現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

沢木耕太郎「凍」

2022-11-20 14:53:10 | 参考文献

 登山家の山野井泰志、妙子夫妻を、彼らのギャチュンカン登頂(結果的には北壁ルートによるものですが、初めは北東壁をねらっていました)を目指すアタックと、その後日談を中心に描いています。

 先鋭的なアルパイン・スタイル(少人数で、ベースキャンプから一気に頂上を目指す登山の手法)の登山家である二人の苦闘(結果的には、泰志だけは登頂できたものの、悪天候に阻まれて過酷なビバーグ(緊急的な野営)を幾晩も余儀なくされて、二人とも激しい凍傷にかかり、手足の多くの指を失いました)を、ニュージャーナリズムの手法により、あたかもそこにいるかのような迫真性をもって描き出しています。

 作者の二人に対する尊敬や愛情が十二分に現れていて、ある意味凄惨な内容なのに、非常に読み味のいいドキュメンタリーに仕上がっています。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする