豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

2006 大雪渓の落石

2006年08月28日 | 白馬岳など北アルプス北部ネタ
8月27日午前11時頃、白馬岳・大雪渓ルートで落石があり、ひとりが亡くなるという痛ましい事故がありました。死亡事故が発生しないままパトロールを終えて安堵していたのですが、ついに恐れていた事態が来てしまったという感じです。



今年の大雪渓は落石が異常なまでに多く、パトロール期間中は毎日のように巨大な落石が発生した話を聞きました。

大雪渓の上には巨大な落石がいくつも転がっており、時々滑り出しては登山者を恐怖のどん底に陥れていたようです。



今年は特に杓子岳側からの落石が特に多く、また雨が降ると小規模の土石流がよく発生していました。

7月22日には主稜側から土石流が発生し、夥しい量の土砂が大雪渓に流れ込みました。ここも落石がよく発生するポイントとなってしまい、ほぼ毎日、監視員がつくようになりました。
もっとも、いくら監視員がついていても、笛を吹くのが関の山です。直撃コースにいる本人に、一生懸命逃げてもらうしかありません。また視界が悪い時には、監視員でさえ逃げるのがやっとです。大きな落石の場合、雪渓上の登山ルートに到達する時点でもバウンドしながら落ちていることがあるので、そう簡単に避けられるものではありません。


対策、といってもたいしたことはできませんが、雪渓歩きに慣れていないならしっかりした軽アイゼンを履いておきましょう。「逃げろ!!」という時に足元がしっかりグリップするかどうかは、けっこう重要です。ガラガラ、という音が聞こえたり、登山者の悲鳴が聞こえたら落石が発生したものと断定して、逃げる態勢を整えることも必要です。「なんだなんだ?」と周囲を見渡すヒマがあったら、逃げましょう。