前立腺癌標準治療アンドロゲン枯渇療法は変更される可能性も
ジョンズホプキンス大学 原文抜粋 2007年10月1日
一般に行われているアンドロゲン枯渇療法が、前立腺癌の転移を促進するタンパクを生産することが新たな研究で明らかになった。この発見によって、標準治療の変更の可能性はあるものの、現時点では初期の研究であり、医師や患者にその療法を中止しないように警告している。ホルモン療法は腫瘍の増殖を遅らせるのには有効であることを強調した。
実験室で培養した前立腺癌細胞において、ネスチン(癌の進行に関わると知られる)というタンパク質を暗号化した遺伝子が活性化しているのを発見してから、同研究者らはテストステロン(アンドロゲン)抑制療法には間違いなく問題がある可能性があると同定した。
その後、手術で切除されたヒトの限局性前立腺癌でもネスチンが発現しているかどうかを調べたところ、全く見つからなかったのだ。しかし、転移性前立腺癌で死亡した患者から取り出した癌細胞を調べると、ネスチン遺伝子が活性化していた。これは緩やかな進行の前立腺癌が悪性度を増して転移するに至る段階で行われたホルモン療法が原因に違いないと推測された。実験でも同様であった。マウスの実験でもネスチンの発現を妨げた前立腺癌は正常なものより転移しやすかった。
これらの研究から、ネスチンは転移に中心的役割をするとみられ、腫瘍増殖に関与するとは考えられていない。
「これらのことから示唆されるのは、ネスチンはアンドロゲンの枯渇した癌細胞で増加し、転移を促進する。」この研究はCancer Research10月1日号に発表された。
参考:PubMed論文抄録
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10/18追記 参考:「限局性前立腺癌に対するアンドロゲン枯渇療法と心臓疾患による死亡増加」JNCI原文
ジョンズホプキンス大学 原文抜粋 2007年10月1日
一般に行われているアンドロゲン枯渇療法が、前立腺癌の転移を促進するタンパクを生産することが新たな研究で明らかになった。この発見によって、標準治療の変更の可能性はあるものの、現時点では初期の研究であり、医師や患者にその療法を中止しないように警告している。ホルモン療法は腫瘍の増殖を遅らせるのには有効であることを強調した。
実験室で培養した前立腺癌細胞において、ネスチン(癌の進行に関わると知られる)というタンパク質を暗号化した遺伝子が活性化しているのを発見してから、同研究者らはテストステロン(アンドロゲン)抑制療法には間違いなく問題がある可能性があると同定した。
その後、手術で切除されたヒトの限局性前立腺癌でもネスチンが発現しているかどうかを調べたところ、全く見つからなかったのだ。しかし、転移性前立腺癌で死亡した患者から取り出した癌細胞を調べると、ネスチン遺伝子が活性化していた。これは緩やかな進行の前立腺癌が悪性度を増して転移するに至る段階で行われたホルモン療法が原因に違いないと推測された。実験でも同様であった。マウスの実験でもネスチンの発現を妨げた前立腺癌は正常なものより転移しやすかった。
これらの研究から、ネスチンは転移に中心的役割をするとみられ、腫瘍増殖に関与するとは考えられていない。
「これらのことから示唆されるのは、ネスチンはアンドロゲンの枯渇した癌細胞で増加し、転移を促進する。」この研究はCancer Research10月1日号に発表された。
参考:PubMed論文抄録
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10/18追記 参考:「限局性前立腺癌に対するアンドロゲン枯渇療法と心臓疾患による死亡増加」JNCI原文
乳癌のアロマターゼ阻害剤でも同様のことが起こるのでしょうか?
癌細胞は、というか生体は本当に複雑にできています。
この分野は私は門外漢ですので、語彙の間違いや勘違いなどありましたら、ご指摘・ご指導お願いします。
みんなで、広範囲の知識を共有していい時代を作ってゆけたらいいと思いますので。
よろしくお願いします。
例のEditorialも、準備中です。遅くなってますが・・
やっぱり他のホルモン感受性の細胞でも気になる存在です・・。
記憶にとどめるため、コメント。
問題は、ネクチンが増える(?)誘因がエストロゲンの枯渇であるかどうか?ということ?
「再発乳癌は、ホルモンレセプタがなくなって悪性度が高くなっていることがある。」そうです。
これは、ホルモン治療でホルモンレセプタのある癌細胞が淘汰され、ホルモンレセプタのなかった癌のコロニーが成長して再発として発見される大きさになる。
というふうに思っていました(..;)。
乳癌はホルモン感受性が少しでもあれば、念のためみたいな感じでホルモン療法を勧められ、
タモキシフェンよりアロマターゼ阻害剤の方が成績がいいらしく、アロマターゼ阻害剤に変えましょう、みたいな風潮があるんですが…。
治療が癌を作る可能性は最小限になるように、研究が進むことを祈ってます。
前立腺癌もレチノイドで増殖抑制なんていう論文があるようで、アンドロゲンが枯渇すると転移してしまう(ビタミンDが不足するとがんになるという考え方となんとなく似ている)なら、レチノイドやビタミンDを飲んでいればどう?なんて素人は思ってしまうわけであります。
breさん、さすが患者さん~
そこまで調べがついているのですね。とてもわかりやすくて理に適っているように聞こえます。私も素人ですけどー
癌細胞は、というか生体はどんどん何かに対応しては形を変えて変化していくんですよね。生命の神秘なる防御反応なのでしょうけれど、そこまで完璧に克服するにはまだ大きすぎる壁である気がしますね。
くぅ先生の説も、非常に興味のあるところなんですが、どうにも、私の理解と想像を超えているので、、、
レセプターが同じような場所にある・・へ~~、そうなんですねーービタミンD、、大事ですね・・
みなさん、素人でいらっしゃるなんて~?!
(~▽~;;