は始まったばかりだ。」というのに、それらの薬剤で治療される患者としては、釈然としないものがあったりします。
治療の有用性より副作用で命を縮める事の方が多いんじゃないのか?という疑問もありますし…(涙)。
抗癌剤とアバスチンを併用して、白血球を増やすためにG-CSFを使って血管新生を促進?
訳分かりません。
血管新生を阻害して癌に養分を運ばないようにするのがいいのか、
血管新生を促進して癌に抗癌剤をたくさん運ぶのがいいのか、
二者択一ですか?
http://jpet.aspetjournals.org/cgi/reprint/304/2/729.pdf
現在のところ、Amifostineの併用で抗腫瘍効果は変わらないという結果が報告されてはいますが、血管新生に関与するなら影響がないはずがありませんよね(^^;)。PubMedで検索してもまだ基礎研究段階なんですが、概略と臨床へのフィードバックが可能かどうか、誰かお助けくださりませ・・・・
でも、本当に重篤な場合はそれも必要な薬剤でしょうし。
確かに、アバスチンは併用で生存期間を延長しているんですよね。(乳がんは別)
ここからどのように研究が進むか、新たな結果を期待したいですね。
EGFR阻害剤のイレッサやタルセバ、アービタックスなど他の分子標的薬の遺伝子検査が最近話題になっています。徐々に誰に効きやすいかも判明しつつありますから~~
>血管新生を阻害して癌に養分を運ばないようにするのがいいのか、
血管新生を促進して癌に抗癌剤をたくさん運ぶのがいいのか、
ハイ、、この実験からはー。
血管新生阻害はVEGFだけじゃないので、
もう少し研究が進むのを待ちましょう