少し前になりますが、富士山保全協力金の徴収率が山梨県側で70%を超えたという話が複数のマスコミから報道されていました。
入山料6834万円、協力率72%
富士山NET(2022年10月1日付 山梨日日新聞掲載)
富士山 登山者の“保全協力金” 初の70%超 過去最高に
NHK 10月12日 07時26分
NHKの記事から引用します
引用
新型コロナ対策の検温と合わせて登山者に行った支払い協力の呼びかけなどが協力率の増加につながったとみられるということで、県は「今後も協力金の趣旨を知ってもらう情報発信を続けるなど、多くの人に協力してもらえるような取り組みを進めたい」としています。
引用おわり
料金を徴収する係員以外に検温担当の人がいたことによって、協力を呼びかけるスタッフが実質的に増えたってことなのでしょうね。
さて、この記事を読んでいて協力率70%超え以上に気になったのが、集まった金額の低さです。山梨県側の約6800万円という数字は前年よりはマシだけど、過去2番目に低い数字です。
山梨県の場合、これまでは収入の約30%が徴収コストとなっていました。入山者が少なくても、事務経費はそうそう削るわけにはいかないはずです。ではコロナ禍以降はどうなってるのだろうかと思ったので、久々に調べてみることにしました。
参考にするのは、ここです
「富士山保全協力金」について/山梨県
このページには富士山保全協力金の収入と支出が年ごとに記載されています。で、支出のうち「山梨県が行う富士山保全協力金の現地受付等の設置運営に要する経費」と書かれている項目が、協力金を徴収するためのコストになるわけです。
残念ながら令和4年度分の収支は掲載されていませんので、令和3年のところを見てみましょう。収入は約3538万円で、徴収コストに当たる「山梨県が行う富士山保全協力金の現地受付等の設置運営に要する経費」は約1061万円です。計算すると、徴収コストの割合は29%ほどになります。ということは、例年通り収入のうち3割が徴収コストなんだな、と一瞬思ったのですが、すぐに「経費が1000万円って、安くない?」という疑問が湧いてきました。例年、2500~3000万円ぐらいかかっていたはずです。
そこで「山梨県が行う富士山保全協力金の現地受付等の設置運営に要する経費」という項目の右側にある「詳細」のPDFファイルを開いてみました。それでわかったのが、本当の徴収費用は約2465万円ということでした。経費として記載されている1061万円というのは、保全協力金から支払った分だけ、ということなのです。
以下に、平成28年から令和3年までの、保全協力金収入と徴収コストを並べてみます(令和2年は無し)
A:事務経費の総額
B:総額のうち、協力金から充当した額
単位:千円
収入 A B
平成28年 95740 26270(27%) 26270(27%)
平成29年 96716 24731(25%) 24731(25%)
平成30年 87798 32051(36%) 26340(30%)
令和元年 100369 31923(31%) 30111(30%)
令和3年 35387 24654(69%) 10616(29%)
令和3年度、山梨県側における保全協力金の徴収コストは29%ではなく、本当は69%ということになります。登山者が支払う1000円のうち、690円は協力金を集めるための人件費等に使われているということです。また令和4年度の収入は約6834万円なので、例年通りの事務経費がかかっているとすると、35~40%程度の徴収コストになっている計算です。
数字を並べてみて気づいたのですが、徴収コストが30%を超えた年は、オーバーした分を保全協力金以外から支出するという形にしていますね。ですから、平成28年と29年は上記AとBの金額が同じですけど、以降の年はABの金額が違ってきます。
静岡県は以前から徴収にかかる分の金額を保全協力金から支払っていないことにして、実際には6~7割ぐらいかかっている徴収コストを見た目は数%にしているのですが、山梨県も30%を超えないようにしているわけですな。
というわけで、
それじゃあ静岡県はどうなのってことを書こうと思いましたが、長くなったのでいったん切ります。
入山料6834万円、協力率72%
富士山NET(2022年10月1日付 山梨日日新聞掲載)
富士山 登山者の“保全協力金” 初の70%超 過去最高に
NHK 10月12日 07時26分
NHKの記事から引用します
引用
新型コロナ対策の検温と合わせて登山者に行った支払い協力の呼びかけなどが協力率の増加につながったとみられるということで、県は「今後も協力金の趣旨を知ってもらう情報発信を続けるなど、多くの人に協力してもらえるような取り組みを進めたい」としています。
引用おわり
料金を徴収する係員以外に検温担当の人がいたことによって、協力を呼びかけるスタッフが実質的に増えたってことなのでしょうね。
さて、この記事を読んでいて協力率70%超え以上に気になったのが、集まった金額の低さです。山梨県側の約6800万円という数字は前年よりはマシだけど、過去2番目に低い数字です。
山梨県の場合、これまでは収入の約30%が徴収コストとなっていました。入山者が少なくても、事務経費はそうそう削るわけにはいかないはずです。ではコロナ禍以降はどうなってるのだろうかと思ったので、久々に調べてみることにしました。
参考にするのは、ここです
「富士山保全協力金」について/山梨県
このページには富士山保全協力金の収入と支出が年ごとに記載されています。で、支出のうち「山梨県が行う富士山保全協力金の現地受付等の設置運営に要する経費」と書かれている項目が、協力金を徴収するためのコストになるわけです。
残念ながら令和4年度分の収支は掲載されていませんので、令和3年のところを見てみましょう。収入は約3538万円で、徴収コストに当たる「山梨県が行う富士山保全協力金の現地受付等の設置運営に要する経費」は約1061万円です。計算すると、徴収コストの割合は29%ほどになります。ということは、例年通り収入のうち3割が徴収コストなんだな、と一瞬思ったのですが、すぐに「経費が1000万円って、安くない?」という疑問が湧いてきました。例年、2500~3000万円ぐらいかかっていたはずです。
そこで「山梨県が行う富士山保全協力金の現地受付等の設置運営に要する経費」という項目の右側にある「詳細」のPDFファイルを開いてみました。それでわかったのが、本当の徴収費用は約2465万円ということでした。経費として記載されている1061万円というのは、保全協力金から支払った分だけ、ということなのです。
以下に、平成28年から令和3年までの、保全協力金収入と徴収コストを並べてみます(令和2年は無し)
A:事務経費の総額
B:総額のうち、協力金から充当した額
単位:千円
収入 A B
平成28年 95740 26270(27%) 26270(27%)
平成29年 96716 24731(25%) 24731(25%)
平成30年 87798 32051(36%) 26340(30%)
令和元年 100369 31923(31%) 30111(30%)
令和3年 35387 24654(69%) 10616(29%)
令和3年度、山梨県側における保全協力金の徴収コストは29%ではなく、本当は69%ということになります。登山者が支払う1000円のうち、690円は協力金を集めるための人件費等に使われているということです。また令和4年度の収入は約6834万円なので、例年通りの事務経費がかかっているとすると、35~40%程度の徴収コストになっている計算です。
数字を並べてみて気づいたのですが、徴収コストが30%を超えた年は、オーバーした分を保全協力金以外から支出するという形にしていますね。ですから、平成28年と29年は上記AとBの金額が同じですけど、以降の年はABの金額が違ってきます。
静岡県は以前から徴収にかかる分の金額を保全協力金から支払っていないことにして、実際には6~7割ぐらいかかっている徴収コストを見た目は数%にしているのですが、山梨県も30%を超えないようにしているわけですな。
というわけで、
それじゃあ静岡県はどうなのってことを書こうと思いましたが、長くなったのでいったん切ります。
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