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腫瘍血管から前立腺癌のふるまいを予測

2009-11-28 | 前立腺癌
2009年11月4日
(略)オハイオ州立大学総合がんセンターのジェームズがん病院およびソローブ研究所の研究者らがハーバード公衆衛生学大学院と共同で行った研究によれば、その答えは癌の内部にみられる血管の太さと形状にあるとみられる。

572人の限局性前立腺癌の男性患者を対象とした試験において、高悪性度で致命的な前立腺癌には、腫瘍血管が細く、血管の断面は不規則で未発達という傾向が示唆された。その一方で増殖が遅い腫瘍、あるいは低悪性度の腫瘍の血管は正常に近かった。この知見は10月26日のJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。
「まるで、高悪性度の前立腺癌は成長が早すぎて、血管が十分に成熟できないかのようです」

「前立腺癌は非常に不均一であり、患者の癌のふるまいが急速進行性なのか、ごく平均的なのか、それとも緩徐進行性なのかを予測するすぐれた手段が必要です。外科手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、あるいは血管を標的とした今後の新薬による治療法など、治療行程は患者の癌のタイプに特異的です。より良い予測手段があれば、さらに患者に適した治療行程を決定できるのです」とClinton医師は述べる。(略)

本試験では北米の歯科医、検眼士、足病医、薬剤師、および獣医師からなる男性5万1529人を対象としたHealth Professionals Follow-Up Studyの参加者から得た腫瘍サンプルと臨床上の結果のデータを分析した。平均で10年の追跡調査ののち、572人中44人が転移性癌を発症していたか、癌により死亡していた。

腫瘍血管の径が小さい男性は、高悪性度の癌を発症して死亡する可能性が6倍高く、血管の形状が最も不規則な患者では、致命的な前立腺癌を発症する可能性が17倍であった。

本知見は、顕微鏡下での前立腺癌の外見に基づいて予後を測る予測因子として広く使われているグリソンスコアや、前立腺癌の存在を識別する血液検査の前立腺特異抗原(PSA)レベルとは無関係であった。(略)

オハイオ州立大学全文訳


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