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TikTok大ブレークの真相、「最大のリスク」はオトナの流入!?

2018-11-21 00:51:34 | IT・ビッグデータ・新技術

TikTok大ブレークの真相、「最大のリスク」はオトナの流入!?
2018.11.20
https://diamond.jp/articles/-/186011

「有名人になりたい10代に爆発的に普及」

「インスタ映え」のブームは去り、次は「動画自撮り」の時代がやってきそうだ。

 最大15秒の動画を、多彩なエフェクトを使って、提供されている音楽に合わせて自撮りでアップできる「TikTok(ティックトック)」というアプリが10代の間で大ブレイクしている。

 TikTokを見てみると、ダンスをしたり、簡単な身振りをしたりする中高生の数秒の動画が「おすすめ」としてどんどん流れてくる。投稿するユーザーも、提供されている歌やダンスに合わせて動画を撮るだけでコンテンツとして成立するため、投稿のハードルが非常に低く、FacebookやInstagramと比べて、見るだけでなく自身で投稿するユーザーが多いのも特徴の一つだ。

 TikTokのMAU(月当たりのアクティブユーザー数)は世界全体で5億人、そのうち6割は投稿もしているとされる。日本では、10代の女子中高生がメインユーザーで、なかには小学生や未就学児もいる。「一緒に撮ってくれる相手もいらず、素敵な場所にわざわざ行かなくてもいい。一人で、自宅で“盛れ”て、テキストすらいらず、何も考えなくても投稿できるため、有名人になりたいと考えている10代を中心に爆発的に普及した」とITジャーナリストの高橋暁子氏は説明する。




 最近では有力なTikToker(ティックトッカ―、TikTokを投稿する人)の露出も増えている。最も人気のあるHinataさんを見ると、現在229万人のフォロワー(ユーザーローカル調べ)がいるが、これが週5万人のペースで伸びている。

 YouTubeでは、人気のある芸能人がYouTubeのアカウントを開設したときなどは、一斉にフォロワーがつくことはあったものの、テレビ露出のないHinataさんのような子どもまでがここまで注目されるのは、インフルエンサー(世間に大きな影響力を及ぼす人)が小学生や中高生であることの証左だ。
運営元は世界最大のユニコーン企業

 TikTokの運営元は中国のベンチャー企業・Bytedance(バイトダンス)だ。中国本土では「Douyin(抖音)」、それ以外の国では「TikTok」としてサービスを提供している。非公開ながら評価額は約8兆円を超え、現在世界最大のユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場企業)といわれている。

 かつて流行した動画サービスといえばVine、YouTubeやSnapchatがあるが、それぞれTwitter、Google、Facebookに買収された。TikTokは現状評価額が高過ぎる上、中国資本の企業でもあり、当分は独立路線を歩むとみられる。

 大ブレーク中のTikTokに乗らない手はない。日本企業も続々と関連ビジネスに参入している。エイベックスとサイバーエージェントが共同出資して月額定額制の音楽配信サービスを提供している「AWA」は、動画に合わせる音楽に目を付けた。今年10月、TikTokと事業提携し、DA PUMPなど人気アーティストの楽曲約2万5000曲が動画撮影時に使用可能になり、これを年内に約500万曲まで広げる予定だ。AWAの有料会員になれば、TikTok上でフルコーラスを聞くことができる。




 これは、今夏、倖田來未が2010年にカバーしたラッツ&スターの往年のヒット曲「め組のひと」がTikTokで大ブレイクしたことも影響している。「女子高生は、倖田來未は知っているがラッツ&スターは知らない。TikTokを通じて名曲のリバイバルを期待している」(AWA・小野哲太郎代表取締役社長)。

 TikTok独自の広告ビジネスにも、企業が熱い視線を注いでいる。単にCMを流すのではなく、利用者に素材を提供して投稿させ、拡散してもらう仕組みを作っているのが特徴だ。

 サントリー食品では、新商品のペプシJコーラの広告として、TikTok内で「#わっしょいジャパン」とハッシュタグをつけてお祭りダンスを投稿するキャンペーンを展開。タレントの動画を掲載したところ、「#わっしょいジャパン」でのアプリ内投稿数は2万件、動画の累計再生数は約1800万回を記録した。

 サイバーエージェントでは、Abema TV内の人気番組「今日、好きになりました」の宣伝として、番組のテーマソングを使用した「今日好きダンス」を同番組内の高校生メンバーが考案し、公式Instagramなどで拡散。中高生がこぞってそのダンスを自分で踊ってTikTokに投稿し、キャンペーン期間中の番組視聴数は通常より160%アップした。ここからも見られるように、TikTokをうまく利用できれば、従来型のマス広告とは全く違う形でのプロモーションができるというわけだ。

 TikTokの広告効果が高いのは、「従来型の広告と違って、TikTokの世界観に合わせて全く新しい作り方がなされている。エフェクトをかけてストーリーを作り、いやらしくなく広告を入れられるからだ」とユーザーローカルの伊藤将雄氏は指摘する。一方的に宣伝される商品をただ見るだけではなく、ダンスやアクションなどを通じて、気づかないうちにユーザー自らが真似してアップすることで拡散させるわけだ。YouTubeで100万再生を達成するには数ヵ月かかることが多いが、TikTokでは5日で100万再生という事例も出ており、その爆発力は尋常ではない。


オジサンオバサンが入ってきた途端に
10代が逃げ出すのが最大のリスク

 日本におけるTikTokの広告パートナーは電通子会社のサイバー・コミュニケーションズだ。「ハッシュタグチャレンジ」と呼ばれる前述の枠組みは「1本約1000万円」(業界関係者)といわれているが、年内の広告枠は11月初旬には売り切れた。「TikTokは技術力が非常に高い。エフェクト機能だけでなく、利用者の年齢や地域、動画の閲覧状況などの分析も精緻に行っており、国ごとの差別化・最適化も図られている」(サイバー・コミュニケーションズメディア・ディビジョンの岸岡勝正グループマネージャー)ため、広告を入れやすい環境が整っているのだ。ただ、費用も意外とかかるため、今後広告枠を使わず、自社でアカウントを作って行うコストを抑えたプロモーションも出てくるだろう。

 現在は食品など消費財の広告が多いが、将来的にはアパレルや、クリスマス・バレンタインデーなどの季節のイベントと連動した広告も増えそうだ。

 情報拡散をさせるだけであれば、10代をターゲットとした今の状態でも十分かもしれない。ただし、広告をビジネスとして確立させるには、もう少し年代の幅を広げることも必要になる。とはいえ、「こうしたサービスは、大人が入ってきた途端に『ダサくなった』と10代が離脱することが多く、TikTokもその可能性が高い」(高橋氏)。

 10代が共感する現在の世界観を壊さずにユーザーの年齢の幅を広げることができるか。今後のTikTok、ひいてはショートムービービジネスの命運は、その一点にかかっている。

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