豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

槍沢で滑落→重体

2006年07月06日 | 山岳遭難
もう7月だというのに、槍沢の雪渓で滑落事故が発生したようです。

岳人のサイトから
毎日新聞の記事


このブログに掲載されている記事によりますと、事故が発生したのは標高2400~2500m付近にあるグリーンバンドの模様です。一方、毎日新聞では標高2700mの地点となっていますが、これだと殺生ヒュッテ付近かその少し下の位置になります。この付近だと傾斜は比較的緩いので、滑落しても自然に止まるような気がします。


通常、7月になると槍沢の雪渓はほとんど消えてしまいます。グリーンバンド手前の沢筋などに残る程度です。が今年は残雪が異常に多いようで、槍岳山荘のサイトに掲載されている写真には、6月末だというのにババ平付近まで雪が残っているのがわかります。

詳しい情報を関係者から得ているわけではありませんが、今年の槍沢は例年の5月~6月初め頃と同じ残雪の状態になっているのかもしれません。だとしたら、雪になれていない夏山専門の人にはけっこう厳しいでしょう。

グリーンバンドの下部は、けっこう傾斜があります。ふだんはバケツ状の踏み跡があり、それほど危険な印象はありませんが、雨などでフットホールドが溶けてしまうと、アイゼン無しでは雪が固くてきついです。



私が小屋にいた頃、ここで1件の滑落事故が起きています。とある女性がルートから大きくはずれた雪渓の上を歩いている時に滑落し、クレバスへ転落して骨折したのです。また遭難事故扱いにはなりませんが、やはりこの付近で滑落し、槍沢ロッヂへボロ雑巾状態でたどり着いた人もいました。

ただ、重体になるほどの事故が発生するような場所は、ちょっと思いつきません。さらに下部へ行けば傾斜が緩むので、全身傷だらけにはなっても、スピードが落ちて自然に止まるはずです。

残雪が多いためにクレバスが相当深くなっていたか、雪渓からガレ場へ突っ込んだのか、としか考えられません。おそらく不運が重なったのでしょう。


これだけ雪があるのでしたら、ちゃんとしたアイゼン(前爪があるヤツ)とピッケルは必携です。通行量が多く、踏み跡がしっかりしていれば軽アイゼンとストックでも行けてしまうかもしれませんが、雨で表面の柔らかい雪が溶けると、途端に硬い雪面が出てきます。そうなると雪に慣れていない人では身動きがとれません。槍沢コースを行かれる方は、充分な情報とアドバイスを受けた方がよろしいでしょう。


この記事には続報があります。

1 コメント

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おやおや (もりもり)
2006-07-07 00:34:27
今年はかなり残雪豊富だね!

焼酎隊気をつけてね。
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