豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

ニホンジカの食害がさらにヤバい件

2008年11月13日 | 山ネタ そのほか
何度か書いている気がする、ニホンジカのネタです。



ニホンジカ:撮った 北ア南部で記者設置の赤外線自動カメラ 生息未確認地域 /長野
毎日新聞  2008年10月24日

見出しを見ただけでは「幻の珍獣発見」みたいで目出度い感じなので、出だしを引用します・・・

これまでニホンジカの生息確認例がなかった北アルプス南部で今月5日、記者が設置した赤外線自動カメラが初めて姿をとらえた。シカが多い南アルプスでは山ろくの森林被害の他、高山植物への食害が深刻化しており、野生鳥獣対策に取り組む関係者は北アへの進出を憂慮している。


う~ん、北アルプス南部の小屋番をやっていましたけど、ニホンジカを見たことは当然ありませぬ。クマも見ているし、カモシカも良く見かけましたし、ヤマネもニホンザルもオコジョも見ていますけどね。

ところで、今回撮影に成功した定点観測カメラは毎日新聞の記者が設置したもので、しかも2005年から継続しているもののようです。新聞社でもそういうコトするんですねえ。



先日、奥多摩の方で林業に関する取材に行き、少々山を歩いたのですが、この時にもニホンジカによる食害がいかにヤバいかについて、関係者は延々と語っていました。例えば、JR青梅線の終点・奥多摩駅の正面にハゲ山が見えるのですが、ここは何度植えてもシカに喰われてしまい、再植林をほぼ断念しているのだとか。そのハゲ山はずーっと昔から知っていて気になっていたというか、再植林しないのか?という疑問を長年抱いていたのですが、そんな深い事情があるとは知りませんでした。

今のところ、多摩川を越えて南にはシカが移動していないそうですが、それも時間の問題かもしれないと関係者の方は語っています。

また以前からニホンジカの駆除が行われていますが、この影響でニホンジカがこれまでの生息地から逃亡してしまい、逆に新天地へ勢力を広げているのではないか?なんて話も聞きました。




奥多摩の山はこのように食害が深刻化し、また間伐されずに放置された植林や、分収林が皆伐されたまま再植林されないといった問題を抱えています。また奥多摩や高尾にあるブナの天然林も、気候の温暖化によって絶滅するんではないか、と言われています。こういったコトも少々お勉強しながら山を歩くと、ただ歩くよりははるかに面白いと思いますよ。



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5 コメント

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Unknown (名無し)
2013-01-09 18:07:50
猪や鹿などの獣害対策に日本オオカミ協会ホームページの"Q&A"にあるように狼の導入を!
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Unknown (ちよ)
2013-01-10 23:22:10
 高山植物が鹿に食べられたり、蛭の運搬・拡散に鹿が関与していたり、いろいろ被害が出ているようですね。ニホンジカはどちらかと言えば冬を越せる暖かい地域にいるので、北アルプスまで進出してきているというのも意外です。

 急に暖冬になったというわけでもないので、シカが凍死せずに冬を越せるようになって個体数が増えてきた原因を探る必要があります。まさか、道路の融雪剤をなめてシカの体内のミネラルバランスが良くなったとか?
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Unknown (みいさん)
2013-01-15 05:18:08
名無し様へ。
ニホンオオカミが生きていた江戸時代でも、シカ・イノシシの農地対策として、農民の鉄砲(火縄銃)の所持・使用が認められていたようです。
かなりの獣害があったようです。

いまからオオカミを移入することはマイナスのほうが大きいように思います。
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Unknown (bongo-pete)
2013-01-16 11:43:02
オオカミの再導入については、うまくいくとは思えません。この話についてはネットでたくさん出ていますので適当に調べて欲しいのですが、不確定要素が多すぎる気がします。
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Unknown (名無し)
2013-01-19 12:51:18
みいさん 江戸時代に獣害があったとしても少なくとも日本オオカミがいた分 現状の獣害の被害より大分いい方かと 農業従事者の数も全然違うし 狼を導入すれば少なくとも現状の猪や鹿などの獣害の被害は大分減る
bongo-peteさん みいさん日本オオカミ協会ホームページの""Q&A""を見るといいそこで大体の懸念は解消できる
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