1973年に封切られた実録やくざ映画の元祖です。
映画雑誌のキネマ旬報が2009年に実施した日本映画ベストテンのオールタイムベストで第5位にランクインしています。
もちろんバイオレンスを前面に出した娯楽作なのですが、菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫たちが若々しい演技を見せて、青春群像劇と捉えることもできます。
ハンディカメラも多用したライヴ感、大胆な筋立て、実録映画ならではのリアリティ、スピーディな場面展開など、現在見ても少しも色あせていません。
戦後の風俗の描写は最低限に抑えて、登場人物の行動と会話だけで、テンポよくストーリーが進みます。
他の記事で書いた「現代児童文学」の特徴である「アクションとダイアローグ」がいかに物語を描くのに適しているかが、ここでも証明されています。
児童文学の世界でも、かつては、柴田道子が疎開生活を描いた「谷間の底から」や鈴木実たちが基地問題を描いた「山が泣いている」などの実録物の作品がありましたが、社会主義リアリズムが退潮になるにつれて姿を消しました。
現代の子どもたちの生活に肉薄した実録物の作品があってもいいと思われますが、現在の出版状況では本にするのは難しいでしょう。
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