文章嫌い

私は文章が嫌いだった。今でこそ、このような長文を書いてはいるのだが、昔の私と言うものは文章を読むのも書くのも違和感があり、拒否感を想起し、アレルギー反応を起こしていた。

これはなぜかと言うと、口語を文章として落とし込んだ際のわざとらしさが拭えないからである。
例えば心の底から絶望した時などは「ああ」と力なく声に出たりすると思うが、これは厳密に言うと口語としての文章化は出来ない。

その時には、それは冷静に意識して出る理知的な単語ではなく、ある種の本能的動作、例えば泣いたり笑ったり怒ったり悲しんだりすることに近いのだ。

声を伴う人の動作や所作を並べると、
Ａ．くしゃみ、アクビなどの生理的動作
Ｂ．ため息などの感情から来る所作
Ｃ．感情表現に伴う口語
Ｄ．日常会話における口語
Ｅ．文語
に分かれる。と言うより私が勝手に分けた。

この中で、前出の嘆き悲しむ際の「ああ」と言う表現は冷静な言葉ではなく、上記のＢとＣの中間辺りに位置するものだろう。
これらの言葉を文章化するに当たり、一旦時間的な距離を置いて冷静に客観的に表現する文章とこの言葉は心情的乖離がある。
文章にした瞬間に「そんな『ああ』だなんて尤もらしく言っているけど、本当はお前はそんなこと思ってないだろ、わざとらしく言いやがって」と言うような感想があるのだ。

飛び出した理由

思い出した。
飛び出た理由はいろいろあったのだが、その内の一つとして、程々なところで愚かでなければならなかったからだった。
何かの真似をしてそれで良しとし、機知の無いリアクションでも喜ばれ、褒められた。それはひょっとして愛情の裏返しだったのではないかとも思うのだが、事実は分からない。

私はこれに耐えることが出来なかった。

不遜な言い方である。この先、このことは誰にも言うことはできまい。